第5話 『005 貧民街』

『005 貧民街』



 宮下が街の外で討伐している時。

 日本では非常事態が起きていた。

 およそ日本政府が想定できる範囲を超えた事態と言えた。

 総理にも魔物が出現したのは伝わると、会議中にネットで渋谷の状況が映された。


「総理、現在の渋谷です。ご覧ください。見たこともない魔物が人を食べています」


「魔物とはなんだ。説明しなさい」


「ゲームに詳しい専門家に聞きました、ゴブリン族やスライム、他にも数種類の魔物が確認されています。すでに病院に搬送されてケガ人が多数でています」


「総理、もう自衛隊を出すべきですよ」


「いやいや、総理、これは戦争じゃないので自衛隊は出せませんよ」


 総理は映像を見て衝撃を受ける。

 他の大臣も混乱して、パニック状態となると自衛隊を出せとなった。


「自衛隊を出せ、警察も消防隊も出せ。とにかくゴブリンを全滅させなさい」


「はい」


 総理は防衛大臣に自衛隊を出動させる命令を出した。

 







 渋谷では人々はパニックになる。

 会社員や大学生はゴブリンが突然に現れてきて、襲いかかるのを見ている。

 何が起きたかとスマホで撮影してSNSにアップしている。

 SNSによって日本中に学生が食われる画像が流れると、たちまち炎上して拡散された。

 自衛隊が到着すると、会社員は安心している。

 自衛隊なら負けるはずがないからで、みんなスマホで撮影。

 しかし自衛隊の部隊はあっさりと魔物に倒されてしまうと、隊員は犠牲になる。

 魔物の方が強いのが判明し、拡散された。

 魔法が使えるので、自衛隊の部隊にも防げない衝撃の画像が。

 それらの画像を見て掲示板は大炎上した。





>なにこれ、現実なの?

>CGだろ。AIが自動生成したさ

>違うよ、本当に渋谷にいるんだよ

>じゃあ渋谷に行ってみるかな

>渋谷から実況しろよ





 この様に掲示板の書き込みは激増した。



ー------------



 運営会社がどうするかは不明。

 そうなると俺が選ぶ選択は2つ。

 レベルを上げて強くなって生きるか、または魔物に負けて死ぬかだ。

 今のところ商人や農民になる予定はない。

 興味がないし、職種は剣士。

 農民や他の職業には不向きなのだ。

 なぜなら職種によって固有のスキルが得られるシステムがあり、俺は剣士を自分で選んでいて、剣術スキルを得た。

 農民を選べば農業に関するスキルを得やすいし、錬金術師や商人も同じだ。

 冒険者が俺には一番適しているし、冒険者で強くなるのがいいだろう。

 そこで俺が一番気になっていることがあった。

 例の掲示板の書き込みを思い出す。





>ダンジョンオンラインにはバグがある

>どんなバグ?

>いきなり強制的にログアウトした

>あんいそれバグじゃん

>運営に報告しろよ

>どこにバグ、詳しく教えて

>マロウ街にある貧民街、そこのマッサージ店に入った。そしたら変になってログアウト

>エロいことしたからだよ





 誰が書いたかは不明だが、書き込みにあったマッサージ店があるのかだ。

 もしゲームプログラムバグで強制的にログアウトするならば、ゲーム転生から日本に復帰できる可能性があると考える。

 掲示板の書き込みなので信ぴょう性じは低いが、やってみる価値はあると思う。

 マロウ街は偶然にもいる街であるし、貧民街もあると聞いた。

 そこで試してみるとして街の貧民街に行った。

 貧民街は街でも貧乏な人が住む地域と原作ゲームでは設定となっていて、来てみると多くの人が路上にいる。

 いかにも治安が悪そうだ。

 あまり来たいと思わない地域で、冒険者もこの地域には見ないから来ないだろう。

 目を合さないようして歩いて目的のマッサージ店を探したが見つからないので困った。


「すみません、この辺でマッサージ店はありますか」


「あるよ。その建物の地下だよ」


「ありがとう」


 路上の男性に聞いてみたらマッサージ店の場所を教えてくれたので、地下に降りてみる。

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