第68話敵の敵は味方

一対三はさすがに不利な状況だが僕は負けないと覚悟したのだが――。

「あんたがちゃっちゃと断らないからいけないんでしょ!」

どうやら、高原お嬢様は敵を呼んでしまったようだ、まあうどんとラーメンは別ジャンルではあるが大きなくくりでいえば麺類なのでライバルを増やす愚かな真似をするわけもなく当たり前のように僕の隣に座っていた。


これは勝ったな!小鳥遊ご令嬢を味方につけた僕の心はSSRキャラを引いた万能感に満たされていた。

いいぞ!いけぇー!やっちまぇ!

そう僕はタイタニックという豪華客船に乗った気分で小鳥遊令嬢を応援していれば勝ち確なのだ


「そ、そんな小鳥遊さんなんでそっちにすわってるの・・。」

「なんで私が麺ジャンルのライバル店の手伝いしなきゃなんないのよ、そっちの方がおかしいでしょ!」

僕は心に余裕ができたのか、修羅ってるのにもかかわらず手をあげて店員を呼んでコーヒーを頼んでいた。

この店は注文方式ではないが頼めばコーヒーが飲めるという反射がなせる業である。

「ってあんた!なにコーヒー一人だけ頼んでるの!みんなの分も頼みなさいよ!」

「あ、気が利かずすいませんでした。」

小鳥遊ご令嬢は相変わらずツンツンしてるなぁということでみんなとコーヒーブレイクをとったのだが


「いいじゃないですか、私が相談したって!」

「そんなこと許すわけないわよ!実際断られたんでしょ」

「そうなんだけど、でもお話だけでも・・・。」

というような感じの会話が繰り広げられていて当事者ながらうんざりなのだが、

無敵のタンクががっちり敵のヘイトをかってくれているのだ、とても頼もしい。

ちょっとこばら空いてきちゃったなぁ。

と思えば軽食メニューにタコスが売っていた。

なんだこれ、一部の新メニューは導入されてるが、やはりメインが来てないので全く効果がないみたいだ。


とりあえずタコス4人前をオーダーしておいた僕はさすが気配り上手である。

やっぱり自分の考えたメニューだけあっておいしいなぁ。とリラックスタイムで一人ほんわかしていたのだが。

「これあんたが考えたんでしょ?」

「え?ああそうだけど・・・」

「ずるいじゃない!向こうばっかり新商品の協力して!もっと私に協力しなさい!」

何でこっちにそんな話を振ってくるんですか!その話はうどん屋さんを退けてからでお願いしますほんと頼む!

無敵の味方が一瞬にして敵になり焦ったがなんとかなだめてバトルに戻らせた。

確かに商品提供メニュー数が多いのはサードだけど仕方ないだろ、君にはもってない力に僕は抗えないのだから・・・。

あとはコーヒーすすって、タコスパクパクしてるだけで話に決着がつきなんとかうどん娘を撤退させることに成功したのだった。

それから小鳥遊ご令嬢のお説教タイムが続き高原お嬢様はしおしおになっていた。


帰りは小鳥遊ご令嬢の送迎でねちねちと新商品がどうのこうの言われたが、君はパワーが足りんのだよと悲しい部分を見つめながら思っていた。

帰宅して久しぶりにアイスを食べようかと思えば、空っぽの箱だけが冷凍庫に鎮座してた。


一本も食べてないのにどういうことだ・・・。

夜遅くに一人で出歩くのは大変危険な行為だと注意されているのでアイスを買いに行けない!これは困った。

困ったのだが僕はアイスが食べたいので買いに行くことになった。

鼻歌を歌いながら夜道を歩くのだが、うーんなんか後ろに人の気配がするような。

よし!店まで走ろう!ということで僕は店まで疾走した。

あー、やばい。もう疲れて動けない。

冷房の効いた店内で歩きながら息を整えつつ僕はアイスを決めあぐねていた。

何系のアイスにするか。


まずは、帰宅しながら食べる渦巻アイスは決まっている。

ちょっとお高いがコーンもついてる渦巻ソフト。

シャリシャリ系アイスかクリーミーなカップ系アイスにするか。

僕は店内で悩みに悩んだ結果アイスを4箱購入した。

冷凍庫をアイスで埋めてやる!という強い意志が感じられる購入個数だった。

帰りはアイスを食べながらなのだが、なんだかやはり背後から気配が・・・。

振り返ってみると誰もいない誰もいないのだが月明りで曲がり角から伸びる不自然な人影が見えた。


ぞぞぞっと背筋が震える。

え?もしかして誰かにつけられてる?

僕はニュース記事を想像してしまい怖くなった。

最近男性が襲われる事件が多くなっているという。

暖かくなってくると変態が沸くのはここも同じなのだが・・・。

チカチカと点滅する街灯が恐怖をより引き立てる。

違う寒気がしてアイスをゆっくり食ってる場合じゃない!!と思った僕はちょっともったいないががつがつと食べて走って帰ることにした。

ただいまーっとドアをあければ仁王立ちした妹様がそこには居た。

「おにいちゃん!こんな夜遅くに出歩いて!ダメだって言ってたでしょ!!そこに正座しなさい!!」

「いや、ここ冷たくて痛いからもうちょっと柔らかいところで」

「ダメ!それじゃ反省しないでしょ!!」

「アイスだけは早く冷凍庫へおねがいします!!」

アイスは救えたが正座&お説教を長時間続いたのだった。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


ばたばたと更新するからサイレンとアプデする羽目になるのじゃ・・・。



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