第54話勉強会

僕たちは休日なのに朝から押しかけているのにもかかわらず台所まで占領してしまい申し訳ないという気持ちだったが。

「キッチン?三か所あるしあそこ使われてないところだから好きにしていいよ。」

思いのほかブルジョワだったゴージャス鈴木くんであった。


僕たちは太郎作りをひと段落させ多分昼に食べるのでそれまで勉強をするということで鈴木君の部屋だ。

加藤君と山内君は死んでいる。

いや、お前らそれ勉強してないだろ。

加藤君は、鈴木君によるウェブラジオ垂れ流しの刑により精神が死んでいた。

山内君は、英語が難しすぎて頭ショートして真っ白に燃え尽きてた。

この前話題になったウェブラジオを聞きながら勉強とか余裕だな君たち、僕のこめかみさんはピキる寸前である。

「えー?妹たちが邪魔しに来たのか、友達呼んでるから絶対部屋からでるなってきつく言っておいたのに。」

「普通に出てたぞ、妹にもっときつくいわないとだめだぞ」と野口君

「僕の言い方がたりてなかったみたいだよ、ごめんね。」

「そんなことより、なんで妹たちの服装バンギャってるの?」

「え?なに?なんて言ったの??」鈴木君は純真な気持ちで疑問をぶつけてきた。

野口君はウェブで検索をかけているがヒットしないという謎単語を使った僕を厳しい目で見ている。

あれ?もしかして、バンドギャル風な格好って言葉存在しないの!?

「佐々木君、ウェブで検索したけどさっき言った言葉全然みつからないんだけど?」

野口君からの刺すような視線だが僕は何も悪いことしないぞ!

V系バンドマンのファンがそもそもいないから一般的に浸透してない言葉なのかもしかして、どう説明していいやら。

僕の謎単語めちゃくちゃ怪しまれてるじゃないか。

「バンドマンのファンの子をバンドギャルといってそれを略したのがバンギャってことなんだけど」

「バンドマンってなに?」と鈴木君が疑問を呟き野口君からは生暖かい視線が向けられている。

加藤君はなんとなく察しているけど山内君は話についていけない鈴木君タイプだった。

「佐々木君それ以上は説明いらないよ、いいんだよ。」と優しい言葉をかけられた。

これは!サブカル男子みたいな扱いされている!?

ドマイナーカルチャーに熱中してる周りの誰も知らんけど僕だけはまってるみたいな痛い子みたいな目でみるんじゃねぇ!!

加藤君も察して生あったかい視線が送られている現状は勉強より先に違う意味で精神が参ってしまいそうだ。

「ああ、妹の恰好だっけ?なんだけ」

鈴木君が棚から雑誌を見せてきた

「このECCっていう雑誌が変な服ばかりを紹介してるんだけど、妹たちは多分それの購読者なのかも」

着たい服を着る派のファッションは一部女性の中でおしゃれにみえるかもしれないが、男性の中ではなんだあの変な格好特にヤバそうだから近づかないでおこうと思えるほど危険人物に見えるようでそういう服を着てるのは痛い子という認定確実なので、まあ、鈴木シスターズは兄から痛い子として扱われているのがよくわかる。一方佐々木シスターはホットパンツにタンクトップと刺激的な格好をしており兄を大変困らせているのであった。

「へぇ、こんな雑誌あるんだね。」

加藤君は雑誌をパラパラとめくり、あの声優これぽい服着てたかもなんてことを微妙に呟いていた。

「鈴木君なんでその雑誌部屋においてあるんだい」

真っ先に突っ込んだのは野口君だった。

「許嫁と食事会のネタになるかと思って妹にいらない雑誌もらったんだ。許嫁と話すネタがないのに食事会は定例的におこなわれるんだよ。無言で食べてると楽しませる会話をしろみたいに圧がかかるしほんとにねぇ・・・。」

「僕のところはそんなことないな、一方的に話してるから聞いてるふりしてうんうんうなずいておけばいつの間にかおわってるけど、最近は太郎の話題だからね!楽しく会話してるよ!」前半と後半のえぐい差があるが野口君のところは良好といったところだろう、太郎がなければ小鳥遊令嬢はずっと聴いている振りをされながらひたすら独り言をつぶやく悲しい感じになっていたわけか。

「僕のところは定例会とかそんなのないけど、仕事の話が多いかなマネージャーみたいに仕事中はどこにでもついて歩くんだけど、周りの社長も同じことしてるからこれが一般的な感じなのかな。」許嫁じゃなくてマネージャーっぽくなってるよねそれって感じだが浮気されないように当人が見張っているとなんて厳しいガードなんだろう。

「僕のところは今まであってたんだけど、何故か会えなくなったんだよね。どうしてだろう。」

山内君が落ち込んだように語りだしたがそれはきっとサードがパニックになるほど売れて忙しいからなのではないかなって思っている。

「いや、サードがあれだけ注目されて忙しいんだからそりゃ会えなくなるんじゃないの?」とさすが野口君ばっちりしたアドバイス。

「でも、小鳥遊さんは忙してもあってたりしたんでしょ?」

「仕事を部下にぶん投げて会いに来てたみたいだけど、さすがに高原がそんな無責任な行動をとれる性格ではないだろ。」

「あっそうだよね。」

山内君は許嫁を無下に扱っていない。

鈴木君は政治家の圧力にやられている感じだし、加藤君は仕事だからという理由か野口君に至っては太郎の情報があるときはほとんど興味なさそう。

じゃあこの中で一番許嫁を無下にしているのはだれだって?

もちろん・・・・この僕さ!

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


主人公は一度も会おうとしないからね!

野口君ですら会っているというのに二十歳まで合わないぞという鋼の決意である。

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