第3話

――高野京たかのけい――

「ダンジョン協会へようこそ!今日はどうされましたか?」

「G級ゲート:縁力の草原に行こうと思いまして許可を貰いに来ました!」


バスを降りた僕はダンジョン協会に入り受付嬢と呼ばれるお姉さんに

G級ゲートを潜るための許可をもらうために足を運んだ。


冒険者カードの裏面にはG~Sまでの枠があり、その枠内に魔力が宿ったハンコを使い魔力印まりょくいんを押してもらうことができる。

そして魔力印が押された階級のゲートに冒険者は入ることができるのだ。


「高野様ですね!今回初めてのダンジョンとなりますので色々とご説明させていただきます!」

「はい、よろしくお願いします」


そして受付嬢がする説明は事前に頭に入れてはいたが一応復習として聞いていた。

ランク昇格制度・ダンジョン内でのマナー・違反行為などの説明を受けた後、

G級に魔力印を押してもらう。


「高野様これをお渡しいたします、そしてこれからのご活躍をお祈りしております」


受付嬢から配布された物はダンジョンスマートフォン通称「Dフォン」。

これはダンジョン探索者には絶対に配布されるものである。

ただ、初期の配布されるDフォンは最小限の機能しか付いておらず

最高級のDフォンを持っている冒険者は一流とされている。


受付嬢にお礼を言った後、ダンジョンに向けて歩き出す。


「これがDフォンかぁ」


口角が下がらず、上がりっぱなしだ。

念願のDフォンを手に入れた喜びで堂々と道の真ん中でスキップをしてやりたいが、ここでそんな子供っぽいことをしてしまえば恥ずかしい思いをするのは自分だと

言い聞かせ、スキップは我慢するがにまにまが止まらない。


Dフォンの機能を確かめながら歩くこと10分。

ついにG級ダンジョンゲートに到着する。


元は公園があった場所にゲートが発生したため、冒険者カードを持たない一般人は

入場できないようになってしまった。

そのゲートの横に立つ職員二名と警備員二名で冒険者案内をしていた。


ゲートの近くにはちょっとした露店や素材の換金場所などもあり、賑わっていた。

周りを見るとやはり初期装備を着た人が大半を占めており

耳を澄ますと

「スキルが~~~」と落ち込んでいる人や

「前衛職の人探さね?」とパーティーメンバーを探す人

様々な話が聞こえてくる。


大の大人が頭を地に付け「ス~キ~ルがぁぁ.....」と泣いているさまを見ていると

こうはなりたくないなと思えてくる。


そう、ダンジョンブーム社会において冒険者をするならば初めに授かるスキルが

重要になってくる。

使えないスキルを持つと誰とも組めなくなり、酷い場合は荷物持ちやサンドバックとして扱われる場合もあると聞く。


当然、そういったことを無くすようダンジョン協会側も動いてはいるが

冒険者人口が増加する今、そういったことは中々消えないのである。

そう、学内で起こるいじめのように...



「高野様ですね。初のダンジョン探索は十分お気をつけてください」

「はい。分かりました」

「では高野様、いってらっしゃいませ」


そして夢にまで見たゲート内に、足を踏み入れる。




「こ、ここがダンジョン...」


ゲートに入るとそこは、どこまでも先があるように広がるきれいな草原だった。

少し進んだ先に見えるのは初期装備を身に纏う初心者パーティーが

草原の魔物を狩っているところだった。


初心者パーティーが魔物を倒したのか魔物は黒い霧になり消えていくとともに

小さい石ころサイズの魔石を落としていた。

そしてそれを手にした初心者パーティーは、ハイタッチなどをして喜びを分かち合っていた。

少しうらやましいなとも思ったが、有用なスキルさえ手に入れば自分だって

仲間の一人はできるはずだと思い期待を胸にこう叫んだ。


「ステータスオープン!!」と...

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