第33話
視線を下げて玄関へと駆け出す彼女が俺の横を通り抜ける瞬間、涙が溢れるのが見えた。
「ちょっと待って!!」
俺は彼女の背中を追いかけようと振り向く。その時、台所に見慣れないものがあることに気が付く。
「ポテトサラダだ……」
それから綺麗に洗われた調理器具に視線が移り、彼女がここで何をしていたのかを理解した。あれは10年前のただの雑談だったはず。だが、彼女にとってはきっとただの雑談ではなかったのだ。そして、ずっと大好きだったという言葉。もしそれが本当だとしたら、10年もの間……。
俺は彼女を追って家の外へと飛び出した。
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