第9話ラーメンを超えた究極の

帰宅して早々妹にニンニク臭いから近寄らないでと怒られた。

まあそりゃそうだよね・・。


夜はグルチャに試作太郎がどれほどまでに完成していたかを大いに投稿した。

鈴木君が荒れた、僕も行きたかったと連投するなどご乱心である。

こういうイベントは男子にあまりにも縁遠いのでかなり貴重な出来事だったのだろう。

二日連続で臨時休業は難しいということもあり、予約席対応ではあるがついに完成版太郎を味わうことができるという興奮でちゃんと眠れるか心配だ。


朝から野口君と打ち合わせをして放課後何時ごろに尋ねるかの最終確認である。

昨晩出欠確認を取ったので今日問題がなければ大丈夫だろう。

楽しい時を思いながら過ごす時間は案外早いものだ。

放課後の保健室は期待感に満ち溢れた同志たちが集合していた。

全員昼飯を抜いたいい面構えをしている。

「おなかと背中が・・・」

とお腹をおさえて元気をなくしているようだが鈴木君、安心してくれ今度は苦しくてもう入らないと叫ぶことになると僕は予言しておこう。


男性が集団で歩いているということはとても珍しい光景である。

ただでさえ少ない男性しかも学生服を着た集団が歩いているのだから、新人ボーイズグループだと勘違いされてもおかしくない。


そんな街のざわめきよりも太郎のことで頭がいっぱいの僕は結構なざわつきになっているのに気が付かなかった。

ラーメン店に到着するとバイトの女の子がアップアップな対応で席に案内してくれたので普段普通に接客できてるか心配になってしまった。


店内で食事している客も騒然である。

そして何故か店外に人が集まっていた。

「中川店長!大豚野菜ニンニク油マシマシでおなしゃす!」

挨拶に来た中川店長に向かって魔法の言葉をぶちかましたのはテンションが上がりすぎていたからだろう。


「すみません中川さん、佐々木君は昨日に引き続いてテンションが高いので気にしないで上げてください。」

にっこり微笑む中川さんの大人な対応であった。

太郎には3サイズあるが、無難なのが小ラーメンである。

僕がチョイスしたのは、小豚ニンニク野菜油まし。

小ラーメン150gにチャーシュー追加、ニンニク、野菜、背油が1.8倍増しという内容だ。


太郎初心者は必ず小を頼んで胃袋具合を確認しておかなければお店に迷惑をかけることになるくらい太郎は意外と多いのである。

ちなみに僕と野口君は太郎経験者なので野菜はマシマシだ。

それをみた鈴木君はとても楽しそうに

「おい!なんで二人のだけ野菜が富士山みたいになってるんだよ!!」と興奮していたのであった。


「すごい量でしかもこの刺激的な香り・・・」

うっとり顔の加藤君は早速スマホで写真を撮り始めた。

みんなもはっとなって撮影会をした。

「いただきまーす」×5

「うめぇ」

山内くんそれ野菜しかたべてないよ?

ちゃんとニンニクと背油絡めたほうがおいしいよと思いながら

適度に茹でられたシャキシャキもやしに背油ニンニクをのせ口いっぱいに頬張る。

うんめぇぇぇぇぇぇ!!

脂肪と糖のダブルパンチで満足度爆あがりである。

僕たちは無言でひたすら太郎をすすった。


もうとにかくひたすら、汗をかきながらどんぶりとの戦いに興じたのだった。

「さすがに腹が苦しい」と加藤君

「もう、何も入らないよ・・・」

朝と同じくお腹を押さえている鈴木君の表情は満足感でいっぱいで幸せそうである。

噛み応え抜群の極太麺とたくさんの野菜にそしてヘビー級の背油

大抵の初心者は背油にやられ入るはずの量が食べられなくなってしまうのだ。


みんな太郎ラーメンを残すことなく完食していた。

野口君も完飲までして、伏せ丼しそうな勢いだった。

「もう、食べ終えてしまったのか・・・」

君はりっぱなタロラーだよ、野口君

食器を下げにアルバイトさんがきた、僕たちは満身創痍である。

「ラーメンはいかがでしたか?」

「なんというか、すごいラーメンでした、また食べたいです。」

といい感想を山内君が言っていた。

みんな腹がぱんぱんでしばらく戦闘不能だろう。

僕と野口くんは中川店長に呼び出された。

なんでも僕たちが食べているラーメンが食べたいという女性客が殺到しているようである。

ということで、僕は中川さんに熱く語った。

小サイズの下の小々サイズを作り、麺無し対応も可で麺かスープがなくなり次第販売終了という基本スタイルで販売することになった。

大量に売ることを想定していないので今日から店にだせないだろうと思っていた僕が甘かった。

中川店長は、僕たちを宣伝塔として利用していたことに気がついてしまった。

店の外にはあふれんばかりの客が居た。

だが、太郎のためなら一肌も二肌も脱いでやるぜ!

だって100食分以上準備してるんだもの・・・・。

トッピング提案が辛揚げ、チーズ、カレー、生卵、うずら、ネギ、ショウガ、魚粉などだがすぐに用意できないだろうと思ったけど中川店長はメモしまくっていた。

そのあと注文の仕方や、ヤサイ、アブラ、カラメ、ニンニクという無料増量可能なトッピングサービスを教えたが、マニュアルやお客様用の張り紙など作成しなくてはならないので今日は太郎小か少々のみ対応するようである。

僕たちは店長にお礼を言ったあと、満腹なおなかを押さえながら退店したが店にはすごい行列ができていた・・・。


「またニンニク臭い!!」と妹に怒鳴られる兄ってどう思いますか?

ちなみに野口様からグルチャで太郎が正式にメニュー化した報告をいただいた。

鈴木くんは毎日食べたい!とグルチャで暴れていたが君稽古で忙しいんだよね?

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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


今日は二回更新してとてもヘビーでした。

この店の普通のラーメンは、バカでかい器の真ん中にちょこんとしたコンニャク麺飾りに糸唐辛子その器の淵に大豆チャーシュー、レンコン、かぼちゃ、獅子唐、バジルオイルな動物系を一切使わないラーメンです。値段は3580円也

これ系のラーメンが大ブームといったところです。


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