第3話 龍雲騎士(ルーンナイト)

節度使、郭子儀。彼の鎧は、幾度となく敵の攻撃を防いできた。


巷の人々は噂する。彼の鎧には、魔法の力が宿っているのではないかと。


「龍雲(ルーン)の鎧…この鎧のおかげで、俺は死地を潜り抜けてきた。こいつを着て、俺は安史団を倒す」

「結構なことだ。盾役として頼もしいよ、郭子儀」

「高適、狙撃は失敗したそうじゃないか」

「うるさいっ!魔石の調子が悪かったんだ!」


高適、郭子儀、そして一人の女性が、唐軍の基地の一室で話し合っていた。

女性は金の長髪で、頭からは一対の狐耳が生えている。


「しかし、桃青林…妖狐であるお前の力を借りねばならんとはな」

「獣を倒すには獣の力が必要じゃ。この私、桃青林は妖狐(フォックステイル)の魔術士。回復魔法でお前達を支援する」

「この俺、郭子儀が攻撃を防ぎ、高適が雷光魔弾でダメージを与え、青林が回復をする。それで持久戦に持ち込めば、強力な虎である李徴を討伐することができるはずだ」

「問題は李徴をどう引きずり出すかだ。命を狙われた奴が、どこに逃げたか見当がつかない」

「監察御史の袁参。彼を餌にするのはどうかな」

「というと…?」

「袁参を謀叛の角で処刑すると巷に広めるんだ。そして処刑場に李徴を誘き寄せ、奴を討伐する」

「うーん、乗るかなあ」

「良い考えじゃ。高札に、処刑場への誘因魔法をかける。それで見た者を処刑場に誘き寄せる事ができる」

「魔法って便利だなあ。じゃ、それで」


郭子儀は元々魔法の存在を信じていなかったが、魔術士である高適や妖狐である桃青林と接するうちに、徐々に知識を深めていた。

彼は仕事仲間である袁参を呼びつけ、「虎になった李徴はもはや人としての理性を失っている。彼を誘き寄せるために、処刑されるフリをしてくれ」と頼み込む。

袁参は皇帝の臣下としての立場を弁え、辛い気持ちを抑えながら、協力を了承したのであった。

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