第59話ここんがこーん

野口君と会話をする便利ツールとしか考えていないはずの小鳥遊ご令嬢が何故積極的に新作の話を振ってきたんだろう。

僕が見せられた画像は広島風太郎焼の画像であった。

それ、実物あなたの社員がすでに食べてますから!!といいたいんだけど・・・。

載っていた車は走り出しているわけでして、あれ?止まってくれてるんじゃなかったの?拉致ルートですか?


僕は大人しくご令嬢に拉致られ向かった先は鉄板焼きの店だった。

店の入り口には狐の置物が置いてある。

白い狐の置物とは珍しいな、なーんて思っていたのだが・・・。

店に入ると狐のお面をかぶった店員が「いらっしゃいませ!ココンがコーン!!」手で狐を作り狐ポーズで出迎えられた。

片足も上がってるしノリノリである。

履物は草履なのか・・・。

僕はあまりの異様さに立ち尽くしてしまった。

制服のデザインも巫女服をイメージしているけど油跳ねするから汚れが目立ちにくい茶色系とちぐはぐである。

お面は口元は隠れないようしているので妙に唇がセクシーなのははなまるです。


「立ち止まって何をしているの?早くついてきなさい」とロリに急かされ後をついていけば奥にある畳の座敷席だった。

メニュー表を手渡されると僕はまあどこにでもある、お好み焼のメニューだなぁーって眺めていた。

「何かないの?なんのためにメニューをみせたと思ってるの?」

何かとは何だよロリいい加減にしろよ!わけもわからず連れてこられて何かないのじゃないんだよ!!

僕はこれから勉強しなくちゃいけないのにそれどころじゃないんだ!と心の中だけで怒り爆発だが実際声にはだせない。

だって怖いんだもん。

「はやく、必要な材料を言わないとつくれないでしょ。」

断片的過ぎてわからねーって!広島風お好み焼きwith太郎作れって話だろ大体材料この店に置いてないだろ。

このロリは何を勘違いしてこんな異様な場所へ連れてきやがって。

「あれの材料は大体太郎の店でもらってきた材料でつくってるからこの店にあるとすればキャベツと生地のt―――」

「その材料はとっくにそろってるわ、ほしい材料を言いなさい。」

僕の会話の途中でぶった切る傍若無人さである。

もうやだ、高圧ロリ話が通じないよと泣きそうな僕であったが何とか頑張って早く作って勉強時間を確保しなければ・・・。

僕は太郎の生麺をみて、これ茹でなきゃ食べられないじゃんってフリーズする。

ボタンを押して店員さんを呼び出すと

「お呼びでしょうかお客様」

あ、普通にはなすんだ。

語尾にコンってつける萌え萌えお好み焼き屋だと思ったのに。

ご主人様に愛情込めたおまじないー!っていうサービス付きだとなおよし!

メイド喫茶なんて存在しないそんなこと言っても悲しいことに通じない。

萌え萌えキュンな文化など発達していないのだ。

挨拶だけが異様だったようです、恰好もあれだけど。


「この麺をいい感じ茹でてください」

「あー、はいわかりました。」ということで麺問題は解決だというか麺に味をしみこませる時間が欲しい。

というかキッチンで作業させろよ!こんな鉄板しかない場所で作れるわけねーだろ!!

不満は爆発するがなんとか時間がかかりつつ下準備は終わった。

麺にごま油塩刻ネギおろしニンニクを絡ませた混ぜそばを作成したあとに広島風お好み焼きを作っていく。

メニューにサクラエビや揚げ玉などトッピングがあったのでどんどん入れてやるぜ!

とちょっとリッチな感じの広島風太郎焼が完成した。

醤油ダレがないのでソースでもトロっとかけて完成である。

僕のおすすめは断然醤油ダレなんだけどね。

僕はロリっ子小鳥遊ご令嬢が食べやすいように切り分けてた。

「いただくわ。」

小さい口じゃ入らないので上のキャベツを攻略したあと麺をすすっていた。

それにしても無表情で食べるなこのロリは野口君みたいに豪快にたべられないものかね・・・。

「まあまあね。油がきつすぎる」

でたー、油っぽいいただきました!!

もうひときれには蕩けるチーズを振りかけておいた。

小さいお口であむあむ食べている。

「重いわね。」

このお嬢さんは太郎に向かないのに何で試食するんだよ。


「これをここの正式メニューに加えるわね」

きたー、勝手にメニューにする宣言いただきました、まあいいけど。

「あなたからこの店の感想なんかないの?」

えぇ、もうなんなのよこのロリ野口君助けて。

「えーっと、まず店員さんの語尾をコンにしましょう」

ギロっと鋭い視線で睨みつけられた、さすがに小鳥遊ご令嬢もぷんぷんだ。

だが待ってほしい、お狐仮面の語尾がこんじゃないのは違和感しかないとコンがあったほうがいいと誰もが納得するはずだ!ビバ☆コン!

「あと、マヨネーズで店員さんがお絵描きして、魔法の言葉を言ってくれるサービスとか」

馬鹿にしてるのかみたいな視線わかります痛いですからそんな目で見ないでください。

メイド喫茶はもえもえきゅんポーズ付きなんだからこれでもイージーなんだぞといいたい。

「あなたがやってみなさい。」

怒りの無茶ぶりほんとやめてください。

僕はロリご主人様の太郎焼にハートを描きハートの空白にLOVEと書きながらおいしくなーれおいしくなーれと唱えることにした。

満更でもなさそうな感じな小鳥遊ご令嬢の表情に僕もちょっと吃驚してしまったがこれは成功したようだ。渾身の恥ずか死プレゼンである。

ということで普通のお好み焼き(小豚玉)を注文という感じにしてデモが行われた

「いらっしゃいませお客様、ご注文はなんですかこん。」

めっちゃいいじゃん!!唇セクシー!!

僕は大興奮してしまった、そのあと小豚玉セットをもって現れた店員の目の前で僕が一生懸命お好み焼きを焼き終えるとマヨネーズを手にもった狐面のお姉さんがハートを書いてくれた。僕再びの大興奮である!!

「おいしくなーれ♡おいしくなーれ♡ここんがこーん♪」

くわぁ、ぱーぺきすぎやろぉ!!

僕はお狐面おねーたま様に骨抜きにされ、キュン死するかと思うほどの衝撃が全身を走った。

「チェキ!一枚いいですか!!」ととっさに声がでてしまい

チェキの撮影機なんてねーよって感じでスマホでツーショットを撮ってもらいご満悦だった。

「それはあなたが得意なオプションってやつなの?」

僕がというよりはご紳士ならだれでも大好きですけど?

こうなったら狐だしおみくじで割引券のサービスも追加してしまおうと僕は悪乗りで提案しまくった。

太郎コラボ広島風太郎焼、おみくじ引いて割引サービス、語尾にコン(無料)、お狐さまのお絵描きと魔法の言葉(有料)ツーショット撮影(有料)

これはいったいなんの店だよ・・・。

おみくじの当たりの割引券は、サイドメニューの割引券だ。

お好み焼きを頼んでドリンクとサイドメニューを頼んでもらいたい。

そこで割引券の効果により注文を後押しするという効果も期待できるわけだ。

何が当たるかわからないドキドキもまた楽しい。

お酒をお頼めば丁半ゲームにチャレンジできてお狐様に勝利するとお酒のサイズがワンランクアップするお得システムも導入である。

負けるともうワンドリンク頼まなくてはいけないというリスキーな勝負なのだ。

一品料理に油揚げのサクサク焼とお稲荷さんも追加され夢のワンダーランドと化したが、この店はまだオープン前であった。


小鳥遊ご令嬢とお狐面店員による接客ミニゲームイベントが始まった。

「それじゃドリンクをいただくわ」

「ゲームにチャレンジして私に勝利すればワンランクドリンクサイズアップのチャンスこん、負ければもうワンドリンク注文というリスクもあるこんゲームにチャレンジするこん?」

「ええ、もちろんよ。」

「半か丁かどちらだこん?」

「丁よ」小鳥遊お嬢様の目がギラリと光るそれはまさに勝負師の眼力であった。

お茶碗にコロコロとさいころを転がすと丁だった。

「おめでとうございますこん!サイズアップしてお持ちいたしますね!」

というイチャイチャシーンを見せられて僕はニマニマしていた。

小鳥遊ご令嬢の勝負運が強く、頼んでいたウーロン茶はサイズアップに成功したのだった。

知り合いを呼んでプレオープンが明日らしいのだが悪乗りした僕は強制参加が決定してしまう悲劇が訪れた。

小鳥遊ご令嬢に勘弁してもらおうとしたが、奇抜な店をもっと奇抜にした責任を取らされてしまう僕なのであった。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


テンプレ呪文にテンプレ魔法陣じゃ歯が立たなくなり、

オリジナルスペルと魔法陣を駆使してサービスを獲得する

魔法戦争がいまはじまる・・・。


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