第22話
――デュラハン――
リンクが繋がっているせいだろう。
少年の様々な感情が私に流れ込んでくる。
「悔しいか」
流れ込んでくる感情は、諦めなどではない。
多少黒い感情はあるようだが、強くなりたいその一心でダンジョンを探索しているように感じた。
そして今、黒装束の女性との戦闘中だ。
リンクを意識的に強めれば少年が見ている光景が見えてくる。
相手に実力で負けていようと己の力で立ち上がり立ち向かう。
そして策を用いて相手を殺さんとするその姿勢。
私の圧を受けた後であってもダンジョンを探索するその精神力。
ここで死ぬのは惜しいと思ってしまったのだ。
だから死にかけている少年に手を差し伸べた。
あまり干渉することが出来なかったが、死にかけだからだろう。
辛うじて口を動かすことに成功する。
少年の口に魔力を纏わせ、動かす。
「【デュラハン】」
私がいた場所から景色は移り変わり、倒れている少年の前に姿を現す。
すぐさま少年に私の持っている最高品質のポーションをかけてやる。
喉の傷が癒え、息をし始めた。
そして、何が起きたかわかっていない弱者に話しかける。
「私の主に手を出したんだ。相応の報いを受けてもらうぞ?」
闇を纏った漆黒の剣を抜き、闇を放つ。
「【
――黒装束の女性――
少年を中心に黒い霧が吹き荒れ、時が経つほどに圧が高まり足が動かなくなる。
そして、ついにその場に現れたのは、漆黒に鎧を着ている女性。
いや、あの気配は魔物だ。
何んですかあれは。
こんな魔物が存在していいはずがありません。
これでも私はBランク。
多少の魔物に負けるビジョンなんて浮かびません。
ですが、あの魔物を前にして少しでも動きを見せれば殺されてしまう。
「私の主に手を出したんだ。相応の報いを受けてもらうぞ?」
「!?」
魔物が喋ったことに驚きを隠せないでいた。
話せる魔物、そんなのSランク以外で聞いたことが――
「【
そう聞こえた瞬間に悟った。
私の墓場はここなのだと。
「がぁぁあああああ!!!!!」
首が飛ばされ...てない。
「え...がぁあああああああ!!!」
私の体に何が起こってるんですか。
「そのまま罪に囚われ、永遠の時間を罪と共に歩め」
そう言われた瞬間に私の頭の中で今まで秘密裏に殺してきた冒険者の殺傷方法が流れ込んできた。
首を斬り落とし、時には拷問をした後に殺したり、様々な殺し方をしてきた報いを今受けているんだ。
立っていられなくなり、地面に倒れる。
意識を失うかと思ったが、痛みがそれを許さない。
「ゆ、許して――」
「黙れ、貴様は弱者だ。殺される覚悟のない奴が殺しをしているとはな。これだから人間は嫌いなのだ」
「か、つらぎ、さ、ま、ぎゃああぁぁぁあああ!!」
――デュラハン――
痛みで叫ぶ彼女を一瞥し後、少年の元に戻る。
「少年、もし貴様が目を覚ました時、それでもまだダンジョンへと潜る覚悟があるなら、この世界の悪意を受け、それでも立ち上がると言うのなら契約をしてやろう。覚悟がないと判断した場合は、私の手で始末する」
私は退屈していた。
だが、この少年となら面白い道を歩めるかもしれない。
そう思い、完全契約をこの場で行うことを誓う。
そしてこの誓いは必ず守らねばならん。
「私をがっかりさせるなよ少年」
後ろを振り返りうるさい叫びをあげる彼女を闇の中へと沈める。
「さぁ、少年が起きるのを待つか」
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どうも、
「努力の形」歩みを止めるのは俺次第をお読みいただきありがとうございます。
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気軽によろしくお願いいたします。
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