第8話太郎それは
ラーメン屋というと体のでかいおじさんがタオルを巻いて腕を組んでいる店だと思ってしまう。
ところが、洋風レストランのようなシェフがラーメン屋にいるのだから驚きである。
女性1人と男性2人というなんとも逆ハーレムな環境であるが僕の頭は太郎でいっぱいである。
「今日は、太郎ラーメンの試作よろしくお願いします!」
僕の張りきった挨拶に驚く面々である。
「佐々木君今日はテンションが高めだから気にしなくていいですからね。」
まさに野口くんに手綱を握られた僕であるがそれもよし!
背油は廃棄する部分なのでたくさん手に入るしゲンコツも大量に安く仕入れられたそうだ。
なんてもったいないことしてやがるんだと思わなくもない。
今回の太郎は豚と鳥のミックスがテーマ。
鶏ガラとモミジに豚のゲンコツを寸胴鍋で煮込む。
ガラとモミジは出しパックに入れる。
鳥は早く出汁がでるので取り出すための一工夫。
さらにそこにネギ、ニンニク、ショウガ、ニラと香味野菜をいれて臭みを軽減させる。
さらに別個でネギ、ニンニク、ショウガによる香味油を作成
などなど僕の強いこだわりが爆発した。
太郎を調理してくださる女性、中川店長は僕の情熱にしっかり答えてくれた。
普通にラーメンでは使わないくすんだ小麦に更にふすまを加えて製麺
香味系野菜をたくさん使うのは動物臭さをある程度軽減さえるのと香りがいいからだ。
僕個人的など真ん中の味よりもほかの人もおいしく食べられるようにできるだけ臭みは消しておきたい。
後は煮込むだけの工程、スープと一緒に仕込んだチャー様をかえしの海に沈めるなど行った。
調味料などはすべて安い材料であり本物のみりんなどはつかっていない。
普通の小麦より安く、普通のラーメン作る調味料より安いとあって驚かれた。
だってこの店ラーメン一杯3000円越えだし・・・。
いくら何でも高すぎないか?
後はスープやかえし、麺の配合など細々としたところは店で売るわけじゃないので妥協の妥協太郎ラーメンである。
「暗くなってしまったけど大丈夫?」と中川店長はやさしい
言われてから気が付く外の暗さである。
「問題ないです!それより食べましょう!!」
「佐々木君は、まだ元気なのか僕はもうつかれたんだけど・・・。」
ちょっとぐったりしている野口君はこれから太郎で体力を全回復してもらおう。
試作版太郎ラーメンが出来たちょうどのタイミングで店の前に一台の高級車がとまった。
「失礼するわ。」
このオーラ!まさか!?
前髪ぱっつん清楚系ロリロリお嬢様の登場である。
こう見えても同い年なので身長が低いのだろう。
「野口君犯罪じゃないのか?」
「佐々木君さっきから何をいってるんだ・・・。」
「野口様佐々木様、ごきげんよう。今日はわが社のラーメン店の視察に来たのよ」
野口くんに会うための強引な視察といえよう。
だって、今日店は臨時休業なのだから。
お嬢様の目の前にあるのは太郎というなのラーメンだった。
ごわごわ麺、ゴロゴロチャー様、おまけ程度のキャベツに大量のもやし。
背油を小皿にどんどん!すりおろしニンニクドォヴァァ!という迫力満点の一品だった。
試しの一杯をみんなで食べようという感じで話が付いていたのだがお嬢様専用にミニラーメンを作ったほうがよさそうである。
ということでお嬢様を交えて太郎試作をみんなですすった。
うまい、がつーんっとくるこのジャンクさたまんねぇぇぇl!!
背油とニンニグゥ追加だ!オラぁ!
野口君は無言で食べていた、めっちゃおかわりしてるんだけど・・・。
試食ということだけあって小さめの皿に盛ったのだが4人で1㎏級ラーメンをすするとちょうどいい感じになりそう。
女性陣はあまり好評という顔をしていないのは表情ですぐにわかった。
だが、太郎は一度たべてしまえばあれはおいしくないと思っていても、翌日にもう一度だけなら食べていいかもに変わるので恐ろしい、それは沼の始まりなのだが沼にはまったら最後中々抜け出せないものである。
「脂っぽいですが何故か食べやすいです。香りもいいですし、麺の太さはラーメンとしては食べにくいですがなんかいい感じですね。」
「重たい麺料理ですわね」さすがにロリお嬢様には厳しいご様子に僕はにっこりだった。
先ほどから無言で食べまくっていた野口君はプルプルと体を震わせ
「佐々木君!このラーメン本当においしいよ!!もっと食べたいくらいだ!」
興奮して僕の肩をがっちりつかむほどだ。
「さすがだ!野口君きみならわかってくれると信じていた!」
僕は太郎の同士が増えて単純に嬉しい。
ロリお嬢様の驚愕の表情!自分の許嫁が好きな料理をディスってしまった、やらかしてしまったという顔をしているのだろう。
明日になれば今日よりもおいしいラーメンが食べられるだろう。
ということで、中川店長に翌日は友人を連れて完成版太郎ラーメンをふるまってくれると約束をした。
野口君はロリお嬢様と帰宅するのだろうし、僕は歩いて帰るかと思えば、ロリお嬢様の粋な計らいで自宅近くまで送ってもらった。
何やらロリお嬢様にメッセージ爆撃にあっているようで車の中で青い顔をしていた気がするけど気のせいだろう。
小動物のように震え上目遣いでこっちに助けを求める姿は猛烈に保護よくをそそられたのだが、僕は野口君とラーメンの感想会に花を咲かせるのに夢中でした。
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この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
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