第5話 にゃんこ大戦争の始まり

 猫は怒っていた。

「特定外来生物め」と。

 いや、侵略的外来生物だったろうか?


 さらに、猫は怒っていた。

「額の狭さは、俺達の専売特許だ」と。


 猫は、もっと怒っていた。

「手を借りたくても借りれないのは猫手だ。だが、奴らは手を洗っているばかりだ」と。


 猫は、激しく怒っていた。

「猫でないくせに猫をかぶるとは。何が、ラスカルだ。実は凶暴な癖に」と。


 ここは、おでん屋の“猫田”だ。

 その店主のにゃんじろうは、近くに出来たアライグマの経営するすき焼き屋“荒井”が気に食わない様子だ。



「すき焼き、一人でもグループでも食べれるようにしてますよ」

「店主は狸かい?」

「いえ、親戚のようなもので、アライグマですわ」


 そうなのだ!

 外来生物なのに、狸に似ているので、皆、油断していた!


 狸は温厚な雑食性の動物だ。

 狸寝入りをするぐらい臆病でもある。

 しかし、こいつらは違う。激しい感情を隠し持った肉食動物だ!


 家畜を襲い、野鳥を襲う。


「最近、雉肉が少なくなってね」

「親方、何故なんだい」

「アライグマだよ。やつら雉の子供や雌を襲っているんだ」

「あの鋭い爪で?」

「あぁ、女子供を切りさいている」


 そんな連中がすき焼き屋だと?


 にゃんじろうは思った。

「襲った女子供をすき焼きにしているのでは」と。


 第6話に続きます。

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