223:魔術師の塔と青の塔に攻め込みます!
■アデル・ロージット 18歳
■第500期 Cランク【赤の塔】塔主
【赤の塔】の防衛は予想以上に上手くいきました。
その要因としてはいくつか挙げられます。
一つはダウンノーク伯が攻撃陣を出し渋っていたこと。
おそらく序盤でエメリーさんへの警戒を強め、途中からは防衛にのみ注視していたのでしょう。
でなければ第二陣はともかく第三陣として侵入してきた魔物が貧弱すぎます。とりあえず追加した、という雰囲気でしたからね。
もう一つは<赤き雨の地>を組み合わせた戦略がはまったこと。
これは相手戦力が想定より少なかったからというのもありますが、打開しながら探索するということが難しいように見受けられました。
おかげでクルックーの攻撃は面白いように決まり、シルビアさんの魔物も活躍できましたからね。
最後の一つはエメリーさんとターニア様の救援が予想以上に速かったこと。
【宝石】【霧雨】を落とすのも速かったですし、そこから【赤の塔】を駆け上がって来るのも速い。
エメリーさんももちろんですが、その手配と指示をしたシャルロットさんにも感謝をしなければなりません。
結果として最終防衛地点と想定していた八階層『血の沼地』まで行くこともなく、七階層『サンゴ草湿地』での殲滅成功となりました。
「せっかく借金してまで用意したセイレーン(★S)が無駄になりましたわね」
「いいじゃねえか、攻撃で使えるんだし。出番がないまま攻撃にも出せねえ
わたくしは今回の
それだけで六万TP以上かかりますので眷属化はしていませんし、保有していたTPだけでは足りませんでしたのでシャルロットさんから25,000TPほど借りております。
それほどまでに【魔術師の塔】を警戒していたわけですが……少々拍子抜けしましたわね。
敵攻撃陣はセイレーンの待つ八階層まで到達することなく潰れてしまいました。
クルックーがやったように<赤き雨の地>との組み合わせでセイレーンの性能を試すつもりでしたが残念ですわ。
まぁ【魔術師の塔】攻略のための隠し玉とすればいいでしょう。攻撃で頑張ってもらうとします。
借金返済のためにも絶対に勝たなければなりませんからね。
ということで攻撃陣を編成し、【赤の塔】の一階層に集結。
【女帝】軍とも合流しまして【魔術師の塔】へと乗り込みます。反撃開始ですわ。
【赤】【六花】【女帝】の連合軍はこのようになりました。
=====
【女帝の塔】塔主:シャルロット(C)
総指揮官:エメリー(神)
ウィッチクイーン(A)1+ハイウィッチ(B)5、
ヴァルキリー(B)5+ユニコーン(B)5、カーバンクル(A)1、アスラエッジ(★A)1
マンティコア(A)1、サジタリアナイト(A)1+テラーナイト(B)10
【赤の塔】塔主:アデル(C)
ジータ(神)、
ファイアリザード(C)10、ヘルコンドル(C)20、ファイアウルフ(C)30
【六花の塔】塔主:シルビア(E)
=====
合計で174体と2人。
Sランクが4、Aランクが17、Bランクが43、Cランクが80、Dランクが30ですか。
「こ、これは……【赤の塔】と【女帝の塔】の戦力を集結させるとここまでの軍勢になるのですか……これは凄まじい……」
『これでも高ランクの魔物の数は【魔術師の塔】の方が上だと思いますよ。そこをエメリーさんとジータさんで埋める形になると思います』
「そ、それほどですか……」
シャルロットさんの見立ては正しいですわね、きっと。
Sランクが攻撃陣にいたエルダーリッチ以外にどれほどいるかは分かりませんが固有魔物が全くいませんでしたしね。
Aランクも多いでしょうし、Bランクなど使い捨てレベルでうじゃうじゃいることでしょう。
まぁ数的にも一気に戦うことになるとは思えませんので、塔を攻略しながら各個撃破し、最上階付近になって固有魔物などとまとめて戦う感じになるのでは、と思っております。
高ランクの乱戦が予想されますので、そこはエメリーさんの総指揮に委ねつつ、こちらは小隊単位での指示が忙しくなることでしょう。
【魔術師の塔】は塔構成も魔物戦力も判明しておりません。
前情報やレイチェル様の助言から予想はしていますがはっきりと分かっていることなど一つもないのです。
その上、ダウンノーク伯が持っているであろう限定スキル……これが怖い。
いずれにしても油断せず、気を引き締めていかなければなりませんわ。
『では皆さん、よろしくお願いします! 【
「「『【
■ドロシー 24歳 ドワーフ
■第500期 Cランク【忍耐の塔】塔主
画面からシャルちゃんの号令が聞こえた。いよいよあっちも攻め込む感じやな。
【強欲】戦の最初こそ照れ臭そうにしていたシャルちゃんの号令も様になってきたな。やっぱ【女帝】がやるのが一番似合う。
不思議と士気が高まるし、その熱気は眷属から魔物へと伝染するみたいや。
ウチらも気を引き締めていかんとな。
【忍耐の塔】を防衛し終えたウチらはフゥの編成した【輝翼】攻撃陣と共に【青の塔】に攻め込んだ。
面子はこんな感じや。
=====
【輝翼の塔】塔主:フッツィル(C)
総指揮官:センガー(神)
ストームイーグル(B)10、グリフォン(B)10、ステュムバリデス(C)20
【忍耐の塔】塔主:ドロシー(C)
忍耐の天使ウリエル(★S)1+
【世沸者の塔】塔主:ノノア(D)
=====
合計194体と1人。
Sランクが1、Aランクが22、Bランクが91、Cランクが80。
「こ、これ、足りますかね……」
「Aランクの数は足りてると思うけどSランクは二~三体おるやろな。【青】はBランクでも上位やし」
『その上
もし相手がまた最上階付近にまとめて布陣させてたら大軍同士の乱戦になるけど、そうなると力負けしそうやな。
ウチのスクイッシュドラゴンとかフゥんとこのブリングとかネクロトレントとか防衛でしか使えん魔物が多いっちゅうのが問題や。まぁ向こうもそんなんがいるはずやけど。
ブリングを攻撃陣で使えたらそら有利になるけどもあの巨体じゃなぁ……這って戦わせるにしても屋内地形やとまともに戦えないやろうし、それだったらウチのスクイッシュドラゴンの方がまだマシに戦えそうな気がする。
これで
眷属の数では勝っているから、こっちからの指示とか連携、部隊指揮で何とか戦わなあかんな。
ウチら塔主三人の連携も重要や。
今回はフゥだけ画面つないで話す感じやけど連絡は密にとっていこう。
「べ、ベンズナフさんは正面から戦ってきますかね……」
「それやったらまだ戦いようがある。でも奇襲とか暗殺狙ってきそうやけどなあ」
『狙うとすればゼンガー爺じゃろうな。警戒はさせるが果たして防ぎきれるものか……』
今回の攻撃陣は飛行系とか回復役は多いんやけど斥候が不足気味や。
メインはノノアちゃんとこのデザートアサシンとサーチスライムの斥候部隊になるけどエメリーさんほどの斥候能力はないし、相手が
まぁ用心してもらうしか出来ないんやけど不安は不安やな。
ゼンガーさんも【霧雨の塔】の攻略からずっと働きっぱなしやし……
フゥにお任せって感じになるけども、どこまで老体に鞭打てるか、やな。苦労させるでホンマ。
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