五、砂漠

 目を焼くような青空と黄色の砂というコントラストが強烈だ。

 動物はおろか植物すらも見当たらない。砂と空で構成されたこの地は砂漠だ。不毛の地とも表現されることもあるその場所は、「不毛」という言葉から想像されるようなみすぼらしさはない。無駄なものが全て省かれた聖地のように、降り注ぐ陽光に大地が黄金に輝いている。

 陽の光はギラギラと暑いのに、風は乾いてひやりとた、なんとも不思議な砂漠である。日差しの対策さえしておけば、それ程厳しい土地ではないのかもしれない。

 もちろん、旅をするには、である。

 粒子の細かい砂を吹き散らして作られた風紋が美しく、水の波紋にも似ている。なるほど、此処の水は砂なのか、そんなことを考えながら風紋を眺めていると、風紋が動いた。

見間違えかと思いもう一度目を凝らすとやはり風紋が動いている。風にしては変だ。

尾鰭がふいに翻った。

…………ああ、魚だ。鉱石のような鱗をした魚だ。


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