47:五塔同盟の初会合です!
■シャルロット 15歳
■第500期 Dランク【女帝の塔】塔主
同盟を結んだ二日後。早くも私たちは【世沸者の塔】に集合しました。
私とエメリーさん、ドロシーさん、フゥさんとゼンガーさん、アデルさんとジータさん。それとノノアさんです。
すごいですね。
「よよよようこそいらっしゃいました! 汚いところですがどどどどうぞ!」
ノノアさんは早くも緊張気味。これは慣れてもらうしかないです。
しかし塔主だけで見ればノノアさんが一番お姉さんに見えるんですよね。
身長はノノアさん>アデルさん>私>ドロシーさん>フゥさん。
……胸の順位も同じくらいです。
それでいて一番年下がノノアさんと私という……獣人の方は発育が良いのでしょうか。ぐぬぬ。
今日集まったのはノノアさんの塔の問題解決に向けた話し合いもそうなのですが、改めて同盟の方々の事を知っておこうと、自己紹介・自塔紹介も兼ねています。
「まず先に言っておこうかのう」
フゥさんはそう言うとローブのフードをとりました。
出てきたのは綺麗な金髪と翠眼の女の子。そして特徴的な長い耳。
「「エルフ!?」ですの!?」
「いやハイエルフじゃ」
「「ハイエルフ!?」」
いつか見たような流れがあり、アデルさん、ジータさん、ノノアさんが驚きます。ジータさんもハイエルフの存在は知らなかったようです。
そこら中にいる
それを知った時、アデルさんは頭を抱えていました。
「はぁ……ようやく繋がりましたわ。なぜシャルロットさんたちが同盟に引き入れたのか。なぜ【力の塔】に勝てたのか。なぜあの鍛冶屋を知っていたのか」
「
「いくらエメリーさんがお強くてもそれだけで勝てるわけがないですわ。先んじて相手の情報を得ていたのでしょう? それがなければそもそも
仰る通りですね。私としては、あの
「人間、ドワーフ、ハイエルフ、獣人、おまけに異世界の種族までいるのかよ。とんでもねえ多種族同盟だな。爺さんは人間なんだよな?」
「ふむ、ではフッツィル様に続いて儂も自己紹介しておきますかな」
ジータさんの問いかけにゼンガーさんが答えます。
ゼンガーさんの自己紹介。人間界における精霊信仰の始祖、そして元創界教の司教様。神聖魔法の使い手であると。
「魔法使いかと思っていましたら神官でしたか……それも司教クラスの」
「ゼンガー爺の腕前は大司教とか教皇クラスじゃぞ。あくまで地位が司教だったというだけじゃ」
「……ホントとんでもない方々ですわね。初出の塔でプレオープン四位なのも納得ですわ」
妖精好きの好々爺といった感じですけどね、ゼンガーさんは。すごい人には違いありません。
これにはアデルさんだけでなくジータさんも頭を抱えます。
「あ、あの、シャルロットさんのメイd「侍女です」……侍女さんは、その、異世界の方なんですか?」
先ほどのジータさんの発言で引っ掛かっていたようで、ノノアさんがエメリーさんに問います。
エメリーさんが異世界人だということはアデルさんたちも知っていますが詳しいことは話していません。
この流れのまま自己紹介してもらいましょう。
「わたくしはアイロスという世界で生きていました。死後、こちらに召喚された形です。生前は侍女と並行しまして迷宮組合員……こちらで言う冒険者として活動しておりました」
「えっ、冒険者さん……みたいなことを!?」
「はい。わたくしのご主人様がクラン――大規模な冒険者パーティーのようなもの――を率いておりまして、その侍女全員が共に迷宮に潜っていたのです。総勢百名以上、わたくしはその中で侍女長を務めておりました」
侍女として家事や教育、管理などをするのはもちろん、戦闘集団のリーダー的な立ち位置でもあるわけですから相応の力がなければ務まりません。
エメリーさんの
そのおかげで魔法以外はほぼ万能と言える戦闘強者に。まぁ魔法も【魔竜斧槍】がありますから使えないというわけでもありません。使えないのは神聖魔法と付与魔法くらいじゃないでしょうか。
「俺の自己紹介はするまでもねーと思うが、今のうちに言っておくと俺がガチでエメリーの姉ちゃんと戦ったら五秒で負けるからな? 自分を卑下するつもりはねえけど、姉ちゃんの力はそれくらいだと思っていてくれ」
「ええっ!? そ、そんなですか!?」
「ジータさんって歴史的な英雄やねんな……?」
「むしろわしは五秒もつことに驚きじゃわい。さすが英雄と言ってよいじゃろ」
「ほっほっほ、儂らは一秒で負けますからのう」
「はぁ、全く誇らしくありませんけどそう言って頂けるとわたくしも嬉しいですわ」
「アハハ……」
私は苦笑いしかできません。でもエメリーさんが褒められて嬉しい気持ちもあります。褒められているか微妙ですが。
さて、自己紹介も済んだところで自塔紹介といきます。
誰がどんな塔を創っているのか把握しておかないと協力もできませんし、何よりノノアさんの塔を知らないと何もアドバイスできませんからね。
とりあえず私から。
=====
【女帝の塔】塔主:シャルロット 15歳 人間
ランク:D(全七階層)
戦歴 :二勝(うち一勝は
塔構成:女帝の統べる城と城下街が基本
魔物はクイーン系統と城に則した魔物が多い
罠も女帝らしい偏りがある
眷属 :アラクネクイーン(B) ヴィクトリア
サキュバスクイーン(B) パトラ
ラミアクイーン(B) ラージャ
=====
「ちょ、ちょっとお待ちを! すでにクイーン三体も眷属にしていますの!?」
「はい。やっぱり【女帝の塔】の特色ですし、皆さんいい人ばかりですよ」
「いやいや、いい人でもいい魔物でもどうでもいいですわ! いくらBランクの魔物だからといってクイーン三体なんてCランク塔主でも早々いませんわよ!? 塔主になって数ヶ月のシャルロットさんがどうして……。そ、それにエメリーさんも含めれば眷属枠が埋まっているではありませんか!」
なので私はCランクに上がるのが今のところ目標です。
やっぱり他のクイーンも召喚したいですし、せっかく召喚したのなら眷属にしたい。
そうして六階層の部屋を皆さんにそれぞれお任せするというのが今の理想ですね。
どうしてクイーンが三体も召喚できたのかというのは、
パトラさんの時は貯金を失くす勢いでTPを使い切った結果ですけど、ヴィクトリアさんとラージャさんは
相手がお金持ちだったというのもあります。エメリーさんが大量に接収してきてくれましたし。
とりあえず私はこんなところですね。
「ほな順番的に次はウチやな」
=====
【忍耐の塔】塔主:ドロシー 23歳 ドワーフ
ランク:E(全五階層)
戦歴 :三勝(うち一勝は
塔構成:洞窟や石壁の構成が多く、屋外だと沼や砂漠など足場の悪いものが多い
魔物は防御力特化、魔法防御の高い魔物は高価
罠は多種多様
眷属 :グランドタートル(B) グッチー
=====
「あれ? フレアドレイクやレジェンダリスケルトンはまだ召喚していないのですか?」
「ドレイクはまだ先やな、TP的に。それよりもレジェンダリスケルトンを眷属にしてスケルトン軍団作りたいわ」
「それならBランクじゃからすぐにでも召喚できそうじゃがのう」
「いやウチの眷属枠がまだ三体やから。一体分は一応残しとんねん」
あー、やっぱりそうするものなんですかね、普通は。
私はすぐに使い切っちゃうタイプだということでしょうか。
「フ、フレアドレイクとか……会話の内容がさっきから同期とは思えないのですが……」
「もしかしなくても【力の塔】同盟との戦いでの報酬ですわね? 全く……貴女方は一体何を斃しましたの?」
報酬で召喚可能となっているものも情報として共有すべきかと、一応
フゥさんの情報をもとに攻めはエメリーさん、守りの戦略はドロシーさん、主戦場は私の塔でしたと。
そしてこんな魔物を斃しましたよと。主にエメリーさんが。
「イスバザデン……? Sランク、ですか……」
「おい姉ちゃん、俺がそいつと戦ったら勝てるか?」
「一対一ならジータ様が七~八割勝ちます。多少時間はかかるでしょうが」
「……フレアドレイクとアスラエッジが加わると?」
「三~四分くらいは耐えられるのではないでしょうか」
「はぁ……聞くんじゃなかったな」
Sランク一体に単騎で勝てるってだけでもすごいと思うのですが、それにAランク二体が加わるとさすがのジータさんでも負けると。
確かにあの連携は強烈でしたからね……。私にはよく分からない戦いでしたが。
「イスバザデンは一応わしが召喚権利を持っておるがさすがにまだ召喚できておらん。固有魔物はTPが桁違いじゃからのう」
「でしょうね。
「そっちは最優先で眷属化したぞ、もちろん」
=====
【輝翼の塔】塔主:フッツィル・ゲウ・ラ・キュリオス 50歳 ハイエルフ
ランク:E(全五階層)
戦歴 :三勝(うち一勝は
塔構成:屋外地形がほとんど
魔物は翼のあるものに限られる。妖精系、一部の虫系も可
罠はあまり種類がない。屋外系が少しだけ
眷属 :クリアパピオン(D) シィル
=====
「これはまた……ドロシーさんの塔とは正反対といった感じですわね」
「と、飛ぶ魔物って塔には不利なんじゃ……私が言えたアレじゃないですけど……」
「ああ、これでよく四位に入れたもんだぜ。俺がこっちに喚ばれなくて良かったわ」
ジータさんは召喚された当初からアデルさんへとアドバイスをしていたそうです。それだけの経験があると。
しかしそんなジータさんでも【輝翼の塔】の運営は厳しいものがある。
やはり飛行系の魔物は使いづらいということですね。
逆にそれでここまでやりくりしているフゥさんが素晴らしいのだと思います。
さて、次はアデルさん。最後はノノアさんですかね。
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