第4話 無限剣製(アンリミテッドブレイドワークス)
紙に能力をまとめた後、李徴は街に出かけ、味方になってくれる魔術士を探していた。
「でも魔術士ってレアだしな。そう簡単に見つかるかどうか…」
「くすくす。お兄ちゃん、復讐者の香りがするよ?」
「はっ!」
背後に立っていたのは、銀髪の小柄な12歳くらいの少女。だが彼女が放つ雰囲気は、只者ではない。
「お前…魔術士か!」
「こんにちは。私は美莉亜。唐の研究施設で生み出された人造人間(ホムンクルス)」
「人造人間だって!?」
「私の魔力生成量は通常の魔術士の三倍…あなたの復讐に、協力してあげるわ」
「俺の名は李徴だ。なぜ協力を?」
「唐の官僚達は私の身体を実験の名目で弄んだ。私にも戦う理由があるの」
「そうか。俺は高適という侍御史に命を狙われ、仕返しに奴の館を襲撃しようとしている。一緒に来てくれるんだな」
「ええ。範囲攻撃魔法『極冷氷嵐(アイスストーム)で、護衛の兵士どもを皆殺しにしてあげる」
「助かる。心強いぜ」
「うふふ。楽しくなるね、お兄ちゃん」
「よし、今夜、襲撃を決行しよう。深夜零時の奴の寝ている時間なら対応が遅れるはずだ」
憎き高適を虎の力で屠る。李徴は己の血が滾るのを感じていた。
深夜零時。
美莉亜と李徴は高適の館の入口近くで様子を伺っていた。
「門が閉まっている」
「衛兵も2人、いるわね」
「美莉亜、射撃魔法は使えるか?」
「氷撃魔弾(アイスブリット)があるわ。それで2人の衛兵を射殺する」
「俺は虎に変身して…門を破壊する」
「OK。その手筈で行きましょう」
「行くぞ…変身!獣虎形態!」
李徴の肉体が、みるみる虎に変わっていく。
勢いでガオオ、と咆哮する。
「なんだ、あの2人は…ぐはっ!」
美莉亜の魔法弾が衛兵の心臓を貫く。
「敵襲…!?くそっ、あの虎は噂に聞く李徴か!」
「ガオオ!」
残った衛兵は剣を取る。
だが1対2。形勢は不利だ。
「氷撃魔弾!」
美莉亜が魔法弾を再び放つ。
だが、衛兵を魔法障壁が防ぐ。
「あれは…ロウ・アイアス!」
「I am the bone of my sword…」
「気をつけて李徴…アレが来るわ!」
「何だと!?奴は魔術士なのか!?」
「Unlimited Blade Works!」
地中から無数の剣が生え、李徴に向けて放たれる。
李徴の肉体に何本もの剣が突き刺さり、ハリネズミのようになる。
「李徴…!くっ、ここは一旦退散するわ!覚えておきなさい!」
美莉亜は李徴の身体を持ち上げ、運んでその場を後にする。
「ふん、造作もない」
衛弓という名の魔術士に返り討ちに遭い、李徴の襲撃作戦は失敗に終わったのだった。
アルシャード山月記 江良野 @howther111
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