第51話やわらかれじすたんす

「やっぱりクラスに男子がいるのに話かけちゃいけないっておかしいよ!」

反委員長過激派春原恵はマウンテンポテトにケチャマヨディップしてそう言い放った。

過激派といっても言葉がちょっぴり過激なだけで、問題行動は起こさないぞ的な過激派である。

「まあまあ、めぐちゃん落ち着いて、ケチャップとマヨネーズ両方つけると混ざっちゃうから止めようね。」

春原恵をなだめるのは反委員長穏健派の西島マキである。

折角のチャンスがあるのだからそのチャンスはものにしたいけれどクラスの波風立てたくはない複雑な心境なのだ。

「ポテトもいいけどそろそろパフェ頼まない?」

加賀香住はこの反委員長同盟の創設者つまりリーダー的存在だった。

彼女は着たい服を着る派のファッションが好きで、靴下に隠れる足の指には初夏をイメージしたガーリーテイストのペディキュアが塗ってある。

長めボブカットにインナーカラー毛先は外ハネの校則ギリギリアウトなヘアスタイル。服に隠れるて見えないところでもお洒落をするのがポイントである。

ネイルはさすがに無理なのでベースコートを塗り光沢やつめの保護をしている程度だ。

毎日やすりを使って爪の形を整えるなどこだわりを見せていた。

男子と同じ教室なんて今までなかった。

まあ、小学年の低学年までは一緒の時はあったかもしれないが高学年~中学になると一気に女子高みたいになるのだから女子高の感覚がぬけないが、改めて男子が教室にいると意識してしまう。

着たい服を着る派ファッションだった私でも、毎月買っていたファッション雑誌の購入をやめ別なファッション雑誌を買って勉強し始めるくらい自分の価値観というものが変わってしまった。


いつもの癖で派手目の服などを選びがちでまだまだ矯正できていないが、少しずつ最新ファッションを取り入れている途中なのだ。

そんな加賀香住はどうやって話しかけようか、きっかけを作ろうかと悩んだが一人ではらちが明かないとクラスメイトに声をかけて今の頼もしいメンバーで同盟を組んだのである。


「加賀ちゃんまだパフェは早いって、まだメインすらたべてないんだから」

西島真希は呆れながらメニューでお肉やお魚のページを開いてどれを頼むか促していた。

「大体おかしいんだよ!佐々木君が過ごしやすいクラス環境を作ろうって!私たちになんの得もないじゃん!佐々木君と仲良くなろう!と恋人になろうとか!そういうのだったら得なのに!」

さすが過激派である、自分だけは恋人になれるともとれる発言をする春原恵なのだ、毎回彼女はちょっと暴走気味だ。

「そんなこといったら、みんな恋人になりたいって暴走しちゃうんだから、自分だけなれるなんて都合のいいことなんておこらないんだからね。」

西島真希は二人の世話ががかりという忙しい立場になっていた。問題児を二人抱えてのミーティングという名ばかりの食事会なのだ。

このまま現状維持ではせっかくのチャンスが無駄になってしまうがそれどころじゃない現実もあるわけで、

「みなさん、中間考査の準備はしてますか?」

なんて言うと明らかに視線を逸らす二人。


今月の中頃から始まり授業では試験範囲を教えてくれるので今は勉強に集中しないと赤点をとり貴重な夏休みを補習という形で奪われてしまうのはよくないと思う男の子に現を抜かして勉強が疎かになることは委員長につけ入る隙を与えてしまうのでどうにか赤点回避しなければならないところ。

うちは比較的偏差値が高いので中間考査のテストも難しい、先輩から過去問を入手して傾向と対策を練っている。

委員長がみんなにわかりやすいようにまとめたノートを配布してくれているので、これだけお膳立てされて赤点なんて取ろうものならそれはそれで恐ろしい。

そんなことを考えていたら、恵が勝手にメニューを追加注文していた。

ポテトしか食べていないのにチョコバナナパフェ3つというもう締めの注文するあたりカスミと似たもの同士かもしれないとため息をついた。


加賀香住は、おしゃれの勉強はできるが学校の勉強はちょっと苦手であるいい点とれば自分を見てくれるだろうかなんてことを一瞬考えたがクラスには秀才が3人ほどいる。

彼女たちの点数を上回ることは難しいだろうといい点とって惚れさせる作戦はお蔵入り。

勉強ができれば、家庭教師の真似事で放課後個人レッスンということができるかもしれないが、佐々木君は真っ先に帰宅してしまうので、他の子も個人レッスン計画を実行できないのでよしとする。

一番用心しなければならない人物は新垣仁美である。

ことあるごとに佐々木君にちょっかいをかけるし、席は隣で物理的距離も近い。

最近では一緒にお弁当を食べようとした事件が思い出される。

あれはいけなかった、昼食のために重箱を用意するなど気合入りまくりであり妨害できたのは幸運としか思えない。

早く席替えしてくれないかなってみんな思っているが中々席替えの機会が訪れない。

席替えに望みを託している現状だがやはり何かしら期待をつくらないといけないだろうそんなことを一人で悶々と考えていたら注文していたパフェが目の前に運ばれてきた。

私は頭空っぽにしてパフェにかぶりついたのだった。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。







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