272:向こうも何やら仕掛けてきました!
■シャルロット 16歳
■第500期 Bランク【女帝の塔】塔主
【氷海の塔】のドミノさんから
残念ながら却下だったのですが、それと同時にお手紙が来ました。
どういうことかと見てみればなかなか衝撃的な内容でして……。
まず私からの申請は却下すると。
しかし私があちらの同盟を叩きたいように、あちらの同盟としても私と戦う意思はあると。
……私はあちらの同盟を叩きたいわけではなかったのですけどね。
だから別々に
単に飛行系魔物が欲しくて【空白の塔】に申請し、水棲系魔物が欲しくて【氷海の塔】に申請しただけです。
同盟ごと潰したいとか思ってはいません。
水棲系魔物を多く使っている塔というのはCランクの中でも少ないのですよ。
どうしても地形が『海』になりますし、その分階層の天井高を使いますし、侵入者からの人気もないと。
Cランクの中でそういった『海の塔』のトップにいたのがアデルさんが斃した【昏き水の塔】だったわけですが、次点となると【氷海の塔】になるわけです。
それでも【昏き水の塔】が昨年のランキングで75位だったのに対し、【氷海の塔】は今年のランキングで120位。相当な差があります。
それくらい『海の塔』は少ないということですね。
だからこそ貴重ですし、私も二番目に申請したというわけです。
ちなみに【氷海の塔】もターニアさんに調べてもらいまして、そこそこ水棲系魔物がいると判明しています。
そこそこと言うのは【昏き水の塔】のように『海』だけで創られた塔ではないということ。
【六花の塔】のように氷の地形があり、そこには『寒冷の塔』の魔物が多い。
鳥系だとかアイスゴーレムとかもいるようですし水棲系魔物しかいないというわけではないということです。
まぁそれでも狙うは狙うんですけどね。私にとって【氷海の塔】に価値があるのは変わりないので。
話を戻しますが、あちらは同盟として私と戦いたいと言ってきたのです。
一塔ずつの
ご丁寧にその条文まで付けられていまして、それに目を通したのですが……。
=====
・
・代表塔はBランクの塔で統一し、
【空白】【氷海】の両塔は【轟雷の塔】に魔物を配置できるものとする。
両塔主は【轟雷の塔】で指揮するものとする。
・勝敗は同盟全てに適用される。
・
・神との立ち会いで詳細を決定し、その二日後の二の鐘から勝負を開始し、勝敗がつくまで継続する。
=====
『とんでもない条文を出してきましたわね』
『随分と舐めくさっとるなー』
と、厳しいご意見が次々と。早速相談してみたらこの調子です。
色々と問題はあるのですが、まず三塔vs私の
これを
そんなことを言ってみたのですが……。
『形式は
『三塔同時もいけるんじゃありませんの? 【轟雷】は警戒が必要ですがファムで探れるのですよね?』
『【空白】と【氷海】はカモやしなぁ。ウチもシャルちゃんなら三塔同時でも勝てそうに思うわ』
『私には想像できない世界ですね……御見それしました』
『え、ほ、ほんとですか? いくらシャルロットさんでも……』
私と同じ考えなのはノノアさんだけですよ。
そりゃ【空白】と【氷海】は最初から勝てると思っていたからこそ申請したのですし、【轟雷】もBランクに上がったばかりということもあってファムで探るのも問題ないようです。
でもだからといって三塔同時というのは……。
問題は他にもあります。
代表塔を【轟雷の塔】とされてしまうと私の主目的である【空白の塔】と【氷海の塔】の魔物が斃せません。
【轟雷の塔】に配置されるのはごく一部でしょうし、そうなると飛行系魔物も水棲系魔物も多くは斃せないでしょうから、召喚報酬の数が減ってしまうのです。
これでは私が戦う意味がありません。
『せやったら三塔全部攻略する形にしたらええやん。どうせ三塔vs一塔の構図なんやし』
『【轟雷の塔】だけでなく【空白の塔】【氷海の塔】も殲滅して攻略すると? ……まぁシャルなら出来そうじゃが』
「いやいやいや、無茶言わないで下さいよ! 出来るわけないじゃないですか!」
『でも利点はありますわよ? 防衛戦力は分散しますから魔物の対処は楽になりますし』
『しかし三塔攻略となると難しいのでは……ああ、ファムで探れるのであれば難易度などあってないようなものですか』
『た、大変ですね……シャルロットさん……』
諦めないでくださいよ、ノノアさん!
ただでさえ三塔分の戦力と私だけで戦うなんて無茶なのに、攻略する塔まで三塔になるだなんて……その、大変じゃないですか!
そりゃ三塔分の戦力が集まった【轟雷の塔】よりは攻略が楽になるかもしれませんけど、その分時間が掛かりますし攻撃陣は消耗するんです。
【魔術師】同盟の時だって同じようなことをして大変だったのに……。
まぁ【宝石】【霧雨】【魔術師】CBAの三連戦に比べればCCBの三連戦は楽かもしれないですけど、こちらに援軍はいないですしね……。
「そ、それに″勝敗は同盟全てに適用される″ってこれもう詐欺じゃありませんか! これ絶対、私が負けたら皆さんも一緒に消えろってことでしょう! サラッと書いておいて! なのに戦うのは私一人にしろだなんて卑怯ですよ!」
『まぁやりすぎだとは思いますがそこに気付かせるのが目的なのでしょう。今のシャルロットさんは向こうの思うつぼですわよ』
ど、どういうことです!?
『色々とある条文の中でシャルロットさんが一番修正したいポイントはそこでしょう? わたくしたちを巻き込むなと』
「そ、それはそうですけど……」
『ですからそこは向こうにとっても修正される前提なのです。そのかわりに他の所を出来るだけ有利なまま進めたいと』
『せやな。ちゅうかこの程度の駆け引き、ウチらだって毎回やってるやん』
はぁ~~さすがアデルさんとドロシーさんですね……。
毎回こんなことを考えて
いつもこうした条文とかはお任せしちゃってましたし。
こちらで考えて条文を提示するとかだと私も説明してもらえるから理解できるのですがね。
向こうから提示された条文の意図を読むとか、私にはできないです。
「じゃ、じゃあこの条文は弄らないほうがいいってことですか? 私は絶対修正して欲しいんですけど」
『どちらでもいいですわよ。そもそもシャルロットさんが負けるとは思っておりませんし』
『負けそうなら止めてるしなぁ。まぁなんも考えんで戦ったらヤバイけども』
『策は練るんじゃろ? だったら問題あるまい。それ以上に受理された時の向こうの反応が気になるがのう』
『私は皆さんの意見に従います。シャルロット殿のお力は信じておりますし』
『じゃ、じゃあ私も……頑張って下さい、シャルロットさん……』
放り投げないで下さいよ、ノノアさん!
信頼してくれるのは嬉しいですけど私は絶対嫌ですからね! 勝敗を皆さんにも適用するとか!
なんで皆さんがそんな気楽でいられるのか私には分かりませんよ!
……と言いますか、修正する方向で話しちゃってますけど……ホントに受理するんですか、これ?
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