カラオケ

夏休みが終わった。

約束通り平日にゆうちゃんがうちに来れなくなり再び塾の日にしか会えなくなってしまった。

夏休みにほとんど毎日会っていたのですごく寂しい。


月曜、水曜、金曜の塾の前の1時間と水曜日の自習時間と結構会う時間はある方なのだが物足りない。

会える時間はとにかく無駄にしないようにいろんな話をした。

日曜日はゆうちゃんが自宅に来るが、ギターの練習があるので邪魔はしないようにするために少し我慢していた。


私はボーカルなので歌の練習だが、日曜日に一緒に練習する事はなく1人でひっそりと練習した。

見えないところで練習をしてびっくりさせたかったのだ。


実は10月1日はゆうちゃんの誕生日だ。

この日は木曜日だが、ママにお願いしてゆうちゃんをカラオケに誘う予定なのでそこで披露する予定で練習に励んだ。



カラオケのお誘いは快諾

すごく可愛い表情で喜んでくれた。

木曜日に会えるだけで嬉しいのにこの笑顔は反則だ。

私は悶えてニヤニヤが止まらない。


ママとなっちゃんも同伴する

平日だが保護者が同伴するので安心してもらい、ゆうちゃんは22時に帰宅が許された。


カラオケは良く行くお店で少し融通がきく。

事前にお店にお願いをしていてサプライズでケーキを出してもらうように準備しておいた。

最初に注文するドリンクと一緒にケーキを持ってきてもらう。


喜ぶ顔が見たくて私が考えたサプライズだ。

笑ってしまうぐらい恋愛している。

少し驚きながら満面の笑みでケーキを食べるゆうちゃんの顔を見ているだけで幸福感に包まれた。

毎回思っているがこの可愛さは反則だ。


そしてそのまま次のサプライズに続く。

ゆうちゃんがお父さんにギター演奏を披露した課題曲を私が歌うために選曲した。


かなり歌い込んで練習してきたし自身もある。

男性ボーカルのこの曲を私のアレンジで最高に仕上げてある。

驚かせて音楽のモチベーションをさらに上げてやる!



イントロが始まりみんなが私の歌に注目する。

ママとなっちゃんは私の歌を何度も聴いているからゆうちゃんを見ながらニヤニヤしている。


人生でこれほど努力したことはおそらく無い。

私の全力がこの1曲に詰め込まれているのだ。

どうだ。ゆうちゃんの視線は私に釘付けだ。


驚きのあまり声も出ない様子で私に見惚れるゆうちゃん。

サプライズは大成功だ!


『キミがこの曲を一生懸命頑張ったからあきも頑張るって言って何百回も聴き込んだり歌って録音したり、アレンジしたり試行錯誤してたんだよ』

ママが私の努力を解説する。

恥ずかしいからあまり言わなくても良いのに。


『めちゃめちゃ良くない?本物よりもうまいよね!』

ママのそんな言葉にコクコクと必死に頷く彼。

恋愛補正と親バカ補正がかかっているだけだとは思うがそれでもそんなに絶賛してくれて嬉しい。


この曲しか練習できてないんだけどね。

とりあえずこの曲に全てを賭けて全力で練習してきた。

残り時間はみんなで楽しく歌う。


お互い音楽が好きなので曲のレパートリーは広い。

小さな頃からたくさんの音楽を聴いてきた。

好きな音楽の種類が似ていてお互いの好みの曲もたくさん見つかったので今後練習したい曲などを一緒に考えたりもした。



楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうもので、ゆうちゃんが帰宅しないといけない時間が近くなる。


お誕生日にお祝いが出来たことが嬉しかった。

木曜日に会えた事も嬉しかった。

お互いの音楽の趣味が似ているのでカラオケがすごく楽しかった。


今日は特別な日

ゆうちゃんの誕生日

楽しく素敵な時間にできて満足の1日だった。

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