第64話そんなに変わらないって
女性から声をかけられることはもちろん嬉しいことなのだが、コミュ障お化けたちとコミュニケーションをとれというのはちょっとハードルが高すぎる。
こんなの無理!飛べませんとなってしまう。
もう少し距離を開けてゆっくりと会話してほしいものだ。
でないと外国人に早口で話しかけられ、どう返せばいいかわからないよに近い状態に陥ってしまう。
単独行動はやめてそろそろみんなと合流するかと会場内を歩き回る。
船の中なのに広いし人も多い。
立食パーティー形式のお話時間以外にもダンスタイムがあるが、これは社交ダンスするって時間ではない。
アイドルや歌手が自分の曲を披露するというアピールタイムだ。
悩殺ダンスで虜にしてやるぜ!と気合が入る女性陣が準備に入るのをいいことに男性同士であつまり雑談する女性除け時間という悲しい時間になっているのである。
「あ!いたいた、佐々木どこいってたの?」
「ごはんもぐもぐしてたら迷子になっちゃったよ。」
と加藤君に軽く告げ僕は食事をしながらのんびり過ごした。
すげーみんな本当に女性にあまり興味がないんだなっていうのが実感できたパーティーでした。
交流も多いので女性の躱し方がうまくなっている彼らは積極的にトークしてるけど同僚と仲良く会話までに止めておく勘違いさせない会話術という高度な攻防戦を繰り広げていることがわかった。
帰りの車中で僕はあまりの疲労感にぐったりしているが、全員そうだった。
「こんなのお疲れ様パーティーじゃないじゃん」と鈴木君はぐったりしながら言っていた。
「みんな明日予定ある?」
「あ、ごめん僕予定ある」と山内くんは申し訳なさそうにいった。
「ちょっとまって、予定キャンセルする!」野口君がドタキャン宣言し始めた。
「ちょっと、そこまでしなくても。」
「許嫁が新しく作ったお店に招待するっていってたけど、鉄板焼きだし興味ないって。」
あ、そこに連れていくつもりだったけれど野口君には不評か・・・。
「いや、そのお店に行こうっていう話なんだけどね・・・。」
「え?鉄板焼きの店?まじ?調べても全然情報でないし狐のお面の店員とツーショットなら見かけるけど・・・佐々木君が誘うということは一回行ってみる価値はあるということか、ちょっとまってて!みんなの席とってもらう。」
と早速許嫁に連絡して席の予約をしたのだった。
「んじゃ、明日迎えにいくよ。山内君以外はそれでいい?」
「僕は問題ないよ!!」
「大丈夫!」
と鈴木君と加藤君はうきうきな返事だった。
山内君はとても悲しそうな表情をしていた。
帰宅すれば妹様は薄着でアイスぺろぺろしてまして・・・。
け、けしからん!僕は速攻でお部屋に籠りましたとさ。
翌日は野口君手配の車でみんなでお好み焼き屋へ向かった。
「うわぁー。白い狐の置物おいてあるぞ!」
入口に置物が置いてある店は珍しい。
野口君が引き戸をガラガラして入ると、店員さんが
「いらっしゃいませ!ココンがコーン!」と挨拶し始めた。
皆は何が起こったのか理解できなくて固まっている。
「え?なにここ?何屋さんなの?」鈴木君はあまりのことに混乱している。
店内からソースの香りとニンニク臭が漂っているので僕は、広島風太郎焼結構売れてるのかと感じ取ってしまった。
席に案内されおしぼり手でをふきふきしているとメニューが渡された。
鉄板が付いているテーブルとタッチ式とは相性がわるい。
紙のメニューだが燃えちゃうので注文時に回収する形式だ。
「へー、豚玉しかないのか。なるほどトッピングで個性をだすわけだね。」
加藤君は、トッピングする具材の方を確認していた。
「佐々木君が行きたいっていうから期待したのに」とがっかりしている野口君はパラパラとつまらなそうにメニューをめくっていたが最後のページをめくったとたん手が震えていた。
「え?ここで広島風太郎焼が食べられるの?まじ?」
みんな野口君のつぶやきをきいてページをめくり始める
「あった!!」鈴木君の歓喜の声があがる。
僕は普通に豚玉に餅と卵とイカのトッピングを頼むつもりだが三人とも広島風太郎焼で決まりの様だ。
「お客様注文はお決まりですかこん?」
「こん?」
「・・・・・」
「えーっとすみません、広島風太郎焼がフルが3つに豚玉の餅卵イカトッピングで飲み物は黒烏龍4でお願いします。」
「かしこまりましたこん!」と狐面のお姉さんが下がっていった。
「さっきの人こんって言ってたよね・・。」
「ああ、間違いなくこんって言ってた。」
どうやら彼らにはまだ早い文化だったようだ・・。
「あれ?僕たちなんでお御籤ひけなかったの?」
入口では客がお御籤を引いているのを目撃している鈴木君
「ああ、あれは当たると割引券だけど僕たち会計無料だし演出カットの配慮じゃない?」
「そっかー」といいながらうらやましそうにしてた。
しばらくすると狐面の店員がお好み焼きセットをもってあらわれる。
「えー、生のまま!?」
「これは僕たちが作って食べるんだよ。」
「え?それってめんどくさく無い?」
野口君それを許嫁の店でいいますか・・・
「私が腕によりをかけて作りますこん!」とアピールしてるがみんな聞いてない。
「あー、お願いしますね。」どうせ僕がつくるはめになるのなら店員さんに愛情をこめてもらった方がうまい。
ってか注文おかしくね!なんで広島風太郎焼×4になってるんだよ!これは誰かの陰謀だなって思えば野口君の隣ちゃっかり座ろうとしている小鳥遊ご令嬢であった・・・。
僕の注文は小鳥遊ご令嬢に奪われ僕は目出度く広島風太郎をたべることが確定した。
注文したはずのない魔法の呪文サービスが発動し、LOVEの文字がテンコ盛りにかかれた太郎が目の前に並び、みんな拒否して僕だけ強制ツーショットに僕はにっこりご満悦していると小鳥遊ご令嬢は野口君の太郎に初々しく魔法の呪文を唱えながらマヨネーズで文字を一生懸命書いていた。
ツーショットは拒否されてしまい僕をにらみつけているが、僕がわるいわけじゃないですよそれ・・・。
仕方ないので僕は小鳥遊ご令嬢の援護射撃を試みた。
鈴木君もにやにやし始めて援護射撃に加わり、加藤君も加勢することで総攻撃に耐えられず野口君はいやいやながらご令嬢とツーショット写真を撮っていた。
それをみて僕たちはニマニマしていたのでした。
いいね!許嫁といちゃいちゃする野口君尊い!
「くそ、おぼえとけよ!」となんとも小物感あふれる捨て台詞を吐く野口君だった。
冷めないうちにみんな熱々の広島風太郎焼を頬張ったのだが、野口君以外はおおむね好評だった。
「ボリュームが少ないし、前食べたのとクオリティーが・・・。」
なんで僕が作ったやつと比較してるんだよ
「え!そんなにおいしさがちがうの!?」鈴木君はそこにくいついてきた。
「いやそんなかわらないって。」
僕が言うんだから間違いない
「あの醤油ダレ!そしてモリモリの野菜に太郎みのある仕上がりとは程遠いよ、佐々木君!手抜きしたいからって適当なことをいうのはよしたまえ!」
いやいや、ここで野口君の言論を封殺しておかないと僕が作らされるフラグが立ってしまうそれだけは阻止しないと!
「醤油ダレとは聞いてないぞ!」そこに加勢したのは小鳥遊ご令嬢。
野口カップルの猛烈あたっくに僕は抵抗むなしく敗れてしまうのでした。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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