第12話 『012 報酬を得る』

『012 報酬を得る』


 ここにいる冒険者のレベルは300前後だろうから、もうレベルは上がらない域に達していると見ていいだろう。

 それでもゲーム中毒者はここからが楽しくなるというから、異常だろう。

 Bランク、Aランクになる頃には、もう一日7時間はプレーしているとされるし、もっと12時間以上はプレーしているとも言われる。

 そうしないと到達できないとされる。

 



 街に帰ってからギルドで報酬に換金してもらう。

 受付嬢にスケルトンの素材を引き渡すと、換金してくれるシステムだ。

 報酬は得て嬉しい。

 これがないと街で飲食ができないし、宿泊もしたいから金は必要。

 ギルドで俺が報酬を得ると、周囲の冒険者は俺を見ている気はする。

 さっきまで俺のレベルは12程度だったのに、なぜスケルトンの素材を持って来れたなという疑惑の目か

 それとも俺の考えすぎかな。

 転移ポイントでレベルアップがあるから、どうしても人の目が気になってしまうのはある。

 人間は隠し事があると、人の目が気になるというが本当だった。

 目を合せないようにギルドにいた。

 他の冒険者の様子を確認したかったからで、現在の様子は魔物を討伐に行っているようである。

 何かしら金を得ないと生活ができない以上は、魔物を討伐する。

 最初は受付嬢に文句を言っていたけど、それも落ち着いて今はゲームと同じく魔物を討伐するのを楽しんでいる人もいて、ダンジョンオンラインらしくなった。

 RPGゲームは魔物を討伐するのが楽しいのはあるから、それに近くなっていたが命がかかっているだけ得られる興奮も大きい。

 これは運営が望んでいたかはわからないが。


「ペドロ。どうだい、魔物を討伐するのは順調かい?」


「ああ、普通に討伐している。俺はゆっくりとするよ」


「運営が何を考えているのかわからないが、ゲームでは無理は禁物だ。ゆっくりと楽しもう」


「そうだね」


 最初に会った冒険者。

 彼も冒険者であるから魔物を討伐はするだろう。

 自分のペースも大事である。

 ただ俺は実はレベルアップが36までしているのは秘密にした。

 ここは他に冒険者も多いし、誰かに知られたくはないのもあった。

 



 冒険者ギルドから去る。

 まだ時間はあるが、何も食べていないので食事にした。

 報酬は得ているので金はあるから、街の飲食店を探したら、酒場があったので入る。

 酒場はゲームでも行っていて、食事を取ると体力が回復する設定だった。

 実際に入店するとは思わなかったが、店内は雰囲気のある店。

 注文は肉料理とパンを頼んだ。

 飲み物は酒ではない炭酸水。

 いつもはキャラが食べていた料理がこんな味だったんだと味わって食べた。

 すると近くのテーブルにも客がいた。

 客は数人でいて、中に女の子がいた。

 女の子は獣人。

 尻尾が生えているのが特徴であり、実際に見ると尻尾は長いな。


「カリナ。お前はもっと働けよ。カリナが一番魔物を討伐してないぜ」


「すみません。次はもっと倒します」


「そうだよ。カリナは魔物を討伐してないんだし、食う資格はないよな」


「はい、食べません」


 獣人はどうやら冒険者パーティーの一員らしい。

 しかしかなり怒られている空気が伝わるから、気になってしまう。

 獣人は働きが悪くて、仲間から疎外されているらしい。

 一人だけ食事を食べていないから、かわいそうではあるが、パーティーではこういうこともあるのだろう。

 活躍しないとパーティーから仕事をしないとダメだしされるのだ。

 それだけダンジョンオンラインではパーティーによっては真剣にプレイしているという証拠でもあるわけで、一概に批判はしない。

 俺は口は出さずに食事をした。

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