第11話 情緒ジェットコースターかよ
「それで?
ろくに話を聞かずに返事したら…」
「魔王の城へ行って、ヴィクトリアの国民とリリの交換をすることになったと、?
そういうことじゃな?」
『Yes☆プ◯キュア5☆』
「「リリ??」」
『あれ、私一応真面目枠だったんだけどなぁ』
「今はそこじゃない!
何了承してんの!?馬鹿なの!?」
「うむ!何より、魔王の目的が分からぬ以上、リリを向かわせる方が危険じゃ!」
『でも、私1人とヴィクトリアの民の命を比べたら……』
「そういうことじゃない!
単純な”数”で見たらそうかもしれないけど、あたしやハクからしたら、その他大勢の命より、リリの方が大切なの!」
「そうじゃぞ
リリ、お主は優しい、じゃが、その自己犠牲の精神はいただけぬ」
『…私は優しくないよ
漫画の主人公のように、誰かのために怒ったり、大切な人のためにタイムリープを繰り返す精神力もない…特別な力も無い…
ただただ、無力な子供だよ』
「…そりゃあそうよ
あたしだって、そうだよ
リリが魔王のミツギモノになるって聞いたらすごく腹が立った。
けれど、”私じゃなくてよかった”とも思ってしまった。
人間そんなものだよ。
みんな、弱いから、自分より惨めで、可哀想な人を無意識に探してるんだ
そして、その人と仲良くなりながら内心、可哀想だって同情したり、見下してるんだ。
友達なんて……人間関係なんてそんなものだよ。ほとんど上辺だけの関係
けれど、それが1番いいんだよ。
…裏切られた時、傷つかないでいいから」
『……生きにくい世の中だよね
少し注意すれば、パワハラだお局だなんだの言うやつらも
日々のストレスを、自分より身分の低いやつで発散するやつらも
優しい人ほど、心が弱る。
それをうつ病という。
生きることに疲れ、死にたいと思うようになる。自傷行為に走るようになる。
でも、そういう人ほど隠すことが上手いんだ
周りに笑顔を振りまいて、決して悟らせないように。
何故か?……周りの大人は否定するだけだからだよ。
そんなこと考えてはいけないだの
自分を傷つけるなだの…まるでそれが悪いことのように扱う。
そんなことは無い、人間なんていつか絶対死ぬんだ。長くて100年の命
生き物の終着点は【死】だ。
何故死にたいと思うのが悪いこととなる?
私はそれが不思議でたまらない。
“生きていたらいつかいいこともある”?
綺麗事だ。その”いつか”のために私たちはどれだけ辛い思いをしなければならない?
一体何度泣くことになる?
……何度死にたいと思う?
死にたいと思うことの何が悪い
自分を傷つけることの何が悪い?
……何故そこまでして生かそうとするのか分からない。
生きたいヤツらは勝手に生きておけよ……
なんで…死にたいと…苦しいと…そう思い続ける奴らまで生かそうとする?
そんなの…
辛いだけじゃないか…』
「…リリ」
「……リリ、リンよ」
「リリ・キサラギ様
時間です。」
『……分かりました』
「あっ、私たちも…」
「なりません」
「なぜじゃ!」
「魔王様からの要求です
リリ様以外の人間は連れてくるな…と」
『…リン!ハク!ってことみたいだから行くね〜(笑)』
「待って!リリ!」
「待つのじゃ!まだ!我とは数日しかッ!」
『……そんなものだよ別れって
まぁ……こんなの別れでもなんでもないけど』ボソッ
「リリ!」
「リリ!」
『……さよなら
どうか、もう二度と会いませんように…』
そう呟いたとき、雨は降っていないのに、私の頬を冷たいものが伝った。
それが何なのかは、知らないフリをした。
✂ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー✂
作者から
はい!情緒ジェットコースターですよね!
作者も思いました!
↓に補足です
主人公
前世 リリー・シェール
今世 如月 莉々
読み キサラギリリ
性別 女子
NEW!
嫌いなもの 綺麗事、大人
『なんで私またこっちの世界に?』
NEW!
『どうして大人ってあんなに勝手なんだろうね』
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます