第4話 『004 ソフトイマージ』

『004 ソフトイマージ』


 街の外で出て見ると冒険者プレイヤーが多く集まる方に行った。

 先ほどは一人で単独での戦闘をしたが、冒険者プレイヤーがパーティーで戦闘していた。

 街から少し距離がある地点で、魔物は強そうだ。


「ゴブリンソードだ。パーティー12人で戦えば倒せる」


「魔法使いは後方からだ。剣士は俺に続けて接近戦だ」


 12人のパーティーだった。

 転生前からパーティーだったのだろう。

 コンビネーションはすでに良かった。

 魔法使いが後方から放っているし、チームワークで攻撃している。

 ゴブリンソードは弱くはないのに、体力は減少して討伐した。

 やはりパーティーの方が圧倒的に有利だ。

 単独行動は不利と言われるのが、今のではっきりした。


 また別のパーティーが戦闘している。


「キメラコブラだ。それも数が多いぞ」


「強い、もっと攻めろ!」


「だめだ、負けるぞ」


 今度はコブラの魔物。

 数は20匹もいて、苦戦している。

 先ほどのパーティーと違い、大苦戦。

 パーティーのレベルが低いのかも知れないが、見ている俺も立っているだけでは申し訳ない。

 俺はキメラコブラに向かって剣を向ける。

 戦闘に参加した。

 キメラコブラの牙が刺さる。


「うううう!」


 モニター画面で魔物を見ているのと、目の前にいる魔物では迫力が違うし、牙で噛まれる痛さは強烈だった。

 叫び声が出てしまうし、ゲームで声を出したことは一度もないのにだ。

 俺のレベル10よりも高いレベルなのだと直感した。

 パーティーメンバーも流血が酷い。

 明らかに勝てないと思われる戦況。

 パーティー男が、


「だめだ、勝てない、撤退だ。撤退しろ」


「撤退します!」


 撤退の指令が出て、キメラコブラから逃亡した。

 敵が強い時は無理に戦わずに逃亡も選択する必要がある。

 パーティーが全滅しては何もならないし、今は蘇生システムもないのだ。

 俺も一緒に逃亡。

 ケガはしてしまった。


「キミは誰だい?」


「俺はペドロ。偶然にここにいて応援するつもりが逆に噛まれました」


「ペドロはレベルは?」


「レベルは10です。まだダンジョンオンラインを開始して初心者でした」


「レベル10では俺達の足手まといだぜ。俺らはCランクパーティーバクエン団のバクエンだ。ペドロでは残念ながらバクエン団には入団できないぜ」


「ふふふ、よくそのレベル10で、平原を歩けたな。死ぬぞ、あははははは」


 俺のレベル10で笑いが起きた。

 バクエンの団はCランクパーティーらしい。

 そうなるとレベルは300以上はあるだろうから、俺のレベル10は貧弱でしかない。

 しかしレベル300近くある冒険者プレイヤーがいてもキメラコブラは討伐できなかったのは、気になった。

 まだ街の近くなのにこんな強い魔物が出現するとは。

 普通は強い魔物になるほど、街や王都から距離は遠くなるのが一般的だ。

 だが街の付近でキメラコブラの大軍。

 ゲームの設定がおかしくないか。


「キメラコブラがなぜ街の付近にいますか、バクエンはわかりますか?」


「さあな、知らねえな。でもゲームに転生してしまったからには生きていくしかないだろ。ダンジョンオンラインの運営会社の奴に会えたら切り刻んでやるよ」


「運営会社は確か、ソフトイマージでしたか」


「ソフトイマージだったかな。はっきり覚えてないが。何を考えているのかだ。ペドロは何か知っている?」


「俺もログインしたらいきなり転生でした。何も情報はない。死んだらどうなるかも。教会では蘇生できない」


「蘇生はできないのは俺達も聞いているが、問題は本当に死ぬかだ。生き帰る方法はあるのか、そして日本に帰る方法はあるのかだ」


 バクエン達も転生について何も知らないようだ。

 運営会社はソフトイマージという会社が開始したゲームなのはわかっているが、何を企んでいるかが不明。

 そもそも転生させて得することがあるのかさえ疑問だし。

 バクエンの団とはそこで別れた。

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