第7話 基礎の見直し1

十、あなたの方の小説の定義とは?


 いつもながら冒頭からくどいですが、本作はプロデビューを志している方用の創作論です。アマチュアとして趣味で書かれいてる方には「百害あって一利なし」ですので話の中身を、アマチュア作品に反映しようなんて考えないでください。アマチュアにはまったく反対な事を伝えたりしておりますので、誤解せぬようお願いいたします。

 再度注意書きしましたのは、本作は興味本位で読む話ではなく、数人くらいのプロ志望の方に読んでもらえればよい話だからです。

 

 さて、あなた方にとって小説とはなんでしょうか? まずはその問いに答えを持っているかどうかを確認してみてください。今のところ答えは何でもいいのですが、恐らく持っていないのではないでしょうか。

 これまでわたしは目的意識を持って書くことを説いてきていますので、この先何が言いたいのかわかると思います。あなた方は「プロ」になる為に書いているのです。もしかしたら「なれるといいなあ」と宝くじを買うような気持ちで公募に望んでいるかもしれませんが、「なれるといいなあ」ではなれません。宝くじの当落は確率の問題ですが、公募の当落は実力がほとんどです。まぐれというものはまずありません。


 話を戻しましょう。小説とは何か。この問いに答えるものがなければ、あなた方は宇宙の深淵に向かってただむやみに歩いているだけになります。つまり、あなた方の将来設計がまだ固まっていないということになります。

「一、あなた方自身の将来設計がされていない。」でも言いましたよね。あの時、本気でそうだと思ったのであれば、この問いにも多少の言葉があったかと思いますが、人は本気にならない限り所詮はこの程度なのです。別に怒っているわけでも馬鹿にしているわけでもありません。人間そんなものです。ですがもう一度、自身の愚かさを笑い飛ばし、少しは自分の未来を考える時間を持とうという気にはなってほしいものです。


 小説とは何かという問いにキチンと答えを持つこと。大事なのは小説とは何か、ということです。それが商売道具でしかないでも立派な答えですし、読者を感動させるためのものであっても、自分が表現して褒めてほしいでも構いません。とにかくそこに答えを用意してないと、「何となく書いて、何となく公募に出して、何となく一次選考は通って、何となく二次選考で落とされる」みたいな状態がずっと続きます。本作をどう読もうが自由ですが、そんな素人根性から脱却したいのであれば、少しは真面目に自分の進路を考えてはどうか、というのがわたしの持論です。この創作論の中で「小説とは何か」ということに深くつっこんでいく機会があると思います。それまでに考えてみてはどうでしょうか。


十一、(今の時点で)見栄えを気にするな


 これだけネットに無料の小説がある中、あなた方はお金を払ってまで読みたいと思わせる小説を書かなければなりません。異世界ファンタジーでなんとなくバズって書籍化されるなんてのは奇跡中の奇跡で、そんな幸運を願って書き続けていても一生チャンスは巡ってきません。自らの妄想がたまたま読者からの支持を集めて人気が出るというのはホントに幸せなことでありますが、残念ながら皆にその機会が与えられるわけではありません。

 その中でどう差別化をして小説を買ってもらうか、そこにあなた方がプロとして食べていくための命題があります。


 などと簡単に言いましたが、この差別化が簡単にできるのであれば苦労はいたしません。わたしには公募に出して必ず二次選考以上を通過するという自信も才覚もありませんが、人と同じ小説を書いたとしたらより面白い方が上にいくことくらいは理解できます。でありながら、これが不思議なのですが、上手である方が必ずしも選ばれるわけではありません。同じテーマで小説を書いてたまたま内容は被ったとしましょう。するとその優劣の一番のプライオリティは「面白さ」です。もちろん、技術的にあまりにも差があれば上手な方に軍配が上がりますが、これを読んでいる方は少なくとも一次選考は通る程度の技術力=見栄えのものは書けるでしょう。ですので、結局は「面白い方」が選ばれるのわけです。

 

 この「面白さ」とは何かが本作が最後まで追求すべきテーマになっていくのですが、今はそんなことよりもまずは、見栄えでなんとかしようという考え方は捨ててほしいということを申し上げたいと思います。もちろん、日本語の勉強や上手な文章の書き方などは自習自得すべきことで必要なものではありますが、これらを頑張ればデビューできるわけではないことを理解してください。大事なのはどこまでも「お金を払ってでも読みたくなる面白さ」です。くどいですが面白さの意味は広いです。ですが、すくなくとも面白くないものにお金は払ってもらえません。まずは、見た目の良いラーメンではなくて、おいしいラーメンを目指そうということを意識してほしいのです。


 今回はこのくらいにしておきましょう。タイトルが「基礎の基礎」から、基礎がひとつ消えましたね。本作は本当に業務用の話なので、本気でプロを目指している方以外のPVがなくなってきたと思えてきたら、本題に入りたいと思っております。に人気が出てはいけない類の読み物なのです。

 ということで、それまではしっかりと基礎を確認して足腰を鍛えていきましょう。


(続)


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