133:いよいよアレを召喚しちゃいます!
■シャルロット 16歳
■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主
『神様通信
本日行われた
【純潔の塔】が消えました! 以上お知らせでした! 神様より』
「えっ、【純潔の塔】が!?」
思わず声を上げてしまいました。
【純潔の塔】と言えば
私は慌てて同盟の皆さんと通信をつなぎました。
『いやたまげたな、ほんま。何がどうなっとんねん』
『あの、お相手の【反逆の塔】は獣人三人同盟の方だったはずです……たしかCランクで……』
『【反逆】のダンザーク、【響界】のジュヴァ、【剣士】のクーロゥ、共にCランクですわね。加えて言えばランキングでは【反逆】が一番下ですわよ』
こう言ってはなんですが、
【風】や【力】を斃している私たちが言うのも違うかもしれませんが……。
『慌てて探ってはみたが断片的にしか分からぬ。が、どうやら【反逆】は塔主自ら【純潔の塔】に乗り込んで斃したらしいのう』
『はあ? もっと訳分からんくなったな』
『え、玉座から離れちゃったら
『ダンザークは元Aランク冒険者のはずですわ。しかしだからと言ってBランクの塔に乗り込んで戦えるほどのものではないでしょう』
塔主が死んでも
ノノアさんが仰ったように戦況を見るには
ですから塔主は画面を見ながら眷属に指示を出す――というスタイルは変えられないはずなのです。
『【聖の塔】同盟のほうはファムが探れんところばかりじゃから下位の同盟のところから漏れる情報を拾うしかない。【反逆】の方は同盟三人で祝勝会みたいじゃが、次はその下位の連中を狙うらしいのう』
『【聖の塔】同盟の下位と言いますとCランクの【鋭利の塔】【払拭の塔】あたりですわね。Bランクの【鏡面の塔】も【純潔】よりは下ですが』
『で、でもなんでそんな強い同盟を狙うだなんて……』
『やっぱフゥが言ってた聖女の説法の件ちゃうか? あれで怒った獣人が聖女を狙って……ってそれで斃せる相手とちゃうけど』
フゥさんが言ってましたね。聖女様、と言いますか【聖の塔】同盟は人間至上主義の集まりだと。
私たちの差別反対という意見が新聞に載ったことで創界教が動いたのだろうとも。
ダンザークさんが聖女様に腹を立てる、までは分かるのです。
そこから
まぁ
「【純潔の塔】にはSランクの固有魔物や【限定スキル】もあると思うのですが」
『【限定スキル】は持っていてもおかしくはない、ですがそれが強さに直結するものとは限りませんわよ。内政型や諜報型もあるわけですし』
『ま、まさか【限定スキル】を持ってないとかは……楽観的すぎますかね、さすがに』
『ただまあ【純潔の天使ラグエル】はおるやろな。創界教的にも一番欲しがるはずやろうし』
『それ以外にも固有魔物かSランクか居てもおかしくはない。と言うかほぼ居るじゃろう』
【聖の塔】同盟自体がバベルで一番の同盟ですからね。その中でナンバー3、しかもBランク上位というのは抜きん出た戦力を保有していると見て間違いないでしょう。
聖女様の人気もあって侵入者の数も多いでしょうし、使えるTPは多いはずです。
【限定スキル】にしても【聖の塔】からのアドバイスがあるはずなので何かしら有用なものを取得していると思うのですが……。
少なくとも私だったら【純潔の塔】に一対一は挑みません。
いくらフゥさんやターニアさんの情報を得て、エメリーさんの力を信じていても、それで「勝てる」とは到底言えない相手です。
『それを塔主自ら乗り込んで斃したとなれば、やはり……【限定スキル】ですかね』
『しか考えられへんな。ヴォルドックみたいな身体強化系のバフみたいなもんちゃうか? せやから自分が戦うしかなかった』
『で、でもBランクの塔を制覇できるくらい強くなるだなんて……』
『斃した相手の陣容を想像すれば異常じゃな。それこそ【傲慢の悪魔ルシファー】に近いスキルかもしれぬ』
ルシファーは「敵より強くなるバフ効果」のスキルを所持していると思われます。
たしかにそれくらい強力なスキルであれば可能かもしれません。
『そんで、そのおかしなスキルで【聖の塔】同盟を潰して回るっちゅうんか? できるか? そんなこと』
『できないと思いますけど……でも【純潔】を斃しましたし……』
『少なくとも【聖の塔】側は黙ってはいないでしょう。【純潔】はともかく聖女様が獣人に殺されたのですから。【反逆】が動くよりそっちが動くほうが早いのでは?』
『うむ、アレサンドロには創界教枢機卿という立場がある。【大軍師】シュレクト・ササーもおる。間違いなく手を打つじゃろうな』
【聖の塔】は【反逆の塔】を許さず報復に動く。それもシュレクトさんが指揮官となって。
しかし【反逆の塔】は
【反逆の塔】が受けるとすれば【鋭利の塔】か【払拭の塔】との一対一。
その
『様子を見るしかあるまい。もしその
『高みの見物ですわね』
『相手のほうが高そうやけどな。低めの見物やろ』
『はぁ……どうなっちゃうんでしょう……』
私たちは情報を得るくらいしか出来ることがありません。
私もターニアさんにお願いしてそこら辺の塔を見ていてもらうことにしましょう。
■ドロシー 24歳 ドワーフ
■第500期 Dランク【忍耐の塔】塔主
【純潔の塔】が斃されたっちゅう話から発展してみんなと色々と相談した。
呑気に塔の運営をしとるだけではなく目的をもって自分たちからあれこれ動かんと不安やと。
バベルの恐ろしさは相変わらず目に見えんし、理解しようと思ってもできるもんやないと。
目的は【傲慢の塔】同盟との
シャルちゃんだけの問題やなくて、ウチかて年末に攻め込まれた恨みがあんねん。あそこは絶対にしばく。
ただ戦力的な面で問題を先送りにしている現状や。
何にせよ備えは必要で、だからこそ少し無理してでも今のうちから戦力は補強すべきやとみんなで話し合った。
具体的には高ランクの魔物を持とうと。シャルちゃんはちょっとちゃうけど。
今のウチらからすれば分不相応なランクの魔物を召喚しておくべきやないかという結論や。
せやから満を持して【忍耐の天使ウリエル】を召喚しようと思う。
本音を言えばSランクの固有魔物よりBランクやAランクの魔物をたくさん召喚したくはあった。そのほうが戦力としては使いやすかったから。
でもいずれ召喚するのは決まってたし、だったら無理してでも今召喚したろうと決心したわけや。
ウチは玉座に座りながらとなりの
「いくで」
「分かりました」
よし、と気合いを入れて画面を操作。【忍耐の天使ウリエル】の召喚を選択した。
玉座から5mほど先に現れた魔法陣。それは今まで見たこともない複雑なもので、これが固有魔物の召喚かと思わず目を見開いた。
そうして現れたのは六翼の天使。
ショートカットの金髪で上半身は豪華で真っ白い鎧。下は真っ白なスカートや。
左手には装飾の施された盾、腰には剣を佩いている。
かっこええ。綺麗とか神々しいとかよりも先にそう思ってしまった。
ウリエルは流れるように片膝をつき、頭を下げてきた。天使もこないなことするんやな……。
「召喚に応じ参上仕りましたウリエルと申します。何卒よろしくお願い致します」
かたっ! 天使っちゅうか騎士やん!
スフィーといい、うちにはこういうのが集まるんか!?
「……ああ、うん。ウチは【忍耐の塔】塔主、ドロシーや。よろしゅうな」
「ハッ」
「えっと名付けたいんやけど、そのままウリエルにするっちゅうのは出来るのk……ああ、出来るんやな。じゃあウリエルとそのまま呼ばせてもらうわ」
「ハッ! ありがとうございます。ドロシー様の為、身命を賭して励んで参りたいと思います」
いや命賭けられても困るんやけどな。ウチの最大戦力で回復役なんやし。最後まで命は大切にして貰わんと。
そのままスフィーや他の眷属を紹介し、塔の現状などを説明した。
ウリエルの生活基盤も整えなあかん。天使の生活って全く想像つかへんし。
それにTPがこんだけ減ったから早いとこどうにかせんと。
現状
でないとこれから他の魔物を召喚しようにも…………ん?
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「ええっ!? なんか増えてんねんけど、ウチのリスト!? なんやこれ!?」
「おそらく私を召喚したから部下となる者が召喚可能となったのではないでしょうか」
「そういうもんなん!? どんな仕様やねんそれ!」
いやまぁ
大天使を召喚せな天使は召喚できんのか……他の
というか問題だった神聖属性不足についてもこれでどうにかなるんちゃうか?
……いやあかんか。ウリエルの部下を作ろう思うたらどれだけ召喚せなあかんねん。そんなTPないわ。
みんなと相談しようかな。出来れば天使部隊を作ってから【傲慢】と戦いませんか、もうちょっと待って下さいって。
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名前:ウリエル
種族:忍耐の天使ウリエル
職業:ドロシーの眷属
LV:60
筋力:B+
魔力:A+
体力:S-
敏捷:A-
器用:B-
スキル:忍耐の加護、神聖魔法、光魔法、付与魔法、鉄壁、統率、鼓舞、悪意感知、危険察知、アイテム鑑定、人物鑑定
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