第6話
固有アビリティ、それは唯一無二のものであり多種多様な効果をもたらす。
人々はそれを「特別スキル」とも呼んでいる。
――
現在、ゲートのすぐ近くでステータスの変化に気づいた京は、物は試しだと固有アビリティ欄に突如として現れた「努力の形」を唱えた。
「【努力の形】」
ヴィン
ステータスプレートの隣に新しくプレートが追加され、そこに書かれているのは「努力の形を証明しろ」とだけ。
どう証明すればいいのかわからずに考えていると手元に持っている魔石が少し光った気がした。
先程、土下座をして渡部から手に入れたスライムの魔石だ。
この魔石をプレートに近づけるとプレートがその魔石を取り込み、新たに項目が現れた。
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スライムの魔石
・スライムが持つランダムスキル獲得
・ステータスUP(魔力、防力+1)
・スライムのランダムドロップ品
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ただただ京は、驚いた。
スキル獲得、ステータスUP、ドロップ品獲得など聞いたことなどなかったからだ。
大抵の効果が一時的ステータスUPや耐性に関してのものなのだ。
(この一年、スキルを得ようと必死だった。だけど今の今まで何一つ得られることがなかった。ならもう選ぶのはこれしかない!!)
京の指は、一直線に迷うことなくランダムスキルの項目を選ぶ。
そうするとランダムスキル欄にはチェックマークが付き、その他の欄はグレーに変わった。もう一度押してみるが反応はない。
「残りの項目を選ぶには残り2個スライムの魔石が必要...ってことなのかな」
(獲得できるスキルに関しては、一個が限度そうだな...)
得られるスキルが一個と知り、少しがっかりする京だがすぐに立ち直る。
新しい魔物を倒せばその分スキルを獲得できるということなのだから、すぐ立ち直れるというもの。
「すぅーーーふぅーーー」
深呼吸をして、再度ステータスを確認すると
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高野京 Lv,1
MP: 1
筋力:1
防力:1
敏捷:1
魔力:1
精神力:20→100
スキル:
固有アビリティ:「努力の形」
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「よっし!」
冒険者をやめず色々なことを耐え抜いた自分自身を褒めてやりたくなった。
あのままスキルを試したかったが何人かの冒険者がゲートから現れ始めたので少し離れた場所へ移動する。
スキルを獲得した瞬間になんとなくだが「酸」の使い方が理解できた。
「【酸】」
口に出した途端指先に液体が溜まるような感覚を覚える。
まだレベルが低いせいか小さな雫がポトポトと落ちる程度だ。
だが、それでも落ちた雫は「ジュゥ」と草を溶かしている。
ちなみに自分で出した酸で怪我をするということはなさそうだ。
自分の出した酸で指が溶け出すとなるとせっかく得たスキルを封印しなければいけなかったので、そこは一安心。
「...一旦家に帰るか」
家には今月のノルマである魔石が4個、スライムの魔石が1個とグレーウルフの魔石が3個あり、それをすべて使うことに決めた
しかし現在は2051年の4月24日なので今日を含めて一週間の猶予しかない。
「少しリスキーだけど、好奇心には勝てないよな」
スキルなしの荷物持ちと呼ばれていた京は、スキルを獲得し、ゲートをくぐり地上へと戻っていく。
家に帰ってきた京を見た母、
「何かいいことでもあったのかしら?」
最近の京からは、活き活きとした生気を感じなかったが少し戻っている気がした。
段々と学校での出来事や冒険者のことを話さなくなっていた京とした最後の会話を思い出す。
「京?最近元気ないようだけど、どうかしたの?」
「...ううん。何でもないよお母さん。今日のご飯もおいしかった。ごちそうさま」
それだけを言い残し、2階の部屋へと戻っていく京の背中は、明らかに弱っていた。
それが少し変わってきているというのは母として嬉しい限りだ。
「うふふ、今日は赤飯でもしようかしら」
この後、何もない日に赤飯を炊く母を目撃し不審がる京には、気付けない母であった。
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どうも、
「努力の形」歩みを止めるのは俺次第をお読みいただきありがとうございます。
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気軽によろしくお願いいたします。
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