第29話料亭
デカい門をくぐり庭園のような小道を抜ける。
まるで別の世界に切り離されたような感じがする。
高級店は店構えからして違うのかと圧倒されながら
玄関へはいると着物姿の女将の深々とした挨拶から始まり
案内されて奥の座敷へ畳に大きな一枚板のテーブル。
庭には鹿威しがあった。
このシュチュは!?とピンとひらめくものがあった。
「野口君、そちも悪よのぉ」
ととりあえず野口君に言ってみた。
「・・・・おとなしくしてようね」
「――ごめんなさい。」
こういうおふざけは通用しなかったようだ。
次々と料理が運ばれてきてどれもこれも、高そうなものばかりだ。
尾頭付きの刺身とか飾り切りした料理とかもう芸術作品のような域である。
こんな美術作品みたいな料理が出たらそりゃ、食欲どころじゃない。
味がしないのもわかりみが深い。
鈴木君苦労してるんだね。
一通り料理がそろったところで、遅れてやってきた高原お嬢様と隣には知らない眼鏡をかけた知的ウーマンがいる。
「彼女は駅前店の責任者です」
「橋本です、うちの店で画期的な新商品を出していただけるそうでありがとうございます。」
え?もうなんか知らない間に商品を出すことが決まってるみたいな話になってるけど!?
ちょっと!僕何もいってないよ!
落ち着け僕、とりあえず順序だてて話していかなければならない。
例えば既存のメニューにプラスした新しいドリンクサービスだ。
そのドリンクメニューにトッピングしているトッピングを無料増量でカスタムできるようにする。
さらに、課金コンテンツでホイップクリームやチョコチップなどマシマシサービス。
更に課金でラテアートという具合でそれをわかりやすく説明しなければならないのか。
まあ、なるようになるか。
僕は知的ウーマンに炭酸水をお酌されながら、刺身を頬張り野口君をチラチラ見る。
助けて、野口君!君が頼りだ。
野口君は料理に手を付けずに炭酸水を飲んでいる。
僕の視線に気づいてくれない。
しかたないやるしかないと僕は覚悟をきめて発言することにした。
「それでですね。まずメニューなのですが。コーヒーなど軽めのドリンクはおいてあるようですが、エスプレッソを主軸としてるのでフードがほかの飲み物と相性がよくないですね。」
「!?」
野口君?なんでそんな顔で僕をみるの?
「ということで間口を広げて客層を増やしましょう。
コーヒー、ココア、カフェラテなど軽いドリンクの種類を増やして、軽めの朝食、お昼、軽いおやつに対応できるメニューが望ましいと思います、あと、ラテ系の紅茶や抹茶ラテなどよさそうですね」
「あの、そんなに商品数を増やしても在庫が増えるだけなのでは?」
「なので、主力商品を強化しつつ脇役商品の在庫は少なく維持すれば問題ないとは思います。」
僕は高校生なので経営のことなんてさっぱりわからないので突っ込まないでくれ。
というか僕が余計なこと話さなければいいんだよな。
あー、あの店で伝われば一番なのに・・・・。
高級店で高い料理をたべてしまった以上話さなくてはイケナイ・・・。
ということで、トッピングの充実、ドリンクとフードの強化などをして毎朝に立ち寄りたくなるような
手軽な店に方向をシフトするような話をしたのだが、
橋本店長に一言話せば二言ぐらい質問されるし、具体的なってそんなのしらないよこっちの世界にないカフェだけど
めっちゃ流行ってたってくらいしか頭にないし
もぅ、僕のHPは0である。頭から湯気がでそうだ。
僕の話を話半分で聞く橋本店長と目を輝かせて僕を見つめる高原お嬢様のこの差なに・・・。
まあ、やるだけのことはしただろう。
「少し席をはずしますので、ゆっくりしていてください」
と二人とも出ていくので僕は、せっかくなので豪華なごはんを食べることにした。
----said----
「なんですかあれ、ただの詐欺師じゃないですか。お嬢様は人がいいからすぐ騙されるんですよまったく。」
橋本店長は最初から話を聞いていなかった。高校生が店の改革?どうせおままごとだろうと
突っ込んだ話をすれば答えられない具体的な成功例もないそんな話は普通に通らない。
素人妄想などでうまくいくならだれもが成功している、そうなっていないから社会は厳しいのだ。
「そんなことないですよ、佐々木君はよく考えています。
そうですね、オフィス街の近くで気軽におしゃれなコーヒーを買える店いいと思いますよ。」
「何を言っているのですかばかばかしい、本格的で格式の高いコーヒー、香りを味わいゆったりとした時間を過ごす
これがうちのスタイルではないですか。何がおしゃれなで気軽に買えるコーヒー店ですか。
わが社の大切にしていた格式が下がってしまいます。」
「その格式にこだわりすぎた結果が数字となって表れているのです、私たちには受け入れがたいような革命が必要なのだと思いますよ?」
「お嬢様が勝手に騙される程度で済まないのでこうして苦言を呈しているのです、
失敗したらお嬢様に責任を取ってもらいますからねいいですね?」
一応全国店舗ナンバーワンの売り上げをほこっているので発言権はあるがそこまでの権利はない。
「ええ、きっと成功しますよ、成功したらあなたは下働きからやりなおしですね。」
お嬢様の笑顔の裏には般若が潜んでいるのかもしれないそんな笑顔だった。
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僕がはち切れそうなおなかをさすっているときに高原お嬢様だけ戻ってきた。
商品開発をする話を進められてしまい明日の放課後からと頼まれてしまった。
もうほんと勘弁してください
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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