第34話
「亀石さん!」
2階建てアパートの一室を飛び出し、どこに行ったかもわからない彼女を探すためにその名を呼んだ。もしかしたらすでに近くにはいないかもしれない。それでも彼女には伝えるべきことがあったから。
「あわわわわわわわ」
いた。すぐ隣にいた。隣の部屋の扉を開けようとキーケースからいくつかの鍵をたどたどしい手つきで選び、刺しては抜いて、ドアノブを捻ってを繰り返す不器用な姿の彼女がいた。
「あの……」
「なんでっ……!なんでっ……!!」
「引き戸だよ」
「え˝っ!?」
潰れたカエルのような声を上げた彼女はそそくさと扉の奥に消えてしまった。
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