第16話それでも重箱の隅をつつきたい

講習会という名の休日が終わり僕は早く登校したい気分だったので今日は早めに家をでた。といってもいつものように保健室によって、自慢話をして鈴木君をからかって一緒に太郎を食べに行く約束をした。


席に着くとそういえば新垣さんもあの場所いたんだよなと思うと、とても私!気になります!!って気分になった。


「新垣さんおはよう。」

「え!お、おはよう。」

挨拶しただけなのにその動揺ぶりからして、僕がなんかやらかした気分である。

そういえば、初めて朝の挨拶したような、まあいいか。って妹に怒られるじゃん、挨拶しちゃいけないんだったよ、だから動揺してたのか。


「新垣さんなんで昨日一昨日とあの場所にいたの?」

「えーっと、親の代わりに出ることになっちゃって。」

なるほど、親が太郎の店舗で働いてるということかって結構店遠くない?かな。

「へぇ、すごいじゃん、あんなに真剣に頑張ってる姿初めてみたけど、素敵だったよ。」

親の代わりにあんなに一生懸命とはとても感心してしまったので僕は素直に褒めることにした、というかまあそれしか用事ないけど・・・。

「あ、ありがとう。」

「そんだけだけどね。」

「うん。」

なんか、いつもの新垣さんと違うような感じだけどまあ、いいか。

僕が新垣さんとちょこっと話したらクラスの雰囲気がちょっとおかしくなった気がしたけど気のせいだよね。

授業中に熱い視線を隣から感じる。


まあ、なんだか様子がおかしい隣の席の新垣仁美さんだが、これは封印がとかれる前兆なのか?と思いつつも授業に集中と板書をノートに書き写しながらも艶っぽいタメ息が隣から聞こえてくるので、過敏に僕が反応してしまうからちょっとやめてくれないでしょうか?と集中を乱されるハプニングが多発していて僕は超集中力が欲しい!

と一瞬おもってしまった。


中間考査もあるので赤点は取りたくない。

赤点の補習でマウストゥマウス事件が起こったため

男子の補習授業は免除されているし進級できないってこともない。

ペナルティーがないが単純に格好悪いという理由で男子は赤点回避に全力なのである。

ペナルティーがないから赤点取りましたではとても恥ずかしい。

芸能活動している男子高校生でさえ赤点とらないのに何もしてない僕がとるわけにはいかないのだ。


ということで隣の誘惑に耐えながらやっと昼休みになった。

「ねぇ、佐々木君たまにはお昼一緒しようよ。」

とお隣さんからお昼の誘いを受けてしまった。

僕はノータイムで首を縦に振ったのだった。

だって、女の子からのお誘い断れるわけなくね?

「実は今日ちょっと多めにつくりすぎちゃって」

!?

このセリフは、まさかアレなのか!

夢見る男子学生なら一度はあこがれたことがある手作り弁当というやつなのでは!?

本当であれば購買でパンを購入しなければならないのだが弁当が僕の分もあるなら話は別だ!


これが!夢にまで見た貴方の分のお弁当作ってきちゃった♪なのだと期待に胸膨らませた僕が見たのは重箱だった。

いや、それ普通のご家庭で持ってこないから・・・。

なんで重箱なんだというツッコミをするべきか迷ったのだが、止めておいた。

とりあえず机を動かしていると何故か前の席の加納珠さんと渡辺美沙さんも机をくっつけてようとしていた。


「はぁ?あんたらとは一緒に食べるなんていってないだろうがぁ!」

と吠える新垣仁美さんをみて、え?この子ヤンなの?と僕が鳩豆な表情でその光景を見つめていた。

新垣さんは慌てて口を手でふさぐと「今のはちょっと違うんです、驚いただけなんです。」

と言い訳をしていたが、驚いてドスの効いた声を出せるとは相当場数を踏んでいなければできない芸当なのではと軽く疑問に思ったが止めておこう。

だって、初めての女性からの弁当(まあ重箱だけど)が食べられるのだ

何もなかったと思って聞き流そう。


と僕が先ほどの光景を呑み込んでいた間に、クラスの女子たちがどんどん集まってるんだけどちょっと、多すぎじゃないかなということで

「新垣さん、お昼はまたの機会ということで!」

僕は泣く泣く逃げるという選択で回避したのだった。

まあ、購買戦争に出遅れたから不人気こっぺさまと購買のお姉さんがサービスでくれるプチっとあんバターを手にああ、重箱の隅でもいいからつつきたかったなぁっと思いながら保健室へむかうのだった。


一人敗戦した面持ちで戦利品のこっぺをもっちゃもちゃしながらスマホを操作していると

「佐々木君、うどん県の太郎めっちゃおいしそうなんだけど」とスナグラのURLを送ってきた。

「確かにおいしそうだね。麺も結構極太だし、瀬戸内海産の魚のフライとチャーシューのダブルトッピングなんてとてもいい。」

「僕はずんだ県店が好きだなー。」鈴木君は笹かまにちょい乗せしてあるワサビを見ながらつぶやいていた。


みんな好みはそれぞれ違うので太郎といえども奥が深いなぁっと思う。

リンゴ県から挑戦的な激辛太郎が出てるが、僕は辛いのは苦手なのでいくらすりおろしリンゴを加えマイルドに仕上がったと書いてあってもちょっと尻込みしてしまう。

「元町中華でいま太郎出してるとこも行列凄くて入れないらしいよ。」

加藤君は一人で太郎に行こうとするチャレンジ精神はさすがだが、まあ、僕もその気持ちわかる。


近場に太郎2店舗で両方満員とかどうなってるんだよと僕がレポ食という有名サイトで口コミチェックしていると本店のほうが評価が高いらしい。

旧町中華のほうは、スープの具合が時間帯でよくなかったりあるらしい。

評価は★4.9と見たこともない数字をたたき出していた。

うそやろ!さくらっぽすぎて信用性のない評価になってるが長蛇の列だし

まだまだ、僕たちが気軽に行けそうな感じにはならなそうである。

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。

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