111:女帝の塔vs強欲の塔、始まります!
■シャルロット 16歳
■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主
【
正確には『Sランクの固有魔物が特定の悪魔で確定されている』と。
バベルの長い歴史の中で何度も出てきたことから、それは有名なのだとか。
【傲慢の塔】ならばSランクの固有魔物は必ず【傲慢の悪魔ルシファー】がリストに載る。
私が
そして今日戦う【強欲の塔】にも当然――【強欲の悪魔マモン】がいるわけです。
Sランクの固有魔物を召喚・眷属化など高額TPになるのは当たり前。にも拘わらず、Cランクである【強欲】のマグドリオさんはそれを保有し、フゥさんの情報ではさらにAランクの固有魔物まで召喚・眷属化をしているというのです。
まぁターニアさんを持っている私が言えた義理ではないのですが。
他にもAランクやらBランクやらいるらしく、どれだけTPをつぎ込んだんだとドロシーさんなどはお怒りです。
おそらくお金を使ったのか、それとも<帝政統治>のようにTPを稼ぐ系の【限定スキル】を使ったのではないかと予想していますが判明はしていません。
いずれにしてもそれだけTPを使っているのに94位というのがまた不可解な点です。
戦力だけ見ればBランクでもおかしくはないですから、20~30位だって不思議ではないのです。
謎が多いのは不安要素なのですが、だからといって戦えないということはありません。
どうやら【強欲の悪魔マモン】を召喚したのが新年祭の直前らしく、それほど日が経っていないせいか大悪魔特有の闇魔力はそこまで濃くはないと。
ということでターニアさんにファムで色々調べてもらい、九階層――マモンがいる階層――以外は判明している状態です。
フゥさんも独自で調べてくれていたらしく、答え合わせも行いました。
それを元に入念な作戦会議を行いました。いつもの六女王会議で。
目的を持ち、戦略を立て、同盟の皆さんにもほとんど報告のような感じで相談しました。
『え、えっと、それホントに大丈夫なんですか……?』
『シャルちゃん、うちの時の作戦きいて大胆すぎて怖いみたいに言うてなかったっけ? どっちがやねん!』
『うーん……そんな上手くいくもんかのう……』
『油断できる相手ではございませんわよ? まぁやりたいことは分かりますが』
大不評でした。油断もしてないですし、ちゃんと会議して決めたのですが。
結局皆さんを言い包めるような恰好になってしまい、無理矢理納得させた感じです。
ちなみにジータさんだけは『おもしれえ!』と乗り気でした。
私としては今日の日の為に色々と準備してきたエメリーさんやクイーンの皆さんを知っているので、それを応援したいと。
塔主としてどっしり構え、眷属の皆さんの奮闘を期待する。そして安全を祈願する。
そうした心持ちでいます。
「ヴィクトリアさん、パトラさん、ラージャさん、そちらは大丈夫ですか?」
『問題ありません』『問題ありませんわぁ』『だいじょうぶよー』
「エメリーさん、よろしくお願いしますね」
『お任せ下さい』
「では皆さん、【女帝の塔】に勝利を」
『『『『【女帝の塔】に勝利を!』』』』
そして今日は隣に座るターニアさんに目を向けます。
「ターニアさんもよろしくお願いしますね」
「ええ、【女帝の塔】に勝利を~!」
「ふふっ【女帝の塔】に勝利を」
誰が言い出したのですかね、この号令。
多分訓練中に言い出したのが広まったのだと思いますけど皆さんお気に入りらしいので使ってみました。
士気が高まればなんだっていいんですけどね、私は。
『ふわぁ~、カ、カッコイイですね~!』
『なんかいいのう。そういうのなんかいいのう』
『うちも使おうかなぁ。いやでもスフィーしか喋れんしなぁ』
『えっ、なんですのジータ、いえわたくしはやりませんわよ、こういうのは【女帝】だからこそ映えるのであって――』
……皆さんちょっと静かにしててもらえますか、少し恥ずかしいので。
■マグドリオ・ゲーロス 51歳
■第498期 Cランク【強欲の塔】塔主
「まさか同盟で五連戦などふざけたことをしているとは思わなかったな」
実力があるのはすでに分かっているが、さすがに調子に乗り過ぎだ。
おそらく同盟内が浮かれているのだろう。若く、そして上り調子であれば勇み足にもなるものだ。
だが、さらなる話題をバベリオの民に提供したという功績は称えられるべきだな。
これで儂が【女帝】を斃せば「あの同盟の五連勝を防いだ塔」と見られるのだから。
「はぁぁぁこの日が来ちまったかぁぁぁ」
「セリ、お前の仕事はメイドを相手にすることではないぞ」
「わあってるよ、この腐れオーク! 言われたってメイドの相手なんかごめんだね!」
「ヤツの相手はマモンに任せる。貴様がそれほど言うのであれば儂とて慎重にもなるわ」
「大悪魔を最強だと思ってる時点で終わってんだけどな。まぁあたしも死にたくはねえから足掻くけどよ」
この無礼女めが。
【強欲の悪魔マモン】がいくらしたと思っているのだ。
これが最強でなくて何が最強だ。悪魔王か? 神か?
ふんっ、まあいい。最悪、メイドをほうっておいてクイーンだけ斃し
それで利益は十分。あとは跳ね上がる集客数でいくらでも稼げる。
問題はメイドが攻撃側か防衛側か。
そしてクイーンがどう分かれるか。
理想を言えば攻撃側として乗り込んで来てくれると嬉しいが……まぁそこは運だな。
「とりあえずお前は動けるよう準備をしておけ」
「あいよ」
■シャルロット 16歳
■第500期 Cランク【女帝の塔】塔主
――カラァン――カラァン――
『は~~い時間だよー、二人とも準備はいいかなー?』
「はい」『うむ』
『よっし、じゃあ始めようか! 制限時間はなし!
神様の合図で転移門から敵方の魔物が次々と出てきました。
向こうの攻撃陣はすでに判明しています。
Dランクのオーク、Cランクのハイオーク、Bランクのオークキング、Eランクのスケイブン、Cランクのイエローデビル、Aランクのファットデーモン、総勢百五〇体。
加えて指揮官の眷属、Aランクのカーバンクルがいます。
先頭の斥候スケイブンと最前衛のオークがなだれ込んで来て――
『撃ちなさい!』
――ドドドドドド!!!
帝都の街並みから一斉に攻撃が開始されました。
アラクネの土魔法、ラミアの水魔法、サキュバスの闇魔法、ハイフェアリーの光魔法。
それらは転移門の入口で固まる敵軍を打ち砕いていきます。
エメリーさんの『止め!』という号令の後、そこに残るのは魔石だけです。
「シャルロット様、引きましたわぁ~」
「分かりました。エメリーさん、敵軍引いていきます」
『かしこまりました。進軍開始します』
さあ始めますか――
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