第21話自家発電それは外で
旦那様と最近メッセージのやり取りをする頻度が増し、
心は軽やかに躍る気持ち――。
だが、もっと私のことをきいてほしい、私が普段何をしているのか。
どんなものを好きなのか、少しでもいいから興味を持ってほしいという欲望がわいてきてしまうのは現状維持では満足できないからにほかならない。
そんな不満はあるもののおおむね現在の関係については満足している。
以前は月1回で短文の返信だけというなんとも味気ない会話だったのだから、贅沢を覚えてしまうのはとてもよくないことだ。
それもこれも太郎という共通の話題があってこそである。
旦那様とお話するには太郎というワードを入れないといけない。
それを入れないとまず返信されないくらいとても重要なワードになっている。
それさえ入れれば滅茶苦茶ハードルが低く、即返信がくるのでもうフィーバー状態。
そりゃ、躍起になって太郎の情報を仕入れたり太郎ブームが少しでも長く続くように手を打っている。
今日も旦那様とメッセージのやり取りができて今にでも天に昇りそうな気分であるのだが・・・・。
友人の重い相談メッセージをどうするかと頭を悩ませていた。
既読した手前長時間放置もさすがにまずいが短時間で返すのもテキトウに思えてしまう、ちょうどよい時間とは何かは私はわからない。
あの茶会の出来事を思い出すがいつも以上に大変だった。
あの方が茶会で手前味噌かの如く、自己がタブー化させた許嫁の話で長口舌を振るっていた。
今回の場所が茶室という相性が最悪な組み合わせなことで、心身ともに疲弊した。
長時間正座で正し姿勢を崩すことなく応対し、お抹茶をいただきながら京菓子を摘まむのだが、雄弁な語りを聴講しつつも隙を見計らいながら両足を立てしびれを誤魔化す一種の耐久レースとなっていた。
そりゃ、もう姿勢を崩したら後が怖い、もちろん話を聴いていなくても同様だ。
そんな演説が終了すると各自近況報告へ移るのだがあの方の話は私の趣味の店の話でもありあまりの好調ぶりにほかの令嬢たちに無意識のうちに圧をかけてしまった結果になってしまったのはちょっとだけ責任を感じる。
その場限りの慰めの言葉など相手を不愉快にさせてしまうので下手なことはいえない。
そんなことを言えば勘違いされてしまうかもしれないからだ。
どうしようか、あの人に相談しようかと思ったが全力でそれだけはいけないとブレーキがかかる。
そうだ!こういう悩みこそ旦那様に相談すればいいのではないか! 天啓を得た私は高速で指を動かしメッセージを送信した。
旦那様も許嫁に頼られて胸きゅん間違いなしだ!
知っているならばだれか止めてやれば良いものをご令嬢の胸キュンは違う意味で野口君を胸キュンさせていたのだった・・・・。
+++
なんというか娯楽がない・・・。
娯楽はあるが趣味が合う自分の好みにあった娯楽が乏しいのだ。太郎というコンテンツは僕の手の届かないものになってしまった。そういえば、コンニャク麺ののぼり旗が減っているような気がする、そのうちこの周りも太郎系ラーメンだらけになったらたまに変わったラーメンが食べたいという需要もあるので流行りを追いかけるのは考えてほしいものだ。
大体の娯楽は女性用であり9割が女性向けでその1割しかない男性向けもほぼ女性向けみたいな微妙な感じである。
書店では服を着た男のグラビア、18禁ゾーンでは上半身裸の男性写真とまあ男ばかりである。
テレビでは良く肥えた女性が半裸になり笑いを誘おうとするが僕はテレビの電源を無言で切りスマホをいじる羽目になる。目が汚れる映像のオンパレードに僕は意を決してメッセージを送った。
僕:お前ら!自家発電のおかずはなにをつかってるんだ!
鈴木:自家発電ってガソリンじゃないの?
野口:鈴木君そうじゃないって軽油だってば
鈴木:え?そうなの、両方使えるってことかな?
加藤:キャンプ行く話してるの?
だめだ、こいつら話が通じない。
出鼻を挫かれ間違いを訂正する気になれないので
話を続行するしかなさそうだ。
野口:え?佐々木君誰とキャンプ行くの?
僕:いや、ちょっとソロキャンしようとおもって
山内:アウトドアで外太郎!?
僕:河川敷で太郎自作するの?それはそれで大変そう
鈴木:休みのスケジュール確認するから待ってて!!
加藤:鈴木君ソロキャンなのについていこうとしてる
野口:俺の知識と経験を披露する時が来たようだな。
山内:わーい、野口君なら本店の材料も仕入れられるし
再現度抜群だね!
僕:でも、さすがみんな忙しいでしょ?
僕は最後の抵抗を試みた、なんで休日に河川敷でBBQが如く太郎作りせにゃならんのだ。河川敷ならBBQが良いです。
加藤:僕は今のところ大丈夫。釣り道具持ってくるから
魚釣ってオリジナル太郎もいいな
山内:じゃあ、僕は飲み物でも持っていこうかな。
やっぱり黒烏龍?
野口:白銀烏龍トリプルがいいぞ。
山内:まかせろ!
話はトントン拍子に進んでいった。僕は一人なんの話をしていたんだろうと疑問に思ったがまあ、考えるのを諦めて変わった太郎でも食べるとするかと切り替えることにした。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
太郎BBQ編みんな興味ないでしょ?
需要ありましたらコメントへ、なければキンクリだね。
そろそろ次の話に移ろうかなぁ・・・。
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