第2話 では始めてみましょうか

 いきなり失礼極まりない先制パンチを浴びせる形になりますが、公募やプロデビュー活動において、現在まで芽が出ていないのであれば、あなた方の作品は下手くそでつまらない、プロとしてやっていくに堪えられないレベルの作品なのだと思われます。もちろん、選ばれないという運のファクターは多分にあるでしょう。ですが、直言すれば、あなた方の作品あるいは考え方において、いくつかの「足りないもの、知らないもの」があるが為に今日まで選ばれてこなかったというのが、悲しいことながら現実だと思います。ですので、まずはその事実をしっかりと認め、何がダメなのかをわたしの話から見つけ出してほしいと思うのです。


 この時点でムッとしたり、言い訳が頭に浮かんだり、あるいは「犀川おまえなんかに言われたくないわ!」などの反発心を覚えてしまいましたら、ここでお別れした方がお互いの為だと思います。そうでない場合も、読むことを続けるのであれば、以後は覚悟を持って読んで頂ければと思います。


 残念ながら(?)わたしの守備範囲は恋愛、ラブコメ、現代ドラマ、(カクヨムでは書いておりませんが)歴史小説なので、ファンタジー作家志望の方には直接お役に立てないかもしれません。ですが、とあるファンタジー公募の大賞を獲った人と長年一緒に書いておりましたので、そのあたりも経験値として書いていきたいと思います。

 とはいっても、大半はそんなジャンル以前の話ですので、プロを目指す為の基礎の基礎から一緒に見直していきましょう。


 何年も書いてデビューできないというのは、大別すると二つの理由にわけられます。一つは技術的に成長していないからであり、もう一つは考え方が甘いまたは知らないからです。

 前者についてはもっと先で論じるべき話ですので、後者の話しから少しずつ話していきたいと思います。といいながら、本を一冊書けるくらいの量を一度にたくさんワッーと言いたいのですが、わたしも焦らないで一つずつ書いていかなければなりませんね。


一、あなた方自身の将来設計がされていない。


 入学や就職するときに「その先」を聞かれることは当たり前だと思いまます。高校・大学受験や一般企業への就職のような「誰もが通るような普通の道」であれば、とにかく入ることが目的であってもやむを得ないと思いますが、小説家になりたいのであれば、「どんな小説家になりたいのか」を考えておく必要があります。「まずは一次選考を通る為に頑張るぞ!」みたいな考えはアマチュアであれば微笑ましい限りですが、あなた方は文章を書くことでお金を得ようと志している人間なのです。そんな考えで出版社から目をかけられると思いますでしょうか。


 専業作家あるいは兼業作家、どちらでやっていきたいのかは自由ですが、あなた方はそんなことを強く希望している他の人間たちを押しのけて前に出なければなりません。学校で勉強したようなお行儀の良い考え方では出し抜くことはできないのです。まずは、あなた方はどうありたいかをしっかりと設計してください。恐らくあなた方はほとんどプロットも書かないで小説を書いていると思います。それについては後述しますが、まずはあなたの将来のプロットを書いてみてください。そして、そんなプロットひとつ書かずに活動してきた自分を恥じるところから始めてほしいのです。


 これは小説家を目指すためだけの特別な行動ではありません。どんな仕事をする上でも基本的な話です。明確な目標やゴールを定め、最適な戦略を立て、完璧な戦術を実行して、結果を得る。あなた方が就職されているのであれば、「仕事のできる人間」「仕事のできない人間」の基本的な違いがこれらの有無であることは容易に理解できるところでしょう。でありながら、どうして小説においてこれらをしないのでしょうか。その馬鹿馬鹿しさに気がついたら、自分で自分を笑って次のステップに向かいましょう。


 と言いつつ、今回はここまでにしましょう。ここまで書いていてみて、思ったよりもマイルドな表現に留まっている気がします。大昔のプロ時代に鬼編集者から(あまりにも下手くそで面白くないので)ボロクソ言われてきたわたしですが、このご時世を勘案すると、これくらいがいいところなのかもしれません。


(続)

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