第52話鈴木爆発

転校生はなぜ中間考査目前の時に移ってきたのだろうか、まじで不運だとしか思えない。

時期が悪すぎるだろうというか中間考査が終われば夏休み突入だしもう少し早い時期はなかったのかなぁ・・・。

この学校は比較的レベルが高いということは当然ながらテストもある程度のレベルな奴が出てくるのだ。

僕も一応復習をしてテスト範囲の授業対策をしている程度であるが赤点だけは取りたくないというただそれだけの努力である。

こういう時は勉強会というイベント発生すると決まっているが、残念なことにうちには同じ学年の妹がいるのだ。まあ、あの妹のことだ勉強なんてろくにやってないから妹とは確実に勉強会する羽目になるだろう。

というか新作発売日がテスト前日なのだが、徹夜してやろうとしている時点でテストを捨てているとしか思えない行動をしようとしているのはたぶん妹だけなんだとおもうんだよね・・・。


この時期になるとアイドルたちがぴりつきだし、ファンが恐怖に悲鳴を上げる週間でもある。

仕事と勉強の両立は大変であり時間もない中ファンサもしなければならない。空いている時間は少しでも勉強時間にあてたいという焦りでぴりついた空気をまとっているためファンは声かけを自粛するほど空気を読むのである。

まあ一部ファンを除いてがつくのだが・・・。

アイドル達は大体同じ学校へ通っていることも多く点数勝負してどや顔マウントを取ることが予想されているからなおさら勉強に手が抜けない。

ライバルグループだったりしたらもうSNSで喧嘩になるだろうそんな状況だった。

とはいえ、サードは朝から大人気で行列は衰えることはなく、スタッフは行列の整列に追われているそんな待ち時間を利用してSNSで発信するのだが今日は教科書片手に並んできる客が多い。

赤い下敷きで文字を隠してはブツブツと唱えたり単語カードをめくりブツブツという受験シーズンのような状況が展開していた。


「あーもう!太郎が食べたい!!」

鈴木君が爆発した。

お稽古にテスト勉強にと毎日詰め込み過ぎたせいでパンクしたのだろう。

僕たちはなんだかんだ言って太郎を食べてはいない。

僕は妹といったから2回目かなって程度だ。

いやBBQ太郎を含めるのはちょっとねぇ。

野口君は家太郎をしているのでお店に行かなくてもよさそうなのだが、鈴木君は時間が厳しくて太郎にありつけない。

「ねぇ、みんな僕の家で勉強会しようよ!」

太郎が食べたいからの勉強会を開くという下心丸出しの誘いであった。

「勉強会か・・・。得意教科みんなあるの?」

と得意教科なんてあるわけないだろみたいな感じの山内君から発せられた疑問により僕たちは無言になった。

みんな勉強苦手じゃん・・・。

「歴史なら得意かな。」僕は暗記問題ならいけるかもしれないとそう暗記問題は他人に教えなくても大体いけるのである。覚える箇所をわかりさえすればいいのだ、あとは個人の記憶能力の差でしかない。

「まあ、数学はいけるぞ」野口君は理系男子だった・・・。

ということで後は全滅男子でどうやって勉強会をするのだろうかと思ったが、「勉強会楽しそうじゃんやろうよ!」と加藤君が乗り気だった。

何故か僕に送られてきた個人メッセージをみると。

太郎の材料が書かれていた。

鈴木貴様!!と鈴木君を見ると。

鈴木君はお願いのポーズをしていた。

しょうがない作るとするか。

それにしても何人前作らせるつもりなんだよ・・・。

ちなみに野口君は寸胴鍋担当でした。


鈴木君の家は豪邸だった。

というのも4人の母親と一緒に暮らしているということなのだ。

さすがハーレムありの世界は違うぜ!

「妹がいてうるさくなるかもしれないけどごめんね」と先に謝られたがロリいいじゃないか。

どうやら中学生らしい。

僕は事前に仕入れた太郎の玉を大量に持参している。

スープはなんか野口君が作るらしいよ。

野口君はルンルンで大きなリュックに材料がパンパンに詰め込まれていたけど、勉強会ですよ?って僕はそんな視線を送った。

河原でラーメン作っただけなのかそんな日以来だ今回は完全なる家太郎だ。

僕と野口君は台所へ案内されてほかの二人は鈴木君の部屋へといってしまった。

さて、勉強会なのに僕はいったい何をしているんだろうか・・・。

得意教科ある男子が太郎作りへ台所で作業し不得意教科ばかりのメンバーで勉強会というへんなグループ分けである。

野口君はぐつぐつとお湯を沸かし始めた。

僕は麺を取り出し、材料を並べていると廊下からどたどたと走る足音が聞こえたとお思えばぴたりと止まった。

顔が三つこちらを覗いている。

ああ、これは鈴木君シスターズではないか。

ロリロリしてかわいらしいとは思うがまあ、僕は清楚系お姉さん派だ。

確か中学くらいの妹が3人家にいるらしいけど、

4人も奥さんがいて妹が3人だけとは限らないのはお願いされた麺の玉の数が明らかに人数をオーバーしているからである。

鈴木家って何人家族なんだよ・・・。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。




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