第13話誰かコンサートするのかな?

開店前から長蛇の列ができていた。

あまりの長さに警察まで出動する騒ぎとなっていた。

準備が忙しいのに警察からの指導をうけてしまったために

スタッフ1名を行列整理に回すことになり、

開店準備がいつも以上に目まぐるしかった。

前代未聞の大騒動に開店前なのはずなのにピーク対応で迎え撃たなければと

朝からスタッフともども気合を入れた。


行列を少しでも多くさばくために事前に注文を確認をとり始めた。

いつもよりも早く開店し客の食べ終わりなどを計算しながら次の注文をさばく

さながら厨房は戦場と化していた。

予想外なんてものじゃない、もやしが尽きる前に買いに走るスタッフ。

昨晩の報道を受けて用心して作った麺が心持たないくらいに押し寄せる人々。

注文客はそんな列をみてか、着丼した瞬間から黙々と太郎をすすっていた。

順番待ちの列はちょうど玉切れする人数で終わらせている。

店舗のキャパもそうだが調理スペースの問題など極太麺だから茹で時間が普通の麺より圧倒的にかかる。


店自体は全国展開しているものの太郎はここでしか販売していない、作り方もまだまだ試行が足りておらず納得のいく味を出し切れていなかった。

スープの消費も激しく、麺もそうだが煮込み時間がかかるスープが切れるのはとてもキツイ。

寸胴鍋2つ分用意しているというのに・・・・。

怒涛の忙しさで昼の部は麺切れとともに終了した。

開店も早かったが終了も早かった。

今度は夜の部に向けて仕込まなければいけないので、早く終わったからといっても忙しいのには変わりがない。


この店の近くの古い中華料理屋と交渉してお店を借りられることは確定している。

近いうちに近所に太郎専門店が完成するまでのつなぎらしい。

ここはいつも通りのラーメンを提供し、専門店で太郎を扱うというお嬢様の計画らしいが、太郎はあまり流行らないと思っているお嬢様の計画通りにいかない気がする。


近隣に二店舗太郎の店を作り客をさばく作戦であり、閑古鳥が鳴いていた中華料理店が一時的でも懐が潤うのだから願ったりというところかもしれない。

その臨時店舗を熟練アルバイターの平井さんとあとはヘルプスタッフで回すという無茶な指示ではあるがやるしかないのだ。

平井さんは製麺やスープづくりなど一通りできるし、私が毎回味などをチェックに店を訪ねるので問題はないだろう。

問題は仕入れのほうかもしれない・・・・。


スナグラには太郎臨時店舗の紹介と地図に駅からの道のりなど詳しく紹介していてそれにも大量のいいねとリグラムされていた。

はっきり言って一店舗増やしたところで焼け石に水ですとお嬢様に伝えた。

まあ店舗数を増やしたところで、太郎を仕込めるスタッフが居なければ話にならないのだ。そう重要なのは製麺とスープが作れるスタッフですよ!

休日にマスターの太郎講習会を!

太郎専門スタッフを作って対応してください!

太郎の伝道師ことマスター太郎、佐々木努その人こそミスター太郎なのである。

太郎の話ならマスターに相談したほうが確実だと進言するも小鳥遊お嬢様の腰はとてつもなく重そうだ。


一時的な需要を数で対応して乗り越えればいいだけ、あとはパクリ店が出たりブームが廃れるので全国展開までは考えていないお嬢様と違い。私は全国店の店長を招集して太郎講習会の実現をと嘆願しているが果たして実現なるのだろうか・・・。


                        +


野口君からメッセージがきた。

太郎の講習会を開いてほしいみたいなことが書いてあるけど僕高校生ですよ?

まあ、太郎のためなら講習会でもなんでもOKだぜ!と即返信だ。

んでもって土日に講習会を開くことが決定したのだが野口君も参加するらしい。

そこは僕の手伝いしてくれるんじゃないの!?

休日に太郎講習会とか燃えるぜ!


まあ、調理スタッフは全員女子だしムフフな展開も期待できるかも!

とルンルンな僕は太郎ノートという分厚いノートを取り出しパソコンで

太郎についてわかりやすくまとめていた。

明日までに完成するだろうか、そう明日は土曜日である。


高級な長い車が僕をお迎えにきたのだと妹が興奮気味に僕に伝えてきた。

いつの間にか寝落ちしていた僕の寝起きの脳みそは低速回転だったが、

そうだ!今日は太郎講習会の日と思い出したとたんにフル回転し空回りした。


完成された資料をUSBに保存してちょっといい服に着替えると送迎車に乗り込んだ。

「野口様おはようございます!」

「佐々木君朝からテンション高いね!それと朝早く起こしてごめんね」

「徹夜で資料作ろうと頑張ってたけど途中で寝落ちしたみたい!妹に起こされたよ!」

「資料ってそんなの必要なの?というか完成したのかな。」

「もちろんこのUSBに保存しているから問題ない」

きらんと光るUSBは僕の努力の結晶が保存されている。

「それ重要情報だから盗まれないように!」

野口君の血走った目がマジだった。

「おっおう。」

コンニャク麺ブームが起きた矢先にこの太郎騒動だ。

コンニャク県やコンニャク麺でラーメン店を始めたばかりの店舗は結構多いため騒然としてるだろう。

ということで小鳥遊グループが保有するドームの前で車が止まった。

え?これってコンサートドームだよね?

誰かコンサートするのかな?


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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


す、少し遅れたのじゃ。すまんのじゃゆるしてたもれ・・・。

こういうことしちゃうから迂闊に何時ごろ上げますなんて言えない。

けど、大体同じ時間に上げてるし・・・・orz




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