第45話特別なトッピング

フラペチーノは大いに受けたのはそのカスタマイズ制だった。

かゆいところに手の届く感覚が無料でできて追加料金を払えばもっと自分好みにできるのだ。

朝一杯のコーヒーがタンブラーを買えば20円引きされる。

カラーは2色から5色になったがいつも売り切れている。

新色を見せびらかすように手に持っている女子たちは憧れの的である。

SNSに乗せればいいねが沢山つくほどに希少なアイテム。

だから、コーヒーなどドリンクを買わない女子高生もタンブラーが欲しいということでオープン前の先着順位争奪戦は激しいものとなっていた。


タンブラーの値段は決して安くはないが手に入れる価値があるのだ。

既存カラー2季節の新色3で30個程度しか販売しないアイテムだ。

店にとってはリピーターを増やしたいがサービスしすぎると利益がでない。

タンブラーは割引券のようなものなので多く売れないがマグカップや

タンブラーケースにそれにつけるアイテムなどはまあ数量が出せる。

売れ行きをみながらグッズの販売も展開しつつブランド力を高め昔のイメージを払拭しつつある。


ラーメンではない分野しかもコーヒー専門店で成功を収めてしまいその才能がまぐれではないということが事実となってしまった。

本物の天才、ヒットメーカーであるその力にあやかりたい企業はたくさんいるだろうし自分の会社で囲いたいと思う輩も出るのだが

まあ許嫁が例のあの人では大手企業やまともな企業は手出しができないという歯がゆい状況だった。

ということで小鳥遊&高原両名に協力依頼の電話やメッセージが殺到することになるという異常事態が起きていた。

業績が落ち込んでいた会社が急激に復活するのだ裏どりするのは当たり前である。


太郎のスープの作り方はもう割れていて材料さえわかればだれでも作れるという状態になっていた。

大手チェーンは格安太郎を武器にそのパイを奪おうと躍起になっている。

コーヒーショップは売れてる商品を丸パクリして出せばいいだけだ。

ということで飛ぶ鳥を落とせとばかりにブランドコピー品が出回り始めた。

他者のコーヒー店は対応が早かった。

サードが全国展開し始める前に商品化してしまったのだから。

サード側も悠長に試験店などやっている場合じゃなくなり全国展開に乗り出すきっかけになったのはいいことだ。

僕も迂闊なことを言ってしまい、タコス開発という試練が追加されてまじ大変だった。

「「つーくん、おひさー!今日はなにつくるの?」」とWロリお姉さんズに迎えられた時といったら最高だったね。

やっとのことで開発したタコスは朝食として、小腹がすいたときなどにと好評のようである。

タコスよりも、ノアールの販売を再開してくれ!と思うのだが列がさばけないのでまだまだ先になりそうだ。


ほんとうにこの季節は参るよなぁ・・・。

空を見上げれば分厚い雲が一面に広がり雨が降り出しそうな天気だった。

一応折り畳み傘は常備しているからまあ困らないが雨は好きじゃない。


まあ、雨で透けるのは好きなのだが、外に出るのが面倒になるし濡れると気持ち悪いしなどと考えながら保健室へ

「ねぇ、転校生がくるってさ。」

「おはようより先に言うことってそれ!?」

鈴木君の興味は転校生に向いていたらしい。

「どうせ女なんだから関係ないだろ」

と野口君は教科書に視線を落としながら話すくらい興味がなさそうである。

「ははは、言えてるね。」と加藤君も同意らしい。

「それよりさ、これ飲んだ?」と山内君は珍しくサードの抹茶ラテだ。

「よく並んで買ったね。」と加藤君が苦笑いしている。

「いや、今朝許嫁にもらったんだよ。僕のは特別なトッピングしてあるみたいだけど」

「僕のはってみんなに配ってるような言い方してるけど・・・」

「あれ?おかしいなみんなの分もあるって話だけど」

そんな話をしていると保健室がノックされた。

「これ、お届け物です。」とスーツ姿の女性がバックを手渡してきた。

「あ、それかもしれない。」

わざわざ学校にデリばるほどなのか?と思いつつもバックを開けるとタンブラーが入っていた。

山内君はプラ容器なのに僕らの分はタンブラーでした。

悲しげな表情をする山内君である。

それぞれのタンブラーに名前のシールが貼ってあるのでそれぞれ手に取り蓋を開ければフルーツゼリージュースが入っている。

「あっこれ、タコス開発中に作った飲み物だ。」とタコスの試食地獄に嫌気がさして気分転換に作ったドリンクで「「夏にぴったりー♪」」とWロリが喜んで飲んでいたことを思い出す。


まあその時はソーダでわっていたがさすがに炭酸は入っていないようだ。

ベリー系とリンゴなどを混ぜたすっきり系のジュースにシロブドウ系のゼリーと果肉にナタデココが入ったフルーツポンチを思わせるキラキラドリングである。

山内君は「え?僕の分は!?」といっていたが「抹茶ラテのんでるだろ」と野口君につっこまれていた。

甘すぎずゼリーと果実により少し空腹も満たせる素晴らしい飲み物にみんなでワイワイとさわいでいたら転校生の興味は薄れていった。

何故山内君だけハブったのかは謎であるが僕だけに赤く着色されたハート型の寒天が入っていたのは黙っておこうと思ったのだった。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


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