エピローグ
「ああ、楽しそう」
世界と世界の狭間でロゼはミリヤム達の楽しげな姿を見つめている
この世界は長く停滞していた
魔族が暮らす場所、人が暮らす場所、神族が暮らす場所
この三か所がバランスを保つことに固執した結果、種族は断絶され、全ての発展がとても未熟だ
ロゼは創造主としてそれが歯痒くて、時折、別の世界から調律者と呼ばれる転生者を呼び込んでいた
しかしどの調律者も自分たちの住んでいる場所から飛び出すことはなく、無難な人生を送るのみだった
しかし今回呼び込んだ彼女はとても面白い
魔族に生まれ、魔王と関わり、人の世界で魔女として生きる事を選び、人の子を育て、あまつさえ神族の加護持ちにまで囲まれて
呼び込んだ時からイレギュラーなことだらけだった
しかも調律者を辞めたいとまで言いだされる始末
こんなにも思い通りにならないのは初めてで、ロゼは変わり始めた世界を愛しげに見つめていた
「また会いに行きたいけれど、殴られるのは嫌だなぁ」
少しだけ残念そうに呟きながらも、ロゼの空気は穏やかだった
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