第14話 医者嫁の種類

伯父の余命が長くはないだろうとの連絡を受け、何となく胸がザワザワとというか…フワフワするような不思議な感覚の中、予約していた歯医者に出掛けた。


この年齢になると、至るところにメンテナンスが必要なようで、昔に詰めた詰め物を外しての虫歯治療となった。

麻酔をしていただいているのに、全身に力が入る。

歯医者さんに行くと、いつもこうなる。


私は、全く医療に関わりない世界で生きてきた。

独身時代2つの会社で働いていたが、そのどちらも医療とは全く無縁の仕事。

そもそも、血を見ることが得意でなく、自分の採血ですら…顔が引きつる程の有り様だ。


夫と結婚してから初めて知ったのだが、医者嫁には何となく3つの種類があるようだ。

1つ目〜医者と医者のペア、つまりは男性医師と妻が女医の御夫婦。

私の周りには、あまりいない。

2つ目〜医者と看護師のペア。

所謂、職場結婚と呼ばれるもので妻が看護師の御夫婦。

私の周りにも、多数の医者看護師ペア御夫婦がいらっしゃる。

そして最後の3つ目〜医者と一般と呼ばれるペア。

男性医師と、医療とは無関係の仕事をしていた女性とのペア。

大半は一般企業で仕事をしていた妻で、私もこの種類の一人。

勿論一般の中にも、◯◯先生のお嬢様や、多くの御令嬢と呼ばれる方々が存在する。

私は、The一般の人。

夫の従姉妹に「一般の人と結婚するなんて珍しいね〜!」と言われて、初めてこの謎の分類?を知った。

従姉妹は、女医だ。


一般の人、、、確かに。

もしかして、ここは皇室?

それとも彼って芸能人?

私は、一般に誇りを持って生きているので、そういう分類の仕方があるんだなあと面白く聞いたが、実際生活してみると理不尽な事がよくある。


世の中の風潮として、医者は立派で素晴らしいという評価からくる先入観なのか、どこに行っても彼が正しく評価される事の方が圧倒的に多い。

ご近所からの通報で、警察が取り調べに来た時でさえ、その風潮を感じた。

社会的地位の確立された夫の言う事は、正しく的確。

これは日本の社会が、何か権力的なものに対して、どうしても威圧されてしまう傾向があるからなのか、あの医師資格というのは人の評価さえ変えてしまうように思う。


職業と人格は、必ず一致するとは限らない…。


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