16話

陽side

お父さんと夏穂はあの配信からすべての行いや素性がバレて、夏穂は夏穂の母と一緒に大臣からの離婚と絶縁を言い渡され、お父さんは警察としての職を失い、お母さんから離婚も言い渡され、判を押した。二人とも刑務所行きで夏穂はプライドをズタボロにされ、お父さんは毎日怒り狂っているらしい。まぁこれで二人が反省してくれればいいのになぁと思った。お母さんはあの事件からすべて話してくれた。そして俺たちの本当の家族と今日会う。お母さんは車を運転している中少し寂しい顔をしていた。そして本当の家族がいる家に着いた。するとそこはさすが九蘭財閥と言っていいほどの屋敷だった。お母さんはインターンホンを鳴らすと門が開きそこには二人の若いおばあさんと二人の若いおじいさんがいた。

つづり紫音しのんなのか……!?」

とみんなが言うが俺たちはピンとこない。するとお母さんが

「もうー!それじゃわからないでしょ?みんな。」

「あ、そうだったね。私たちはあなたたちの叔父と叔母にあたるわ。」

その二人はとてもオーラがある人でテレビでもよく見たことがあるからわかる。このひとたちは気品であふれている。

「それでこっちがあなたたちのお父さんと直系にあたるおじいちゃん、おばあちゃんよ。」

俺たちは情報が追い付かず困惑する。

「今日は事実を二人に話すためにお伺いしました。」

「そんな堅苦しい挨拶やめてよ。陽葵。」

「お兄ちゃん……」

「「お兄ちゃん!?」」

俺たちはまたもや驚いてしまった。

「この家は長男の朔夜、次男のいつき、そして末っ子の陽葵の三兄妹なんだ。」

とおじいちゃんは言う。

「ちなみに陽の本来の名前は綴、茉莉花が紫音。朔夜より先に亡くなってしまったお母さんが名付けてくれた名前だ。」

「俺が綴……」

「私は紫音……」

おばあちゃんがある一枚の写真を見せてくれた。そこには茉莉花にそっくりなお母さんと俺と似ているお父さんが……。

「お母さん……」

茉莉花は写真を見ながら泣いていた。

「最初から話すわね。」

とお母さんは悲しそうな顔を浮かべて話を始めた。

「二人が五歳のとき朔夜くんと一緒に保育園に行くとき当時のあの二人に誘拐されたの。」

「だけど夏穂はそのとき六歳でしょ?まさかそのときから……」

茉莉花の顔は青ざめる。だが母は頷き

「そうそのまさか。その当時から夏穂は厄介で、一度好きになったものは手放さない主義なの。そのとき大臣は奥さんと夏穂と別居中。だけどその奥さんも朔夜くんのことを気に入ったみたいで……。そして二人は三人を誘拐するよう命じたの。」

俺は茉莉花と顔を見合った。

「朔夜くんと茉莉花、陽は引き離され、朔夜くんはその当時誰かに殺され、茉莉花、陽は餓死させられるところだったの。だけどたまたま警備がいないときに松ちゃんが二人を発見して護衛に「夏穂たちの見えないところへ逃がしてくれって」って言って護衛は屋敷から無事に出れたんだけど夏穂たちにバレて車に引かれて命をかけて二人を守ってくれたんだけど陽、あなたその人のことわかるわよね?」

「当時夏穂の護衛の五十鈴。だけどその当時顔の大半がダメで整形した。」

「陽……!あのときのカフェ店員さんがそうだったの!?」

茉莉花はビックリしていた。ごめんな、茉莉花のことも騙さないといけないと思って。

「それでその当時事故の現場をいち早く発見した私は救急車を呼んで、二人を保護して育てることを決めたの。そしてその日知ったの。朔夜くんとこどもたちが行方不明だってことを。」

お母さんから紡がれる言葉からなんとなく想像できる。幼いときだから記憶がほとんどないから仕方ないが、俺たちは色々な人から守られてきた命なんだと。

「あなたたちを発見してその日実家に戻ってみんなで作戦会議したの。2人が発見されたことは私たちの中で内緒にして、2人の戸籍を私の元に移して新しく生まれ変わったようにした。その後に夫に出会って結婚したんだけど、その当時の私は馬鹿だった……まさか朔夜くんを殺した本人だったとは……!」

お母さんは拳を机に叩き落とした。

「あの人の異変に気づいたのはあなたたちが高校生になった時でその当時あの人の帰りが遅い日が続いてて、事件が起きない限りおかしいなって思ってユッキーに調べさせたら浮気してたの。そしてその日智洋と蓮実のお父さんに全てを調べてもらったら横領、殺人、不倫の3つが分かったわけなの。」

俺は肩を震わせるお母さんを抱きしめた。

「家庭でもDVがあったからわざと受けてたけど、もう限界だって思ったらあなたたちがお父さんの不倫をしていることと、あなたたちで仲間を集めていたことを知ったの。だから私が都合よくあなたたちを利用していたのよ。」

茉莉花もお母さんを抱きしめ泣きながら

「ううん、私たちはお母さんのことを尊敬してるし、愛していたからお母さんと一緒に行動したんだよ?」

「そうだよ。それにそんな危ない中俺たちを守ってくれてありがとう。」

「茉莉花、陽……!さすが私のこどもね。」

お母さんは俺たちを抱きしめながら涙を零した。全てが終わって俺たちは久しぶりにお母さんのぬくもりに触れた。














茉莉花side

「どうする?あなたたちは九蘭家に戻ることもできるのよ?」

お母さんは私たちを見て問いかける。

「ううん、私はお母さんと居たい。」

「俺も。離婚してお金こととか大変だと思うけどバイトもするし!」

血が繋がっていなくても私たちはお母さんの子だ。陽も私と同じ考えだった。

「あら、それならここに一緒に住まない?」

とおばあちゃんが言った。

「いいの?」

「もちろんだ。それに家族が戻ってくれてきて嬉しいしな。」

おじいちゃんとおばあちゃんは私たちを抱きしめ

「おかえり、陽と茉莉花」

私たちは全力で家族と抱きしめあった。


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