421:同盟戦後、周囲の反応です!
■ドナテア 43歳
■第484期 Aランク【色欲の塔】塔主
『神様通信
本日行われた
【空城の塔】【潮風の塔】【夢幻の塔】【重厚の塔】同盟が消えました! 以上お知らせでした! 神様より』
「おっと、いきなり動いたかい」
「ん~? おおっ、久々の
あたしがメルセドウの情勢を知ったのはつい先日のことだ。
昨年の貴族派粛清が一段落したと思ったら今度は中立派を粛清するのだとか。
聡明なはずのメルセドウ国王がついにボケちまったのかと思ったがどうやら色々と理由があるらしい。
単にメルセドウ貴族の膿を出すだとか、王位を継承するためだとか、暗躍する蝙蝠を釣るためだとか噂されている。
どれが本当かは分からないが少なくともあたしの耳に入る程度には噂が流れているようだ。
それを受けて当の中立派は何かしら動くに違いない。
バベルで言えば【節制】同盟だね。ひょっとしたら今頃【
あたしはそれに期待していたんだが、どうやら先に動いたのはラッツェリアのほうだったらしい。
【空城】のマキシア・ヘルロックはラッツェリア公国の中でも穏健派貴族として知られている。
バベルの中でもバベリオの街でも貴族ぶった行動はとっていないし、
同じラッツェリアの貴族関係者と同盟を組み、仲良くゆっくりやっていきましょうって感じだったと思う。
その【空城】同盟が【
間違いなくラッツェリアから命が下されている。これが大公陛下なのか高位貴族なのかは知らないが。でなきゃあのマキシアが戦うわけないだろう。
ではなぜそんな命が下されたのかと考えれば、メルセドウ中立派がラッツェリアに接触したか、それともメルセドウが混乱している隙に大公陛下が独断で戦争をしかけようとしているのか、そのどちらかだ。
まぁ前者であっても戦争を起こすつもりだとは思うけどね。
つまり今回の
結果は【
これを受けてラッツェリアはどう出るかね。
勢いを削がれて戦争を回避するか、それとも報復を兼ねて戦争を仕掛けるか。
あたしは後者のような気がする。
むしろ戦争の切っ掛けづくりの為に【空城】同盟を戦わせたんじゃないかという気さえしているよ。
勝てれば良し、負けても戦争の名目が出来ると。
対してメルセドウはどう出るのか。中立派はどう動くのか。非常に気になるところだ。
果たしてメルセドウの動乱が先か、【節制】同盟の仕掛けが先か……どっちだろうね。
「プリエルノーラ、あんた【節制】同盟と【
「う~ん……まぁ【
「ハハッ、Aランク5位が負けるのを無難とはよく言ったもんだね」
まぁあたしも賭けるなら【
なかなか楽しくなってきたじゃないか。バベルも、そしてメルセドウも。
■セリオ・ヒッツベル 24歳
■第499期 Cランク【審判の塔】塔主
「はぁ!? 【空城】同盟が消えただと!?」
前期の
【
その時点で何塔のBランクが消えたのかという話なのだが。
そこへ持って来て今回の報せは僕にとって急報と言ってもいい。正直予想外だった。
ラッツェリアがメルセドウを目の敵にしているというのは聞く話なのだが、そのラッツェリア貴族が集まる【空城】同盟についてはその限りではないと思っていた。
穏健派のヘルロック伯爵が代表を務め、メルセドウはおろか他塔に喧嘩を売るような真似もしないと。
ある意味、バベルの塔主らしからぬ平和的な同盟だと思っていた。
それがここへ来て
果たしてどちらから申請したものかは分からないが、仮に【
逆ならばありうる。【空城】同盟からの申請ならば【
おかしな話だな。Aランク16位の【空城の塔】を要しているのに、そちらは断って当然。ランク差のある【
普通に考えれば逆のはずなのだが……おそらく僕の感覚は間違っていないはずだ。
『セリオちゃん、この【空城】同盟というのは有名なところなの?』
「ラッツェリア公国の貴族同盟です。代表はマキシア・ヘルロック伯爵ですね」
『まあまあ、そんなところと戦ってたのね~、シャルロットさんたちは』
『セリオさん、そこに強い敵はいるのですか?』
「騎士型の固有魔物がいるのはパレードで見て知っているが、あとはBランクのサキュバスクイーンくらいしか知らないな。もしかしたら【空城】あたりが竜か天使を持っているのかもしれないが」
『そうなのですか……今度エメリーお姉ちゃんに聞いてみましょう』
詳細を教えてくれるのならば聞きたいものだが、はたしてどうかな。
少なくとも眷属の情報などは今まで一度も聞いていないからな。あまり戦闘内容を話してくれるとも思えん。
いずれにせよ今後、ラッツェリアの動きにも注目だろう。
バベルの中ではなく遠い異国の話ではあるが、僕も準男爵家の一員だ。確認はすべきだろう。
■コレット・パロ 38歳
■第480期 Aランク【黄の塔】塔主
『はぁ~~止まらんな! この同盟は!』
『これがあの同盟なんですよ、陛下。二年前からずっとこんな感じであっという間に塔が強くなっちまうんだ』
『
メルセドウ中立派とラッツェリア公国の動きについてはエドワルド陛下も予想されていた。
窮地に追い込まれた中立派がラッツェリアに助けを求めてもおかしくはないと。
それによってメルセドウとラッツェリアが戦争を始めるかもしれない。
しかし順番がおかしい。
ラッツェリアが仕掛けるよりも中立派が危機的状況になるほうが先だし、それをバベルに置き換えた場合、【
【節制】同盟は中立派の危機的状況を覆すため【赤】を斃そうとする。
その結果如何で中立派はラッツェリアに助けを求め、混乱状態のメルセドウを落とそうとする。
戦争の先兵となるのが【空城】同盟だ。それで【赤】を落とせばメルセドウの士気も下がり、戦争を有利に進められるだろう。
……と、予想していたのだがどうやら【空城】同盟のほうが先に仕掛けたらしい。
それほど中立派が早く動いたのか、それほどラッツェリアがメルセドウと戦争したかったのか、それは定かではない。
むしろ【空城】同盟が動くほどの状況下で【節制】同盟が静かなのが気になる。申請くらいはしているのだろうか……。
【
私たちの考えでは【節制】と戦うのは時期尚早なのだがな。
無理に戦わないでも中立派は勝手に衰退するし、時間は【
ただ【空城】同盟を討ち破ったというのであれば話は少し変わってくる。
【
一方でラッツェリアと中立派の動きに何かあれば、国のほうで何かしらの動きがあるだろうし、【節制】同盟としても無茶をしなければいけない状況になるかもしれない。
もし【節制】同盟が相当譲歩するような条文を出したらどうなる。
間違いなく
いくら【節制】が強かろうが関係ない。良い流れは【赤】のほうに来ているのだから。
『コレットよ、【赤】の同盟はこれで【節制】同盟と戦うほどの力を得たと思うか?』
「【空城】同盟を斃した程度ではまだ足りないでしょう。しかしもう戦力がどうとか言う時ではないかもしれません」
『うむ、それもそうだな』
「条件さえ整えばいつ戦いとなってもおかしくはありません。そして優位なのは弱くても余裕のあるほうとなります」
『ランク差も戦力差も覆すか……何とももどかしいものよ』
ただバベルの
もし【節制】が勝つとすれば策や限定スキルといった要素が必要となる。
そしてそれこそ【節制】の十八番だろう。長年の経験が活きるはずだ。
はたして【
私たちにとっても注目の一戦になるのは間違いないだろう。
共倒れになってくれないのが悲しいところではあるが……。
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