王宮の庭園で
お茶を差し出した側からの視点
王宮の庭園でお茶をしていた。
公務と公務の間のわずかな時間だが、それでもゆっくりお茶を飲むなんて。
それも庭でなんていつ以来だろうか?覚えていない。
側近と、ほっと一息ついていたら、
神殿のように模した一画の岩盤のレリーフの扉が開いて、何者かがやって来た。
珍しい黒髪黒目の少女だった。
なぜか、咳き込んでいるから、
ちょうど淹れていたお茶がまだポットにあったので、カップにいれてそっと差し出した。
ばちっ!!
すごい火花が散った。
自分も魔力もちで、それが溢れてたまにばちっと、雷系のものがあふれてしまうことがある。
ピリッとするくらいで、火花がでたりするまでとは、物凄い魔力を身に秘めていることか!
だから、あの、岩盤レリーフの飾りの扉をあけてどこからか転移することができるのだろうか?
すごい!
「お茶、いただいてもよろしいのですか?ありがとうございます。」
「まだポットに余っている分だから、遠慮なされずにどうぞ」
「先ほどは、静電気で火花まででてしまい、すみませんでした。静電気防止のブレスレッドと髪留めつけるの忘れていて、ご迷惑をおかけしました」
「静電気防止?それってどんなやつなんだ?よかったらみせてくれる?」
「男性はあまり興味なくて、ご存知ではないのでしょうか?
びりっとかばちっとかおきないように、防止するグッズです。こちらは、自分の体質に合わせて、糸と布を選んで、浄化した石なども組み合わせて、装身具にしたものです」
少女のポケットから、ブレスレッドが取り出された。
聖石が組み込まれた魔道具に見えるが、漏れる魔力防止のほかに浄化などの加護も見受けられるすごいものだった。
少女が自分の腕にはめると、魔力がまったくもれてこなくなった。
ほかに、石の付いていない、髪留めのゴムのようなものを差し出してきた。
うけとって、同じように腕にはめてみると、魔力が漏れがなった。
飲み終えたカップを少女が返してきた。
なるほど、今度は火花が散らないし、自分からの魔力漏れが起こらない。
側近が念話で、殿下の飽和漏れもなくなり、それだけではなく魔力遮断が起きていますと驚きの伝わってきている。
少女が腕から聖石かなにかもついたブレスレッドをこちらに差し出してくる。
見せて欲しいといったから、かしてくれるのか?
少女がなにかを操作すると、光りなにかをしばらく見た後
「お茶ごちそうさまでした。もうすぐ雨がふりそうなので、これでお暇します」
また、あの開くはずのない扉をあけて戻っていった。
側近とびっくりしてかたまって、しばらく身動きが取れなかった。
呆然としていると、空からポツポツと降ってきたなぁと思っていると
すぐにざぁーっと本降りの雨になった。
あわてて、屋内に入った。
「あれは、すごい魔道具だったな」
「漏れる魔力防止だけでなく、体内の魔力探知遮断の他に、浄化や体力回復などの加護も使えるようになっていたと見受けられる」
「こちらの飾りのない、紐だけの魔道具は、そのまま置いて帰ってしまいましたね。
これは、漏れる魔力防止と魔力探知遮断の簡易版ですね」
髪を結わえていたことがあるようで、あの少女の残り香がほのかにした。
「やっぱりそうだよな。欲しい。 あの魔石や聖石の魔道具だけじゃなく、あの人物そのものがこの国に取り込めたら僥倖だ」
「殿下、なんか黒い笑みになっていますよ」
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