第56話お仕置きよりも

過激派筆頭の野口君はお説教に尻たたきという体罰を強く希望していた。

どさくさに紛れてロリの尻を堪能する野口君、けしからんぞ!

野口君だけの意見しか言わないので通ってしまいそうな空気が流れている。

鈴木シスターズが身を寄せ合って震えているのがとても可哀想である。

僕は何とかこの場を穏便に済ませられないかと考えたが何も思い浮かばない。


「鈴木君が後で注意しておけばいいんじゃないの。そんなことより早く太郎を食べさせてくれ!少し食べたからすごくお腹が空いてるんだよね。」とそんなことどうでもいいから早く昼食を食べようぜ派の加藤君だ。

すかさず僕も加藤君の意見に賛同した。


「早く昼食とって午前中さぼった勉強を進めないといけないしそんな遊んでる時間ないよ。」

というとみんな真顔になりました。

そういえば、試験勉強会だったという現実を直視してしまい、無の境地に突入してしまったようだった。


ということでシスターズは鈴木君が後で注意してくれることになりました。

少しの間止まっていた時が正常に動き出したかのように、お昼の準備に取り掛かっている。

ラーメンどんぶりを並べる鈴木君に僕と野口君は麺などの準備を開始した。

ちなみにどちらのスープで食べたいと聞いたら右のほうという答えが返ってきた。

鍋にたっぷりあるスープを悲しそうに見つめる野口君であったが、鈴木君がそのスープほしいというのでスープを持ち帰る心配はなくなったのだが、野口君の悲しい表情はしばらく続いた。


家太郎なので麺も同時に茹でることができないし、手際はいいとは言えないが何とか頑張って茹でている。

野菜を茹でるだけで10分以上かかっているのに、これから麺となるとまあ結構かかった。

鈴木ファミリーの分を先に茹でながら出来上がった麺を早速盛り付けて、シスターズに配膳させる。

最大2玉ぐらいしか茹でられないから時間が結構かかってしまったよ。

さすがに20玉くらい消費するなんて思わなかったよ。

僕たちはキッチンの横にあるテーブルで太郎を食べることになった。


「今日はニンニクないのかと思ったけど、あるじゃん!」と歓喜の鈴木君だ。

さすがに全員分のニンニクをすりおろすのは骨が折れるので、市販の刻みニンニクをのせごまかした。

僕たちはおろしたてのニンニクをモリモリ乗せた家太郎である。

「これが家太郎か。」と野口君がゴクリと唾を呑み込む。

いや、野口君は結構自分で食べてるやつだよ。そのリアクションは初めて食べたときにいうんだからね?

職人技ではない素人が見よう見まねで太郎を作るのでオリジナリティーあふれる太郎が魅力的ではあるが。

目分量なので失敗も食べなくてはならない時間と手間暇かかった一品が魅力なのだ。

鈴木君は冷蔵庫から卵パックを取り出してきた。

「これ好きなだけ使っていいよ。」とテーブルに1パックおかれる。

「すき焼きのタレってある?」と聞いてみたら、

「よく食べるからあるよ」というブルジョワな夕食事情も聞いてしまったのでした。


僕は小皿に卵を落としスキヤキのタレを加えながら、まぜ持参した魔法の粉をパラパラといれた。

「その粉はなんだい?」と野口君アイは見逃さなかった。

「え?魚粉だよ。」と答えるや否やさっと自分の小皿を出した。

僕は無言でその意図をくみ取り、魚粉の粉をパラパラといれる。

野口君はすかさず卵を割りスキヤキタレを絡ませ、豪華に家太郎をすすった。

「!?」

野口君の目がこれでもかというくらいに大きくあいたと思うと勢いよくつけ麺のように食べ始めた。

その様子を見た他の面々も僕に魚粉のおねだりをして、みんな真似して食べ始めた。

これは卵争奪戦じゃないか!

一パック10個で5人だから一人2個は食べられそうだけど、野口君の勢いだと・・・。


これはまずい!僕も急いでスキヤキを堪能しつつもう一個の卵確保のために急いで食べ進めていたのだった。

普通の食べ方でもうまいのに、スキヤキ風にするともっとうまい!!

太郎の無限なる可能性を僕は信じているわけだ、トッピング次第で化けるそれが太郎なのだ!

太郎ものこり半分というところでどたどたと廊下から足音が聞こえた。


「ねぇ、お兄ちゃん!ラーメンもっとある?おかわり食べたいんだけど!」

小野菜アブラニンニクましくらいの盛なのに少ないと・・・。

と僕がショックを受けているが、僕らは大豚野菜ニンニクアブラ増しなので根本的に量が違うのだ。

「もう麺がないから今日はおしまい、いっぱい食べただろ。」

シスターが指をさすのは野口君が作った大量のスープである。

「いっぱいあるでしょ!」

「それはスープだけ、肝心の麺がないからおいしくないぞ。」

「えぇーー。」その不満そうな声だがロリかわいい。

「スープが残ってるんだったらごはんでも入れて食べれば?」

なんて僕が軽い気持ちで言ったらみんな僕に視線を向けてくる。

君たちは大豚食べてるんだからごはんいらないでしょ・・・?

うそだよね。

ラーメンスープライスデラックスセットの追加注文が入った。

鈴木君は黙ってお米を研ぎ始め急速炊きのスイッチを押したのだった。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。



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