もちっぱち

幸せな虹の幻想


雨上がり

黒い雲が少し広がっていた。



「この天気は虹が出そうだね。」


「お母さん、ほら、

 右を見て! 虹だよ。」


息子言った。


母は車を運転していた。


チラッと右側を見ても

虹は無い。


「違うよ!

 虹は太陽と反対側に出るから

 右じゃなくて

 後ろの方見て!」


「そんなことないよ。

 ほら、ビルのところの上に

 あるんだよ。」


 いつもゲームやスマホばかりの

 子どもたち。


 虹の話になると夢中になる。

 無いこともあることになるのか。


「どこ見ても無いけどなあ。

 しかもあれはビルじゃなくて

 マンションだけど…。」


「いや、あるんだって、

 あそこに!」


「塁、あっちにないよ。」

 娘が冷静に言う。


「嘘だもん。」


「やっぱりね。」

 母と娘は揃って言う。


「まぁ、いいか。」

(虹の話で繋がったから。)



 車を走らせる。



「もうすぐ着くよ!

 マック食べるんだもんね。」


「うん。

 ハッピーセットね。」


「私も。」




 そんな日曜日。


 実際に出てなくても嘘でもいいから

 虹の話で

 楽しいことがわかった。

 


 虹さん、

 次はタイミング良く出て欲しいかな。



【おしまい】

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もちっぱち @mochippachi

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