第7話圧倒的高み

大企業や政治家たちが許嫁を放置しているなんて、ありえないことである。

政治家の許嫁ならお稽古などを働きかけるなど造作もないことだ。

また、ボーイズグループの大半は芸能系の許嫁持ち、大きい事務所ほどたくさんのボーイズユニットを抱えることができる。


そう、自由奔放に行動してる佐々木努が特別に野放しにされていることなんてありえない話である。

ストレスが少ない環境で、それでいて管理的に放置された自然派で純朴な婿という究極と清楚系ビッチに理想のシュチュで童貞を捧げたい至高

互いの高き理想がぶつかり合う瞬間でもあった・・・。


「婿殿に話しかけていた女はどこの誰だ?

調べて徹底的に攻め立てろ二度と世間を拝めないようにしてやれぇ!!」

過激にして苛烈、嫉妬深い彼女は婿に集る虫を追い払うのも全力投球。

まさに獅子博兎といったところだろう。


許嫁ではあるが自由に会えない、男性本人が会いたいといった時に面会が許される、権力者であっても例外はない。

偶然を装いすれ違うなど会いに行っていた令嬢がいたのだが初めての面会の時に男性に引かれたという怖い話がある以上相手の意向を無視するわけにはいかないのである。

募る気持ちは蓄積し、貯まりに貯まりまくり、ひどくこじらせるのも無理もないだろう。


男性の自由意志によるため、政治家は親に働きかけて会うように仕向けたりいろいろ工作するし、通常な感覚であれば定期的に会ってガス抜きするよう両親がなんとなく子供に教えるものであるが、なんせ佐々木家は基本放置、聞いてきたときは応えてやるスタイル、子供の自主性に任せるという一見聞こえはいいがただの教育放棄に他ならない。


まさかこれほどまでに会えないとはと思いもよらないだろう彼女に、さすがの周囲も同情するしかない。

彼女の友人たちの間では許嫁の話はタブーとされている。

とはいえ彼女をサポートしてくれる優秀なメイドがいる。

彼と同じクラスということもあり、学校内での彼の情報が手にはいり最近はとても充実している。

「お嬢様失礼します。今日の報告に参りました。」

「ご苦労様です、仁美。今日の婿殿の校内での様子はどうでしたか?」

新垣仁美、佐々木努の許嫁の優秀メイドその人であった。


           +


 くそっ!こうなったら太郎を自作してやる!!

と意気込むも自作はハードルが高いんだよなぁ。

僕は思いのたけをグルチャにぶつけることにした


僕:太郎ラーメンが食べたい!

鈴木:いきなりどうした?太郎ってなんだ?

僕:よくぞ聞いてくれました!

  太郎ラーメンとは極太わしゃわしゃ麺とトロトロ極太チャー様

  ゲンコツ背油野菜でたっぷり煮込まれたスープという

  中毒性の高いラーメンのことだ!

加藤:なんだよ、その不健康そうなラーメンは・・・。

僕:それがいいんだよ、ジャンキーなラーメンほどはまるというものだ。

鈴木:そんなラーメン見たことないんだけど・・・。

僕:まじか!

野口:あー、俺の許嫁がラーメン店経営してるから作ってもらおうか?

僕:!?野口様!


僕は知っている限りの作り方と材料を野口君に個別メッセージで長文を送った。

それは太郎愛に満ちた長文である、愛ゆえの行動であった。


野口:佐々木くんめっちゃこえぇーんだけどいきなり

   長文送ってくるのやめてね・・・。

僕:そ、そんなぁ・・・

加藤:佐々木君どんまい

鈴木:それより、その太郎ってラーメンいつ食べられるの?

野口:まだ許嫁にメッセージすら送ってないんだけど、君ら勢いすごくない?

僕:はやく!はやくぅ!!

野口:ちょっと!まてよ、落ち着けってば!

鈴木:野口君健闘を祈ってるよ

山内:久しぶりにグルチャがにぎわってる!ってなんだその太郎って

加藤:過去ログ読み返してから返信しようね。佐々木君が暴走しちゃうから

山内:わかった!

野口:即OKの返事来たんだけど、明日の放課後店で試作するから

   佐々木くんよろしくって感じかな。

僕:うおぉぉぉぉ!!試作太郎いただけるなんて感激です!!

  野口様!!ありがとうございます!

鈴木:ねぇ!僕は!

野口:いや、ちゃんと完成したらみんな呼ぶから、落ち着こうぜ。


未知のラーメン。

そして、そのラーメンが食べられるとあってグルチャは久しぶりに大盛り上がりを見せたのだった。


翌日の放課後。

僕は朝からそわそわしていた、妹にツッコまれるくらいわかりやすくそわそわしていた。

授業中も上の空だった。

隣の新垣さんは今日もノータッチデーでした。

いつサービスデーが再開されるのですか?

と日々を過ごし念願の待ちに待った放課後である。

浮足立ちステップとともに保健室へ王子を迎えに行く。


僕を太郎の世界へ連れて行ってくれる素敵な屋台を引いた王子様である。

「僕をラーメン店へ連れてって!」

ノックして保健室に入った第一声がそれ。

「佐々木君まさか君昨日からそのテンションなのかな?」

「はい!興奮して全然寝付けませんでした!」

「幼稚園生かな?」

鈴木君の軽いツッコミだが、君は試作会によばれてないんだよねと意味を込めて僕は余裕の笑みで答えた。

心に余裕があるって素晴らしいぜ!

ということで野口くんと一緒に夢の世界もといラーメン店へ向かうことになったのだ。

*********************************************************

感想や応援、評価の★3レビュー等ご協力お願いします!

やる気がUPします!

この物語はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。


太郎編に突入しました。

まあ、異世界定番のアレです。


ラーメンといえば最近つけ麺にはまっております。

あの、独特の風味の良い麺と触感。

そして濃厚つけ汁と一度食べたらもう病みつきになります。

温麺対応の店があるのですが、麺の弾力が落ちてしまい最大限のおいしさを

堪能できなくなるので、困りものです。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る