第30話 憎しみ

今日も、もうこんな時間…。

今、御説法が終わった。

今は、脱衣所から書いている。

御説法が長くて、鍵がかかる場所に逃げた。 厳密には、すぐ開く場所…。

それでもリビングには、いられなかった。


うちは、医者家系だからな!怒怒怒

五年前、一浪して医学部に入った姪の名前をだして、◯◯ちゃんに遺産はぜ〜んぶやる!

全部売り払って、ぜ〜んぶやる!

何も残さない! 

お前らは適当すぎる、そん奴らには何もやらない!

怒ったようでも笑ったようでもあり、あからさまに人を見下したいつもの言い方。

少しばかり狂気じみている。


二階の各々の子供部屋にも、順に言って回る。

誰も反応は、ない。

泣く人も、怒る人も、物音すらしない。

皆ただ耐え、彼への憎しみだけが積もる。

頭の中では、自分が何をやってきたか考えろ!と叫び続けているのだけれど、誰も口にしない。

彼のようなタイプと揉めるのは面倒だ。


買物に行って、お菓子の棚の前で「買って買って〜買ってくれなないなら○!※□◇#△〜」と駄々をこねる小さな子供と何も変わらない。

医学部に入らないならば〜医者にならないならば〜、更にはパパ活で女の子と遊べないならば〜、と何も変わらない。


ようやく書斎に行った。 

そこに置かれるパソコンには、あらゆる謎の世界と繋がるアイコンが沢山ある。

理解に苦しむサイコパスな世界、株、裏読みする社会情報、そして隠されているパパ活へのアイコン。


何故こんな生活をしているのだろう。

あまり疑問に思うのはやめよう…

また眠れなくなる。

答えなんて見つけられないのだから…

明日は、卒業式だ。

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