第5話 負の連鎖
あれから業者を検索して、ももを火葬してもらった。
ペットの葬儀に関しては、色々な業者がある。
自分達が選んだのは、個別葬儀に拘っている業者だった。
業者のプランによっては、他のペット達と一緒に埋葬されるような
合同葬儀もあるが、いくら安いとはいえ、気分的にこれはないと思った。
大切な家族だったんだから、最後までしっかり見送りたい、自分達はそう思う。
ペットの葬儀にも対応しているお寺にて、最後のお別れをする。
火葬は、業者保有の火葬車にて行われた。
火葬をされている間、ももとの思い出が頭を巡った。
決して長い時間じゃなかったかもしれないけれど、
ももと一緒に過ごした時間は無駄ではないよ。
自分たちにとっては宝物だよ。
ももは小さな骨壺に収められた。天国で幸せに暮らすんだよ。
確かにももがいなくなったダメージは大きかったけれど、
まだ自分達には、ちょろとまるがいるじゃないか。
2人には長生きしてもらわないとな。一層大事に育てようと決意した。
しかしながら、負の連鎖が続く。一体何が悪かったのか?
「何かまるの元気がないようだけど」
相方からの指摘で、まるの様子がおかしいと感じた。
ももの二の舞にならないようにと、動物病院へと連れて行く。
どうやら結石のようだった。幸いにして発見が早かったので、
手術すれば大丈夫との事だった。しかしながら、まるも入院する事になった。
「どうして連続で続くのかなぁ」
相次ぐ入院で、育て方を考えなければならないかなとも思った。
出来る事は、餌を変えるぐらいかな。
獣医さんの話では、水分もしっかり取った方がいいという事で、
水を飲める容器を増やそうとも思った。
まるの手術は成功した。無事に家に帰る事が出来て嬉しい。
この家でずっと一緒にいようね。
しかしながら、負の連鎖は終わってはいなかった。
無事に年を越し、もうすぐ春になろうという時に、
自分が転勤することになった。今よりもずっと忙しい所だ。
新しい転勤先は、土曜日曜も仕事に出る場合も出てくる。
そんな所でやっていけるのか?不安でストレスが溜まっていく。
そんな中、今度はちょろの調子が悪くなる。
こんな時に……。何で悪い事って重なって来るのだろうか?
結局、ちょろも入院する事になった。
でも深刻な状態じゃないから大丈夫ですよと、獣医さんが伝える。
この獣医さんは、本当に色々な動物の事を知っている人で、
猫様たちを安心して任せられる。いい獣医さんが近くにいて助かっている。
でも悲劇は突然訪れる。
転勤する直前の3月28日、仕事が終わり帰宅しようと着替えていると、
相方から電話がかかって来た。
何の用だろうと出てみると、信じられない事が伝えられた。
「ちょろが亡くなったって。すぐに動物病院に来て」
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