15話
茉莉花side
目を覚ますとそこはどこかの港の倉庫だった。みんな意識がなく、私は周りを見渡す。私たちのグループハイドレンジアとお母さんのグループコリアンダーがいた。だけど私はそこで違和感に気づく。なんで崇裕とイチルとレオンさんがいないの?私は普段神様なんかにお願いしないけどここのときばかりは神様を頼った。ぎゅっと目をつぶっていると靴音がして顔を上げるとそこには
「おはよう~茉莉花。」
そこには不気味な笑みを浮かべた夏穂とお父さんがいた。二人は銃を持っていてきっと私たちを殺す気だ。
「お前がこんなに愚かだなんて思わなかったよ。」
とお父さんは肩を落とす。夏穂は私に銃口を向け
「最後に言いたいことはあるかしら?」
私はこのときピンときた。護衛のヤマトがいない。ってことは……。
「ええ。どうせ死ぬからあなたたちの罪をすべて暴露していいかしら?」
と言うと二人は余裕そうに笑い
「もちろん」
と答えた。私は縄で縛られたままあるスイッチを押すとそこには夏穂とお父さんが不倫をしている動画が映っている。
「ふーん、だから?」
と夏穂は言う。
「あなたのせいでお父さんはおかしくなった!お父さんを返して!」
と言うとお父さんは笑い
「あっはっはっは!なにを言うんだ、茉莉花。お前たちは俺のこどもじゃないんだよ!」
するとお父さんは資料を私の元に投げ捨てた。
「この人……昔政治界で有名だった
私でも知っているこの人はとても愛妻家だった人で双子のこどもがいたが、三人とも行方不明だったっていうのは今でもNEWSでも流れている。
「噓でしょ……!!」
資料には私と陽はお母さんともお父さんとも血がつながっていない。完全に私たちは九蘭家のこどもだと言う。
「ちなみにだけど私実は九蘭さんのこと好きだったけど九蘭さんは奥さんに一筋。だから遠隔で女の人を操って奥さんは殺してようやく私のものになると思ったんだけど結局はダメでさ……それで三人とも私のところで監禁してやろうと思ったのに……あいつはあんたちを逃がして一番厄介なルナ・ソレイユに拾われた。」
夏穂から紡がれる言葉が私にとって衝撃的だった。
「安心して。九蘭さんはあなたのお父さんが殺しておいたから。」
私は足に隠していたナイフで縄を切り、そしてもう1つ隠していた警察棒を夏穂に振りかざすとお父さんにはじき飛ばされた。
「お父さんはなんで私たちをお母さんと育てようと思ったの!?」
するとお父さんは
「最初からお前たちのことなんか愛してない」
今まで見たお父さんの中で一番暗い顔をしていた。
「あっはは!聞いた?茉莉花。愛してないって〜!」
「この……!人殺しが……!」
私は警察棒を2人に振りかざす。だが、お父さんの力が強く、中々攻撃が届かない。
「俺は九蘭のせいで人生を奪われた。九蘭はいつも学校の中で中心で、俺はいつも2番。アイツは努力もしないで1番。俺は努力して2番。悔しかったよ……。大人になって九蘭の奥さんが亡くなったことを知ってざまぁみろって思ったよ。だけど九蘭はこどもと仲良く暮らしていて……それで幼い夏穂の計画に乗ることにしたんだ。お前たちを監禁して九蘭は夏穂へ。お前たちは殺すはずだったが、お前たちは昔から頭が良くて脱走された。そしてそのとき偶然陽葵に拾われ、俺はあえて陽葵に近づいて結婚して十分に育ったお前たちを殺してやろうって思ったんだよ!」
私は落胆してしまった。きっと心の中で信じていたんだろう。お父さんのことを。愛してくれるって。それは嘘だった。
「ってことは九蘭さんの殺人、不倫、そして最終的には夏穂のお父さん、そして警察内でお父さんの悪事を告発しようとしてきた何十人ものの殺害、松村大臣を殺すところまで計画していたわけか。」
と陽が目を覚まし、立ち上がった。
「お父さん、色々と喋ってくれてありがとうね。」
陽は縄を解くと
「血が繋がっていなくてもあなたたちは私のこどもよ」
とお母さんも立ち上がった。
「まぁ、ここで全部喋ってもあとは殺して隠蔽すればいいだけだからなぁ」
と笑っているお父さんに対してお母さんは
「うふふ、じゃあこれはどうかしら?」
するとお母さんはスイッチを押すとそこには
「だってー!松ちゃんと警察内のみなさーん!」
「な、なによこれ!?」
と慌てる夏穂。
「えー?知らなかったの?これはリアル配信だよ!」
と沙耶香さんがいつの間にか夏穂さんの後ろにいる。
「お嬢、残念だね?」
そこにはヤマトがいた。
「遅いぞ、ヤマト。」
とシゲが起き上がりみんなも次々と起き上がった。
「う、うそ……」
「ま、まずい……!」
お父さんと夏穂の護衛たちが身構えた。女性陣は隠し持っていた警察棒の2本のうち1本を男性陣へ。そしてルルカは火薬を地面に落とすと煙玉が割れ2人の護衛たちは私たちがどこにいるか分からない。お母さんを見ると口パクで
「騙してごめんね?」
と言っていた。まさかだけどこれも計画のうちだった?と思うとお母さんはやはりすごいなって思った。そしてみんなで戦い残るは
「夏穂!お父さん!あとはあなたたちだけ!」
2人は怯えて逃げようとしたがそこには虎がいた。
「ひぃ!!」
「な、なんなのよこれ!」
夏穂はお父さんの背中を押し自分だけ逃げようとしたが、誰かが足を引っ掛け銃口を向ける。
「あーあ、よくも俺の婚約者に手を出してくれたね?臓器ぶち抜いて慰謝料払ってもらおうかなー?」
「イチル!レオンさん!崇裕!」
「ジャスミン大丈夫〜?」
「よくやったぞ。みんな」
「茉莉花!」
3人は夏穂とお父さんを捕まえてくれた。これで全部が終わった……
「茉莉花!?大丈夫!?」
私は安心して足の力が抜けてしまいイチルの飼っている虎が私の顔に体を擦り付けてきて
「うふふ、あなたもよく頑張ったわね」
と撫でてあげ、崇裕は私を抱きしめてくれた。
「茉莉花、やっぱお前最高だな。」
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