414:【空城】同盟戦、始まります!
■シャルロット 17歳
■第500期 Bランク【女帝の塔】塔主
私たちが
途中で【轟雷】同盟戦がありましたけどあれは私一人でしたしね。
皆さんと話し合い、力を結集させて
……いえ、それは気が緩んでいるだけですね。慢心はダメです。油断もダメです。
これは命を賭した
とは言え事前会議をしていても自然と活発な話し合いになりますし、皆さんの気持ちが前のめりになっているのは分かります。
危険にも思う反面、その勢いを止めるのもまずいかと、私も一緒になって会議に参加していました。
一年ぶりの
会議の流れだとか、作戦の持っていき方、段取りの手順などは慣れたものです。
まぁアデルさん、ドロシーさん、フゥさんがほとんど決めているのですがね。私たちは「はい、分かりました」と従うだけです。
シルビアさんが『三軍師』とか仰っていましたけどその通りですね。
非常に心強いですが、おんぶにだっこで申し訳なくなります。
しかし【魔術師】同盟戦から一年が経過し、私たちの戦力が急激に上がっていることが弊害にもなっていました。
『総数千体は本当に少ないですわね。こんなことなら二千体にすべきでしたわ』
『向こうに利があるのは確かじゃな。戦力の八割以上は【空城の塔】じゃろうし』
『まぁこれも教訓やな。ウチかてこんなに戦力が膨れ上がっとるとは思ってなかったし。こんなことなら日頃からちゃんと集計しとくべきやったわ』
以前までは『魔物の総数千体』とあっても、かなり無理して捻出していたくらいなのですよ。
低ランクの魔物を詰め込んで、詰め込んで、やっと千体を確保したと、そういう感じだったのです。
まぁそんな条文は【風】同盟の時以来なのですけれどね。なぜこんな定型文が設定されているのでしょう、本当に。
それこそ先日【節制】同盟が送ってきたような条文そのままなのですが、その中に『魔物総数は千体で統一』みたいな一文が入っているのです。
マキシアさんはそれをそのまま引用して条文を作ったわけですね。
私たちは昔の感覚で「千体なら何を選んでも大丈夫だろう」とその条文を了承し、いざ魔物配置を決めようとしたのですが、まあ足りないのです。千体ぽっちでは全く足りません。
それくらい私たちも強くなったということなのですが、さすがにこれは誤算でした。
魔物の総数を縛るということは必然的に「高ランクの魔物が何体いるか」という勝負になります。
固有魔物だけに絞れば私たちのほうが多いと思いますが、普通のAランク・Sランクの魔物の数で言うと【空城の塔】が一番多いでしょう。
当然「総数千体」のうち八割以上は【空城】の戦力になりますし、逆に【重厚】の魔物はほとんどいないと思います。
そうなると連携もしやすいですし、指揮系統がはっきりするのですよね。
マキシアさん主導で同盟全ての動きが決まるような形になると思います。
まぁ代表塔を【潮風の塔】にしているのでノイアさんの魔物もそこそこ多いとは思いますが。
一方私たちは仕方なしに眷属や固有魔物を削る形になっているという……これは明らかな不利益ですね。
どういうことかと言いますと、例えばアデルさんが
パタパタを置くならば配下のストームイーグル(B)を三十体は置きたいな、となるわけです。部隊としたほうが強いですからね。
配下を置く分、数は圧迫されることになりますので、「じゃあ
ノノアさんの
ドロシーさんの
そうして出来上がった【
まとまりもなく、連携がとれるかどうかも不安なほどです。
もうこれ以外どうしようもないので戦力は弄らないのですが、おそらく部隊の指揮官と全体を俯瞰できる私たち塔主の連携が鍵になってくるのではないかと思っています。
ドロシーさんの仰る通り、今後は同盟全体での戦力をちゃんと把握しておかないとダメですね。
各塔でそれぞれ管理はしていても
この先にも【節制】同盟戦やら【聖】同盟戦やら控えているのですし、そこら辺はちゃんとしておきましょう。今後の課題です。
『とは言え、この陣容はすごいですね……改めて見ると【
『わ、私はようやくこれだけ出せるようになったという感じですね、アハハ……』
ノノアさんは
その時に比べればかなり状況は変わっています。
今や
この二体がいるから
『作戦を考える身からすると思うところもあるけどな。張り合いがないちゅうか、考えるまでもないちゅうか』
『配置も作戦も自然に決まってしまうからのう。動かしようがないから仕方ないのじゃが』
『結局は力押しのぶつかり合いですわね。ある意味本当に怖いですわ』
三軍師の皆さんは納得がいっていないご様子。その気持ちも分かります。
私だって「これで本当に平気かな」という不安と「これだけの戦力ならどう転んでも大丈夫」という謎の自信が混在しているのです。
しかしもうやるしかありません。
私も気を引き締めて臨みましょう。
◆
まず【女帝の塔】の魔物の数を三百程度にまで減らさないと、同盟塔の魔物を入れることが出来ません。
スポーンポイントを一時封鎖してすでに配置されている魔物を消していくのですが、これは
ですので、昨夜は魔物を減らす作業を延々とやりまして、今朝からは皆さんの魔物の受け入れをしていきます。
皆さんは自分の塔で指定の魔物を「【女帝の塔】へ移送」とし、それを私が受け取るわけですね。最終的には
それが終わってから皆さんが【女帝の塔】にやって来るという流れです。
こうした作業も懐かしいですし、皆さんのために並べた玉座も、そこに皆さんが徐々に集まって来るのも何となく感慨深くなります。まだ何も終わっていませんけど。
というか六人が並ぶのは初めてなのですよね。【魔術師】同盟戦はバラバラでしたから。
そんなことに気付いたのも玉座を並べた時だったので少し違和感を覚えたのです。
並びは指定したわけではありませんが、右からノノアさん、ドロシーさん、私、アデルさん、フゥさん、シルビアさんとなりました。自然とその席に座った感じです。
壇下には六女王の玉座が残されていますが、今日は誰も座らないでしょうね。
「ジータさん、ゼンガーさん、自由に座っちゃっていいですからね」
「あいよ、どうせ俺は暇だからな。見物させてもらうわ」
「儂も立ち疲れたら座らせてもらいます。一応は
お二人は見ているだけしか出来ませんからね。エメリーさんもそうですけど。
戦う為に喚ばれた
ですが今回は指示出しのみで頑張ってもらうしかありません。
「六人分の画面はこうなるのですか……これは圧巻ですね」
「今回は攻撃と防衛の二か所のみを見れば大丈夫ですから六枚も必要ありませんけれどね。しかし乱戦となった場合は各部隊に焦点を当てるべきですからシルビアさんもご自分の魔物を逃さないようにしておいて下さい」
「分かりました」
「一番視点が多いのはシャルちゃんやからウチとアデルちゃんは少し離しとくで。そのほうが見やすいやろ」
「ありがとうございます」
画面の調節、部隊配置の確認、それぞれの眷属への伝令と最終確認、そして同盟全員で最終的なすり合わせを行いようやく準備が整いました。
時間もちょうどいいですね。
「では皆さん、よろしくお願いします!」
「ええ」「おう!」「うむ」「は、はいっ!」「よろしくお願い致します」
「【
「「「「「【
――カラァン――カラァン――
『はーい時間だよー! 準備はいいかなー! 始めるよー!
神様の号令でいよいよ始まりました。
私は大きく息を吐いて気持ちを切り替えます。目の前の戦いに集中しましょう。
「ハルフゥさん、よろしくお願いしますね!」
『はい、精一杯やらせて頂きます』
「バートリさんとスカアハさんもご武運を!」
『ああ、任せておけ』『承知しましタ』
【女帝の塔】の一階層から狭い転移門を潜り抜けて大勢の魔物が出発していきます。
少し離れた転移門からは【空城】同盟の魔物も入ってきました。
さすがにこのタイミングでぶつかりはしませんか。
今回はちゃんと攻守が分かれた
今回、攻撃陣の総指揮はハルフゥさんに一任しています。
【女帝の塔】の魔物だけでしたら【白雷】戦で経験していますが、今回は六塔分の魔物全てをまとめる役割ですからね。おそらくかなりキツイでしょう。
エメリーさんからの眷属伝達もかなり入ると思います。
しかしハルフゥさん以外には出来ない役回りですからね。どうにか頑張ってもらいたいところです。
あとはこちらからのフォローでどれだけ攻撃陣がまとまるか。
アデルさんはランスロットさんとクルックー。ドロシーさんはウリエルさん。フゥさんはイカロスさん。ノノアさんはパルクとヨギィ。シルビアさんはシルバとペロ。それぞれに指示を出します。
塔主は塔主同士で連携が必要ですし、魔物は部隊ごとにまとめ、それをハルフゥさんが統括するような形。
互いに意識を共有させておかないと本当にバラバラになってしまいますからね。
私もしっかりと見つつ、声を掛け合っていきましょう。
【
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