第7話 『007 渋谷に転移した』

『007 渋谷に転移した』


「ありがとうございました」


「助かりました」


「凄い強いですね。しかも剣で切るって」


「ゴブリンは討伐しました。他にはいますか?」


 俺にみんなが感謝してきた。

 周りの人がスマホで俺を撮影する。

 冒険者アバターの俺がみんなには見えるらしい。

 転移したけどどうしうシステムかはわからないが、姿は見えるし触れ合うこともできる。

 これも運営会社ソフトイマージのシステムか。

 それともバグなのか。


「他にはいません。名前は?」


「俺はペドロ」


「ペドロ。ありがとうございました」


「ペドロが渋谷を救ったぞ!」


 渋谷の人からもの凄い喜ばれるのは驚きだった。

 これまで40年生きてきて、感謝されたり頼られたことは一度もない初体験。

 とても気持ちがいいし、自分でも役に立てたという実感が起きた。

 ただ問題は俺はこの後どうしたらいいのかで、ハチ公からまたダンジョンオンラインに転移できるかも不明だし、このまま日本にアバター状態でいるのかは知りたい。

 ハチ公に移動した。

 ハチ公から転移したので。



<転移ポイント>


マッサージ店



 するとまた転移ポイントが表示される。

 今度はマッサージ店だ。

 元のマッサージ店には転移できるらしい。

 渋谷にいても仕方ないからマッサージ店に転移するかな。



 元のマッサージ店に戻った。




レベルアップしました

レベル 12になりました



 まただ。

 またレベルアップした。

 レベル12になった。

 間違いなくマッサージ店から転移して、また戻って転移するとレベルアップする。

 信じられないが、実際に俺のステータス画面はレベル12だ。





名前 ペドロ

レベル 12

職種 剣士

攻撃力 19

防御力 10

魔力 3

素早さ 10


魔法 なし

スキル 剣術3 



 ステータス画面ではレベル12となり、攻撃力も上昇していることからも判断できる。

 掲示板サイトの書き込みからバグあるとされて、バグでログアウトしたかった。

 ログアウトすることはなくて転移した。

 日本に転移して戻ると、レベルアップするという発見がある。

 これは掲示板サイトには全くなかった情報だ。

 多分だが俺だけが知っている。

 もしこの様なバグが起きれば、必ず誰かしらが書き込みする。

 しかしプレイヤーのいっせいに転生が始まった前の掲示板サイトにはこの情報はなかったのは確認していて、俺だけが知っている可能性が高い。

 このレベルアップするバグについては、みんなには話さないでおくのがいい。

 誰にも話さないでいて、冒険者プレイヤーがどうしているか観察したい。

 俺以外のプレイヤーが発見するまで様子を見る。

 マッサージ店から、街の冒険者ギルドに行く。

 冒険者ギルドは、先ほどの荒れた感じはなかった。

 荒れていたが、もうプレイヤーは文句を言っても無駄だと思ったのか。

 ギルドの受付嬢は日本に魔物が出現していることを把握しているはずだが。

 最低でも運営会社ソフトイマージは把握していると思うのは、ゲームの全プレイヤーはソフトイマージのサーバーが管理している。

 だからわからないことがあれば、直ぐにプログラマーが修正すると思う。

 それともまだ気づいていないかだ。


「日本に魔物が出ることはありますか?」


 受付嬢に何気なく聞いてみる。


「ありません。魔物はダンジョンオンラインでしか出現しません」


「わかりました」


 やはり日本には出ないと答えた。

 しかし受付嬢はAIプログラムだろうから、ソフトイマージのプログラマーによって制御されている。

 日本には出ているのを知っていながら、出ないという風にプログラムされていても不思議はないが。



ー------------



 宮下がゲームに転移して戻った後。

 日本では騒ぎになった。

 宮下がペドロとしてゴブリンを討伐したのが日本国内に、さらに世界に配信されたからだ。

 画像を撮影したSNSが拡散された。

 大量の日本人会社員や主婦、学生が犠牲者になった映像。

 SNSは拡散する速度は速い。

 テレビも番組を変更して緊急ニュースになる。

 そして報道ではペドロという剣を持った男が魔物のゴブリンを全滅させたとなった。

 掲示板サイトも荒れる。



>マジかよゴブリンて本当に実在したのか

>ゴブリン気持ち悪いな

>サラリーマンが食われているな

>ゴブリンのコスプレじゃないの?



 掲示板サイトはもの凄い量の書き込みがあったことからも反響がわかる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る