第14話

――?????――

何が面白いのだろうか。

この状況で何故笑っていられる。

この少年はこれだけの力の差を見せつけられたにも関わらず、ここから私に勝つとでも言うのだろうか。


何か秘策でもあるのだろうか。

面白い。

全てを見せろ。

を構える少年よ。





――高野京たかのけい――

「ふぅぅ、勝たなきゃ死ぬ..」


覚悟を決め、ひび割れた短剣で構える。


ラビットフットを常時発動しているせいで足に痛みが走るようになってきた。

長期戦に持ち込まれれば絶対に勝てない。

リスクを冒してでも殺しにかからなければならない。


「負けられない」


覚悟は決まった。

後は、頭の中に思い浮かんだ作戦を実行するだけだ。


「漆黒のゴブリン」

「...」

「お前を倒せば僕は更に成長する」

「...」

「やりたいこと、成し遂げたいことはいくらでもある。だから、こんなとこで死ねない」

「...」

「恨みも何もないが、の踏み台となって死ね」


僕は、左手で【酸】の球を出し、それを漆黒のゴブリンの頭に向かって投げる。

顔を横にするだけで避ける漆黒のゴブリン。

だが、それだけで終わるはずもなく。


ガキンッ!!


漆黒のゴブリンの鎧兜にひび割れた短剣が当たる。

当たった短剣は砕け散り、一瞬見えなくなった視界。

そして次見えた瞬間には、漆黒のゴブリンの前に京は居なかった。


僕は後ろに回り込み、そして漆黒のゴブリンの頭を後ろから掴み、そのまま全力の力で地面に押し倒す。


「【酸】【酸】【酸】!!!!」


酸の球をゼロ距離から放ち。

鎧兜を完全に溶かし切り、ゴブリンの後頭部があらわになる。


そして、先程ゼロ距離で【酸】を放つことで僕は拳に酸を垂らしこう叫ぶ。


「【酸撃】!!」


そこからは漆黒のゴブリンが霧になるまで全力で殴り続けた。

ようやく漆黒のゴブリンが霧になり消えたとこでMPを使い果たしたのか僕の視界もブラックアウトする。



ブラックアウトした瞬間に機械音のような女性の声が頭の中に響いた。


『エクストラボスである【デュラハンの鎧を纏いしゴブリン】の討伐を確認』

『ドロップアイテムとして【デュラハンの鎧を纏いしゴブリン】の魔石を1個とゴブリンライダーの魔石を3個』

『与えられるスキルは2つ』

『1つ目は、デュ――』


徐々に意識が遠のいていき、聞こえたのはここまでだった。



そして今、何故か先程戦った漆黒のゴブリンが目の前に現れ、真っ白の空間な中で

二人っきりだった。

漆黒のゴブリンは、何かを伝えようとしてくれてるのか一生懸命に喋ってくれてはいるが聞こえない。


この空間にいると物凄く睡魔に襲われる。

眠い。


あ、時間だ。

何故か現実世界に戻されることが感覚で分かった。

そして意識を落とす瞬間、ようやく漆黒のゴブリンの言葉が聞こえた。


その言葉は――






「んん、...あれ」


ボス部屋にいた僕は上体を起こし立ち上がろうとするが足に痛みが走り立ち上がれない。


「ラビットフットを使いすぎた反動か」


ボス部屋の奥には脱出用のダンジョンゲートが開かれており、そこから戻れるのが分かった。

が、そこまで歩くのも無理そうなので休んでから出ることにする。


「そういえば、なんか夢の中で誰かと会って何かを言われた気がする」


思い出さなければいけないと胸に刻み込まれたかのような感覚があるが思い出せない。


「.....まぁ、いっか。それよりも何貰えたんだろ」


地面を見ると何故か魔石が3個転がっていた。


「ん?僕が倒したの一体だけだよな?なんで...あ、そういえば意識失う前になんか言われたな」


何を言われたかはあんまり覚えていないがこの魔石が誰のなのかはプレートに取り込めば分かるはず。


「休憩しながらでもできるし、やるか」


そして外では何故かボス部屋が2時間も開かないことが騒がれていたのを知るのは京が外に出てからである。

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