第1話

――高野京たかのけい――

あぁ、この世界は何かがおかしい。


「た、助けられたなんて、思ってないから..」


どれだけ努力しようとも


「おい、高野~~校舎裏来いよ」


決められた才能を変えることなんてできない。


「オラァ!!」

「ひゅ~w 最底辺のG級荷物持ちに容赦無いな~w」


そう、今だってこの世界に決められた才能の前では歯が立たない。


「...チッ。なんだよ何か文句でもあるのかよ高野」


倒れている僕の胸倉をガッと掴み、もう一度殴る気の山中拓海やまなかたくみ


「お前のその正義ぶった顔が気に入らねぇんだよ!!!」


この言葉を最後に顔を殴られ、僕の視界は黒に染まり意識が途切れる。


ダンジョンの魔物を討伐し、ドロップ品で生計を立てる職業「冒険者」。

誰しもが憧れを持ち、僕も私もとダンジョンの世界に魅了され飛び込んでいく。

ただ中学生の僕では政府が決めた初期装備購入者特典で獲得できる

「冒険者カード」が簡単には手に入らない。

何故なら、初期装備は合計で10万円。

バイトができない中学生の僕は指を咥えて見ていることしかできなかった。


が、ある日母親が家事全般を1年間こなせば高校入学と同時に初期装備一式を

プレゼントしてあげると、その言葉に食いつかない子供が果たしているだろうか

否、居ないだろう。

その日から一年、家事全般をこなすと共に受験勉強もしなければいけない時期で

全力で毎日を生きた結果。

無事、入りたかった高校にも入学でき1年間欠かさず、家事全般をこなすことができた。


そして、母からプレゼントとして初期装備費用を貰い、

初期装備の鉄の片手剣のアイアンソードとアイアンの胸当て・小手、

そして皮のダンジョンシューズをダンジョン協会で購入し、その足で冒険者登録も

済ませた。

そのまま、ダンジョン協会の近所にあるG級ゲートに立ち寄ろうかとも考えたが

その日はもうすでに遅い時間だったので帰宅することにした。


帰宅すると、母親がすき焼きの準備をして妹と僕の帰りを待っていた。

「けい」「おにいちゃん!」

「「高校受験合格と冒険者登録、おめでとう」」

この時、改めて頑張ってよかったと涙を拭きながら思った。

「ありがとうお母さん、真衣まい


そして人間幸せな時間に永遠などないということをこの少年は後に

思い知ることになる。


「ステータス!...えっ」


少年は思い出すことになるダンジョンブーム社会の裏側を


「スキルが......」


人間の悪意を持って知る

               「

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