第23話 ケチ
夕方、気持ちが少しだけホッとした。
今日夕方までが、長女が春から進学予定の大学の手続き締切日。
夫に妨害されなかった。
よし、進学できる。
お金は、私が用意した。
長女と夫は、まだ揉めている…。
夫は、「ケチ」、生粋の「ケチ」。
勿論、自分への投資は別。
家中の電気を消して歩き、エアコンの温度チェックも忘れない。彼はお金の為だが、結果として環境には優しいので、それは理解する。
ペットボトルを買っていた事がわかれば、翌月の生活費が減らされる。
水筒を使わないペットボトルは、贅沢品、手抜き品。
生活費は、今時珍しい封筒での手渡し。
結婚した時から決まっている。
封筒は、何故か二つ。
一つは、基本給のようなもの?
もう一つは、手当のようなもの?
理由を聞いたことはない。
その手当のような封筒からは、前月にペットボトルを買っていたら一万円、更に何か私に気に入らない事があったり贅沢をしていると判断されれば更に一万円…と目の前で抜いていく。
犬のおやつが見つかると生活費は、一気に下げられる。
私も、少しばかりの仕事をしているが、その給与は彼が管理している為、私の手元に自由になるお金はない。
そんな事もあり、彼の車が車庫に入る音がすると、皆の動きが素早くなる。
飲みかけのペットボトル、スナック菓子、一斉に隠す。 時には、空いている引き出しに投げ込む。
彼が車庫から玄関に入る数分が命取り。丁寧に等とは言っていられない。
それ故、うちの子供達はとても耳がいい。
習い事の先生に「すぐにママの車ってわかるのよ!」と言われたことがある。
そう、彼の車か私の車か…瞬時に聞き分けなければ、生活費かかってますから。。。
今日は、その車の音がしない日。
泊まりの予定があるので、耳も休息日。
長女は、その休息日を利用して一人旅に。
旅と言っても、行き先は私の故郷。
但し、青春18切符を使って。
途中下車をしつつ8時間の旅は、無事に祖父母に会えたようだ。
青春18切符、これは「ケチ」ではない素敵な切符だと思う。
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